◎【読者参加型共同研究「日本、中国と韓国、何がどう違う?」】もくじ
はじめに
今回の日中の調査結果について、中国の姜英敏先生と山本で、その意味を考えてみました。二人はこれまでお互いの国で暮らした経験も、協力して大学で交流授業を行ってきた経験もあり、そういった「異文化間の対話実践」についての共著の論文もあります(「ズレの展開としての文化間対話」。東大出版会「ディスコミュニケーションの心理学」に載っています)。
そういった経験から思うことは、一般の方よりは多少お互いの国の人々の考え方や行動の仕方について多くを知っている私たちでも、相手が感じていることを理解することは本当に難しい、ということです。私たちはどうしても自分が持っている「常識」に縛られて相手を理解してしまうのですが、それは相手の方からするととんでもない「誤解」の固まりであることがよくあります。そして議論をすれば少しずつ分かりあえる部分も出てきますが、そこからさらに新たな謎が深まることもよくあり、お互いの対話は終わることがありません。
もっとも私たちの日常の人間関係でも、多かれ少なかれ同じようなことが繰り返されていますよね。長年の友だちや夫婦で、もう随分理解し合っていたと思っていたのに、意外なところで訳が分からなかったりすることが起こり、改めて話し合ってみると、お互いの考えていたことがびっくりするくらい違っていることに気づいて驚いたりします。それで相手のことを理解しようと試みますが、でも完全に理解することはやっぱり無理。人と人とはそうやって「わからなさ」を抱えながらも、なんとか一歩ずつでも理解を深め合いながら、一緒に生きていくのかもしれません。
ということで、以下にご紹介する私たちの議論は、あくまで「私の目から見てこう見えた」という「相互理解のための話題提供」に留まります。私たち自身、お互いに「え?そうかな?」と思うこともあるし、また皆さんから見てもきっと「ここはちょっと違うんじゃない?」と思うこともあるでしょう。もしそう感じられるところがあれば、是非コメントをお寄せ下さい。参考にさせていただきながら、さらに理解を深めたいと思いますし、私たちも同じようにコメントを返して議論を深めていきたいと思います。
ではまず姜英敏先生から。(文責:山本)
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