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第1回-①「友だち関係で普通のこと、おかしなこと」

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【読者参加型共同研究「日本、中国と韓国、何がどう違う?」】
第1回-①「友だち関係で普通のこと、おかしなこと」

山本登志哉(日本:心理学)
姜 英敏 (中国:教育学)

2013年7月26日掲載
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◎【読者参加型共同研究「日本、中国と韓国、何がどう違う?」】もくじ


このコーナーの紹介

このコーナーの特色は、これを読んでくださる読者の皆さんにも参加していただいて、日本と中国、韓国、一体何が違い、何が共通しているのか、私たち研究者と一緒に調査し、考えながら進める「読者参加型共同研究」という新しい試みにあります。

国際化が著しい世界の中で、昨年度では118万人の日本人が海外で暮らし、その滞在先のうち中国はアメリカに次いで多く14万人にもなり、その数は今も増加中です(外務省統計)。また日本に暮らす外国籍の人は2011年で約210万人で、そのうち中国の人は67万人を越えて断然トップです(法務省統計)。東京の街を歩いていると、中国語の会話を日常的にあちこちで耳にするようになりました。

他方の中国、ご存じの通り改革開放以降、経済発展がめざましく、今や世界第二位の経済大国として、世界の景気を大きく左右する存在になりました。2060年にはアメリカを遙かに上回る巨大な経済力を発揮することが間違いないだろうと見られています。海外留学熱も高く、改めて違った価値観を持つ他の国々と、どうつきあうのかが問題になってきています。

私たち、姜英敏(中国:教育学)と山本登志哉(日本:心理学)はこれまで国や年齢を異にする多くの友人たちと共に、日本・中国・韓国を中心に、主に東アジアの国々で、互いの国の子育てや教育がどんな特徴があるのか、人々の考え方がどんな風に違っていて、それが子育てや教育とどういう関係をもっているのかについて、様々な角度から研究を進めてきました。また学生同士で相互に意見を交換し、議論するような試みもしてきました。学生は、思いもよらないところで考え方が大きく違っていたり、逆に意外なところで共通していたり、といったことを発見し、自分と相手のことを理解し直してみるよい機会になっています。一言で言うと、とても刺激的で、とても面白い試みでした。

こんな面白い遊びを私たち研究者だけにしまっておくのはもったいないことです!

 

そこで、今回このコーナーで読者の皆さんと一緒に「共同研究」という遊びをやってみたいと考えた次第です。よろしければあなたも是非この「共同研究」にご参加下さい。

こうすればあなたも共同研究者
  1. 問題を読んで、あなたはどう思うか、考えてみてください。よろしければ考えたことをコメントしてみてください。

  2. 次に、中国(または韓国)や日本の学生たちがその問題にどう答えたか、結果を見て、それについてよろしければ感想をコメントしてください。

  3. 寄せられた感想や疑問などを私たちが読ませていただいて、そこから見えてきた新しい疑問をもとに、また、日本や中国の学生(できればお母さんや一般の方にも)に簡単な調査をしてみたいと思います。その結果が次回の「1.」になって、このプロセスが繰り返されます。

こんな風にして、読者の皆さんがお互いに自分自身や相手について疑問に思うことを出し合い、それを実際に私たちが調べてみて理解を深めてみる、このプロセスを繰り返してみたいと思います。第一回の今回は友だち関係でこんなことが起こったらどうする?ということについて、中国と韓国の大学生に聞いてみたデータを素材にしてみます。文化の違いは人間関係の築き方の違いによく現れると私たちは感じていますが、果たしてみなさんはどう感じるでしょうか。

さっそくはじめてみましょう。自分が一番近いと思う答えをチェックしてください。



今回は同じ質問内容で中国人大学生22人と、中国にいる韓国人留学生17人にアンケート形式で答えてもらいました。順番に結果をご紹介していきます。さて、彼らの回答は皆さんの回答と比べてどうでしょうか?そしてみなさんはそれを見て何を感じたでしょうか?

<結果>

大学生のCとEは親友です。ある学期、Cは、授業料を支払う締め切りが明日に迫っているのに親からはまだ授業料が送金されていないという事態に直面しました。そこで、Cは他人にお金を借りる以外この問題を解決する方法はないと思いました。Cは悩んだ末、親友のEにお金を借りることにしました。

質問1   もし私がCなら   ① Cと同じ行動をする    ② 絶対しない

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中国も韓国も多数派は親友に授業料を借りる、という考え方でしたが、中でも中国の学生にその気持ちが強いようです。

質問2   もし私がEなら   ① お金を貸す   ② 貸さない

lab_08_03_02.jpg

こちらも中国も韓国も「お金を貸す」が多数派でしたが、中国では全員が貸すと答えたのに比べると、韓国は少し少なめになっています。

質問3   Cの行動について私は   ① 理解できる   ② 理解できない

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お金を借りるとしたCの行動を理解できるかどうか、これについては中韓どちらも全員が「理解できることだ」と考えています。


<パターンの違いを見てみる>

では3つの質問への答えを組み合わせて二国間で比べてみましょう。たとえば①は質問1から3まですべてに肯定的に答えた学生、②は質問1に否定的に答え、2と3に肯定的に答えた学生、③は質問1と2に否定的に答え、3に肯定的に答えた学生、④は全部に否定的に答えた学生です。

lab_08_03_04.jpg

① Cとおなじ行動をするし、お金を貸す。理解できる。
② Cのような行動はしないが、お金を貸す。理解できる。
③ Cのような行動はしないし、お金も貸さない。でも理解できる。
④ Cのような行動はしないし、お金も貸さない。理解できない。


これを見ると、両者とも、①の「自分も親友に借りるし、頼まれれば貸す、友だちに借りようとすることは理解できる」という答えが多数派でしたが、中国の方がその割合は高くなっています。違いは、中国では残りの学生がすべて、たとえ自分は借りようとしない学生でも友だちに頼まれれば貸すと答えているのに対して、韓国では自分もしないし相手にも貸さないという学生が3分の1ほどいることです。ただし、友だちに借りようとする行動を理解できないという学生はどちらにもいません。



お寄せ下さった回答は、次回の掲載でご紹介させていただく可能性があります(何かのご都合で公開を控えたい場合はその旨明記してください)。またお寄せいただいた疑問をもとに、次の調査を企画してその結果をまたみなさんにお知らせしたいと思います。

筆者プロフィール

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山本 登志哉(日本:心理学)

教育学博士。子どもとお金研究会代表。日本質的心理学会元理事・編集委員。法と心理学会元常任理事・編集委員長。1959年青森県生まれ。呉服屋の丁稚を経て京都大学文学部・同大学院で心理学専攻。奈良女子大学在職時に文部省長期在外研究員として北京師範大学に滞在。コミュニケーションのズレに関心。近著に「ディスコミュニケーションの心理学:ズレを生きる私たち」(高木光太郎と共編:東大出版会)



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姜英敏 Jiang Yingmin(中国:教育学)

教育学博士。北京師範大学国際比較教育研究所副研究員、副教授。1988年~1992年に北京師範大学教育学部を卒業。1992~1994年、遼寧省朝鮮族師範学校の教師を経て、北京師範大学国際と比較教育研究所で修士号、博士号を取得し、当所の講師として務め、現在は副教授として研究・教育に携わっている。在学期間中、1997年~1999年日本鳴門教育大学に留学。また2003年~2005年はポスドクとして、日本の筑波大学に留学し、研究活動を行い、さらに中央大学や早稲田大学、青山学院大学の教員と積極的に日中の学生間の交流授業を進めてきた。日本と韓国、中国を行き来して、実際の授業を観察した道徳教育の国際共同比較研究。

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