CHILD RESEARCH NET

HOME

TOP > 研究室 > CRNアジア子ども学研究ネットワーク > 【中国】中国の幼児教育における洞察: 未就学児のレジリエンスと社会情動的スキルの育成

このエントリーをはてなブックマークに追加

研究室

Laboratory

【中国】中国の幼児教育における洞察: 未就学児のレジリエンスと社会情動的スキルの育成

English
lab_10_57_01.png
レポート全文
要旨

本レポートは、CRNがアジア8か国で実施した国際異文化研究に基づき、中国で行った調査の結果を報告するものである。中国の幼稚園の園長5名と現場保育者5名を対象に個別インタビューを行い、幼児の社会情動的スキル(SES)とレジリエンスの発達に対する認識と実践を調査した。

この2つの概念に対する調査参加者の認識を調査した結果、園長たちは幼児の社会情動的スキルについてある程度理解しており、感情認識、感情マネジメント、共感力の3要素、そしてレジリエンスに関連付けていることが分かった。一方、現場の保育者たちにとって社会情動的スキルは馴染みのない言葉であった。園長たちは、幼児の育成方法において、能力、年齢、浸透性の観点から、自らの文化伝統を取り入れ、幼児の社会情動的スキルを育むことが必要であると考えていた。

園長たちは「自己治癒力」や「自己管理・抑制」などの側面からレジリエンスの意味を理解することに重点を置いていた。レジリエンスの意味を学ぶ主な手段としてインターネット、教育ソフトウェア、書籍、講義などが挙げられた。現場の保育者たちはレジリエンスという言葉をほとんど知らなかったが、「レジリエンス」の2つの側面、つまり「スムーズな適応」や「回復」の状況とも関わる「困難」や「逆境」について、比較的よく理解していた。

「社会情動的スキル」や「レジリエンス」の知識の応用について調査した結果、この調査に参加した園長や保育者たちは現場の実践においてレジリエンスの概念をあまり応用していないことが判明した。また、中国の県級*1幼稚園ではレジリエンスという概念の応用、手法、教材が依然として不足していることが分かった。

この調査の結果は、中国の幼児教育セクター(特に県レベル)において社会情動的スキルとレジリエンスの概念を普及させる必要があることを示唆している。この2つの概念に対する園長や保育者たちの理解と応用をあらゆる手法で向上させることにより、子どもの社会情動的スキルの実践的習得を促進し、優れたレジリエンスを育むことができるようになるだろう。

キーワード: 中国、国際異文化研究、幼児の社会情動的スキル(SES)とレジリエンス、園長、現場保育者


  • *1 中国の行政区分は、省級・地級・県級・郷級の4層制となっている。

レポート全文を読む
筆者プロフィール
room16.jpg 周 念麗
中国・華東師範大学就学前教育学部心理研究室主任、教授。1995年にお茶の水女子大学心理学士号、1998年東京大学大学院教育学修士号、2003年中国華東師範大学心理学博士学位取得。2004年6-12月、米国アリゾナ州立大学客員研究員として乳幼児の情緒発達を研究。日本国際幼児教育学会副会長、中国学前教育委員会健康専門委員会理事。研究領域は児童発達心理、親子関係、0-3歳児の多元知能の測定と育成方案。


room19.jpg 朱 家雄
華東師範大学名誉教授。中国教育学会就学前教育専門委員会理事長、学術委員会顧問、環太平洋地区就学前教育研究会(PECERA)理事、中国委員会主席。 主な研究テーマは、教育原理、子どもの発達と教育、文化生態学とカリキュラム、幼稚園カリキュラムなど。
このエントリーをはてなブックマークに追加

TwitterFacebook

インクルーシブ教育

社会情動的スキル

遊び

メディア

発達障害とは?

研究室カテゴリ

アジアこども学

研究活動

所長ブログ

Dr.榊原洋一の部屋

小林登文庫

PAGE TOP