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要旨
本レポートは、CRNがアジア8か国で実施した国際異文化研究に基づき、中国で行った調査の結果を報告するものである。中国の幼稚園の園長5名と現場保育者5名を対象に個別インタビューを行い、幼児の社会情動的スキル(SES)とレジリエンスの発達に対する認識と実践を調査した。
この2つの概念に対する調査参加者の認識を調査した結果、園長たちは幼児の社会情動的スキルについてある程度理解しており、感情認識、感情マネジメント、共感力の3要素、そしてレジリエンスに関連付けていることが分かった。一方、現場の保育者たちにとって社会情動的スキルは馴染みのない言葉であった。園長たちは、幼児の育成方法において、能力、年齢、浸透性の観点から、自らの文化伝統を取り入れ、幼児の社会情動的スキルを育むことが必要であると考えていた。
園長たちは「自己治癒力」や「自己管理・抑制」などの側面からレジリエンスの意味を理解することに重点を置いていた。レジリエンスの意味を学ぶ主な手段としてインターネット、教育ソフトウェア、書籍、講義などが挙げられた。現場の保育者たちはレジリエンスという言葉をほとんど知らなかったが、「レジリエンス」の2つの側面、つまり「スムーズな適応」や「回復」の状況とも関わる「困難」や「逆境」について、比較的よく理解していた。
「社会情動的スキル」や「レジリエンス」の知識の応用について調査した結果、この調査に参加した園長や保育者たちは現場の実践においてレジリエンスの概念をあまり応用していないことが判明した。また、中国の県級*1幼稚園ではレジリエンスという概念の応用、手法、教材が依然として不足していることが分かった。
この調査の結果は、中国の幼児教育セクター(特に県レベル)において社会情動的スキルとレジリエンスの概念を普及させる必要があることを示唆している。この2つの概念に対する園長や保育者たちの理解と応用をあらゆる手法で向上させることにより、子どもの社会情動的スキルの実践的習得を促進し、優れたレジリエンスを育むことができるようになるだろう。
キーワード: 中国、国際異文化研究、幼児の社会情動的スキル(SES)とレジリエンス、園長、現場保育者
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