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要旨
このレポートは、インドネシアの幼児教育における4~6歳児の社会情動的スキルとレジリエンスに対する園長と保育者の認識についてまとめたものである。子どもの社会情動的スキルとレジリエンスに対する保育者の認識と取り組みについてデータを得るために、フォーカスグループインタビューと個別インタビューの手法を用いた。具体的には、8ヵ所の幼稚園から6名の参加者を対象にフォーカスグループインタビュー、9名の参加者を対象に個別インタビューを行った。インタビューでは、保育者が「社会情動的スキル」と「レジリエンス」という言葉をどの程度理解しているか、こうしたスキルを強化するためにどのような取り組みを行っているか(学習のプログラムや活動など)、子どもが困難に直面した時にどのようにサポートしているかに焦点を当て、データを収集した。調査対象の保育者たちは社会情動的スキルとレジリエンスが幼児期において非常に重要であることを理解していた。こうしたスキルは、社会的交流や自己抑制において、そして、様々な社会的困難(新しい場所での適応など)に直面した場合において、園児が必要とするものである。しかし、保育者たちにとって、これらスキルに対する深い知識の欠如や、保育者養成課程における概念的な資料の不足などが足かせとなっており、インターネット、書籍、文献、ディスカッションを通じて独自に学習していることが判明した。社会情動的スキルは、カリキュラムにも記載されているように、学習における発達活動の焦点となっている。一方、レジリエンスに関しては、レジリエンス強化のために特別なプログラムを実施しているのは8ヵ所の幼稚園のうち1ヵ所のみであった。ただし、ほかの保育者たちが幼稚園で行っている活動には、子どものレジリエンスを強化するような学習活動も含まれていた。従って、レジリエンスの評価は社会情動的スキルよりも限定的なものとなった。この調査の結果は、インドネシアの子どもたちが将来の世界的な困難に直面する準備ができるように、行政と園の両方の観点から、社会情動的スキルと関連性のあるレジリエンスを育成するプログラムをより充実させる必要があることを示している。
キーワード: 社会情動的スキル、子どものレジリエンス、インドネシアの幼児教育、保育者の認識、インドネシアにおける幼稚園のプログラムおよび活動、MELESAT
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