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【台湾】4~6歳児の社会情動的スキルとレジリエンスに関する研究

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レポート全文
はじめに

SEL(社会性と情動の学習)とは、CASEL(2021)の定義によると、すべての若者と大人が健全なアイデンティティを育み、感情をコントロールして個人的な目標や共同の目標を達成し、他人に共感し、それを伝え、互いに助け合う関係を確立して維持し、責任と思いやりのある決定を下すための知識、スキル、態度を習得して適用するプロセスを意味する。SELを組み入れた教育現場の活動を通じて、子どもは心の動きを理解し、他人の感情に配慮し、自分の感情を表現する力を身につけることができ、将来の集団生活においてスムーズな交流を図るための情動知能を高めることができる。レジリエンスとは、精神的なウェルビーイングの土台となり、ストレス、逆境、トラウマなどのネガティブな経験に適応し、回復する能力を意味する。レジリエンスが高い人間は、冷静さと自己制御力を維持しながら、挫折から立ち直り、自分がどれだけの困難に立ち向かえるかの判断もできる。レジリエンスは人格的な成長やその他の発達分野に影響を与え、燃え尽き症候群のリスクを効果的に軽減する。

台湾の幼児教育において、社会情動的スキル(SES)とレジリエンスは比較的新しい概念である。政府の幼児教育カリキュラムには社会的スキルのみが含まれている。過去10年間、一部の高等教育機関で幼児教育における社会情動的スキルの重要性が認識されるようになった。しかし、研修に参加する保育者や園長のために社会情動的スキルを導入したワークショップが現れ始めたのは、ここ5年ほどのことである。こうしたワークショップの受講者たちは研修後に園に戻り、園の保育者たちの中で指導的な役割を果たし、社会情動的スキルの育成を促進することが望まれる。一方、レジリエンスについては、その概念を適切に説明できる者はわずかであり、台湾の幼児教育業界ではレジリエンスがほとんど知られていないのが現状である。

台湾の子どもは通常、2歳から5歳の間に幼稚園に通い、毎日約8時間を学びに費やす。保育時間が長いのは、主に共働き世帯が多いためである。親たちは子どものホリスティックな発達を促し、人生に対するポジティブな態度を育成するために、幼稚園に通わせることを選ぶ。その結果、幼稚園教育は、親が与える影響とは別に、子どもの人格、世界観、価値観を形成する上で重要な役割を果たしている。

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は、アジア各国と共同で、幼児教育における社会情動的スキルとレジリエンスの研究を進めている。この研究は、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックが終結した後で、乳幼児関連施設で働く保育者が子どもたちについて深く理解する助けとなる重要な研究である。


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筆者プロフィール
Anita_Chu.jpg 朱子君

台湾国立台北教育大学(NTUE)准教授、2010年より在籍。国際教育、多文化教育、教育政策分析を専門とする。1998年に米国のテキサス大学オースティン校で博士号を取得した後、モンタナ州立大学で客員研究員として研究を続けている。


Hung_Fu_Tsai.jpg 洪 福財

台北教育大学教授、台湾師範大学教育哲学博士。台湾幼児教育学会の前理事長(2011~2014)、米国インディアナ州のインディアナ大学ブルーミントン校で客員研究員(2014年~2015年)、台北教育大学主任秘書 、教育経営と管理学科長(2018~2021年)を歴任。専門分野は、幼児教育史、教育政策の分析と幼稚園教員育成など。現在、主な研究・教育の分野は、台湾のECEC政策と労働システムであり、幼児教育の専門家のウェルビーイングに影響を与え、支える因子に注目している。

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