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【子どものからだと健康】第4回 夜中の発熱、救急受診は必要?

榊原 洋一 (CRN所長、お茶の水女子大学副学長)

2016年6月17日掲載
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このコーナーでは、小児科医であるCRN所長が子どものからだや健康に関する疑問・悩みにお答えしていきます。一覧はこちら


【質問】
うちの子はよく熱をだします。夜間の発熱もよくあるのですが、どんな時に病院の救急につれていったらよいのか迷います。どうやって判断すればいいのか教えてください。

【回答】
病気に関して、大人と子どもがどこが違うかと聞かれれば、私なら、「子どもは大人に比べて熱をだすことが多いことと、子どもは自分の症状をうまく伝えられないこと」と答えます。

まだ自分の症状(どこが痛い、なにが苦しい)を言えない乳幼児期の子どもが、夜間に熱をだすことはまさにこの2つに合致しますね。

夜間の急な発熱でも、年長児や大人なら、「のどが痛い」とか、「頭が割れるように痛い」といった発熱に伴った自覚症状を伝えることができます。前者なら、翌朝まで待っても良さそうだし、後者なら急いで夜間救急にかかったほうがよいと、素人でも判断できます。

発熱という親に分かる症状以外の情報がないと、どうしても最悪の事態を想定してすぐに夜間救急に連れて行きたくなります。

事実、普通の病院では夜間救急の受診者の中で子どもが占める割合は高く、またその受診の理由で最も多いのは発熱です。そして結論から言うと、夜間の子どもの発熱の中で、すぐに入院して治療を開始しなくてはならないのはごく一部なのです。

私もかつて小児科の当直医として、夜間の急な発熱で受診を希望される親御さんと電話でお話しし、救急受診が必要かどうか相談を受けたことがあります。

発熱のある子どもをすぐに連れて来てもらうか、あるいは様子をみるかどうか判断する時の(私なりの)基準をここで皆様に披露します。

まず最初に述べておかなければならないことは、熱(体温)の高さはあまり判断の根拠にならないということです。判断の基準となるのは、第一に発熱以外の症状の種類、第二に全身状態です。

発熱以外の症状で重要なのは①咳②下痢③発疹④嘔吐⑤呼吸状態⑥腹痛⑦けいれん⑧意識障害です。発熱以外の症状によって、発熱の原因や病巣(病気の場所)が分かります。

発熱と咳がある子どもの救急受診の判断の分かれ目は、それが風邪によるものか肺炎によるものかということです。風邪の場合は受診の必要はありません。肺炎かどうかの判断は、咳の強さと痰を伴った「湿った」咳かどうかということと、全身状態によります。咳のために眠れない、横になれない、まったく食事をとることができない、といった場合には肺炎を疑って受診を勧めます。

発熱と下痢がある場合は、嘔吐や嘔気(吐き気)によって食事がとれない、強い腹痛がある、といった場合には受診を勧めます。食事や水分がとれていて、腹痛がない場合には、自宅で様子をみるように勧めます。

発熱と発疹がある場合は、ほとんどがウイルス感染症です。ぐったりしている、食事がとれない、眠れないといった全身症状がある場合のみ、受診を勧めます。川崎病などがこれに当てはまります。それ以外は翌日に受診すればよいと思います。

発熱と嘔吐がある場合には、私は全員受診を勧めています。なぜなら、発熱と嘔吐を主症状とする重い病気の中に髄膜炎や脳炎が含まれているからです。

呼吸困難の最も多い原因は喘息ですが、通常は発熱がありません。発熱と呼吸困難がある場合は、肺炎を疑いますので受診を勧めます。

発熱とけいれん、あるいは意識障害がある場合は、一つの例外を除いてすぐに救急受診をしてください。脳炎、髄膜炎、急性脳症といった重篤な疾患の症状であるからです。唯一の例外は、熱性けいれんの経歴がある子どもの場合です。けいれんが治まっていれば、受診は必要ありません。


さあ、参考になったでしょうか。もちろんこうした判断基準が当てはまらない場合もありますので、最終的な判断は保護者である皆さんが行ってください。


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筆者プロフィール
report_sakakihara_youichi.jpg榊原 洋一 (CRN所長、お茶の水女子大学副学長)

医学博士。CRN所長、お茶の水女子大学副学長。日本子ども学会理事長。専門は小児神経学、発達神経学特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。趣味は登山、音楽鑑賞、二男一女の父。

主な著書:「オムツをしたサル」(講談社)、「集中できない子どもたち」(小学館)、「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)、「はじめての育児百科」(小学館)、「Dr.サカキハラのADHDの医学」(学研)、「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」(講談社+α新書)など。
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