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【宝宝、ニーハオ!-上海子育て記】 第5回 上海の医療事情<小児科編>

石橋 貴子

2013年9月20日掲載

先日、4歳の息子が夜中に突然38度を超える熱を出しました。日本に住んでいた時ならば、「様子を見て、明日の朝いつもの小児科に連れて行こう。」と迷わず思っていたことでしょう。しかし、こちらではそうすんなりとはいきません。
今回は、お世話になる機会の多い小児科についてお伝えしたいと思います。


上海の医療事情

上海は大都市ですから、全般的に医療環境はよく、そのレベルも低くはないとされています。大学病院や地域の総合病院などは、規模も大きく立派です。しかし、ローカルの公立病院は基本的に中国語しか通じませんし、一般診療では待ち時間が数時間に及ぶこともあります。よって、我が家を含め上海に住む外国人の多くが、外国人向けプライベートクリニックに行くことを選んでいます。*1

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近所の公立総合病院 毎日たくさんの人がやって来ます。

外国人向けクリニック

上海にある日系もしくは欧米系など、外国人向けクリニックでは、世界各国からやってきた専門医が診察に当たっています。外国人医師だけでなく、海外の医学部への留学または病院での研修経験のある中国人医師もいます。施設は清潔、検査機器も揃っていて、完全予約制で待ち時間もありません。
しかしこういったクリニックは基本的に自由診療のため、いっさい健康保険がききません。風邪症状の診察(薬代込)で、だいたい1,000元(約17,000円)かかり、ローカルの病院だと健康保険適用で30~50元くらいと聞きますので、料金は非常に高額です。実際には駐在家庭のほとんどが、海外旅行保険もしくは企業が独自に契約している保険サービスを利用して通っています。

ちなみに在上海日本国総領事館の医療情報ページには、上海市内にある日本語の通じる医療機関として、21ヵ所のクリニックが紹介されています。*2

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24時間ホットラインサービスのある
外国人向けクリニック
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待合室にはwifi完備、
コーヒーやお茶のサービスも

放浪する患者

しかし、確かにクリニックや医師の数は十分である一方で、小児科に関して言えば、我が家には2年たっても特にかかりつけ医はいません。

これは上海ならではなのでしょうか、こちらでは医師の異動が頻繁にあります。日本へ帰国される方、別の国へ転勤される方、さらには上海市内で別のクリニックへ転職する方など、理由はそれぞれです。
こちらに来たばかりの頃は、どうしてつい先日診てくださった先生が次に行ったらもういないの?といちいち驚いていましたが、今ではそれもよくあること、仕方がないとあきらめも早くなりました。

加えて、よしんば籍はその病院にあったとしても、先生によっては、1か月上海にいて2週間日本へ戻るという変則的な勤務であったり、決まった曜日、決まった時間帯しかいらっしゃらない上にそのスケジュールがよく変更されたりで、いつでも同じ先生に診てもらえる事の方が稀だったりするのです。

実際問題として、子どもの体調不良はたいてい突然起こりますし、急激に症状が変わることもありますから、明日になっても明後日になってもいいからその先生に診てもらいたとこだわっている余裕はありません。毎回、その日のうちに診てもらうことを優先する結果、いつまでもかかりつけ医ができないのです。


それぞれのスペシャリティーを知る

また、こちらでは小児科専門というよりも、もともとの専門があった上で、子どもも診ているという先生が比較的多いため、先生の得意分野を事前に知り、子どもの症状に応じてどの先生に相談するかを決めている人は多いと思います。

例えば私は、子どもの間で流行る感染症なら小学校の校医をしていた先生のいるAクリニック、呼吸器系はBクリニックの先生、中耳炎が疑われるならCクリニックの耳鼻科の先生、ただの風邪症状ならすいているDクリニックの先生など、場合に応じて行き先を決めています。(前述のように、それがうまく叶わないこともありますが。)

そこまで神経質になる必要はないのでしょうか?確かに、いつも近所のクリニックで問題ないという人もいるでしょう。しかし、重病を見逃してしまったり、症状が悪化してしまったりすると、日本へ帰って治療しなくてはいけないことにもなりかねません。自ずと慎重に、その時々で最適な治療を受けさせたいと思わずにはいられないのです。*3

発熱、その後

ですから、冒頭のような子どもの発熱一つでさえ、「この症状だとどこの病院に行くのがベストか?」「あの先生は明日いるのか?」「いなかったらどこに行けばいいのか?」と、頭の中はフル回転です。

今の症状は発熱だけですが、学校でうつってきたものかもしれません。まずは感染症に詳しいAクリニックの先生に診ていただきたい、しかしその先生はちょうど上海には不在、ではいつもすいているDクリニックの先生はと言うと、その日は自宅からは遠い浦東のクリニックで勤務とのこと。
やむなく、ママ友に聞いて、自宅から近く、子どもも診ているという内科の先生に診てもらうことにしました。

そこでの診断は、体内の熱がこもったことによる熱中症のようなものなので、ただ十分休ませてあげて下さいという、気が抜けるほどあっさりしたものでした。半信半疑の母を横目に、息子は本当にすぐにけろりと元気になりました。
朝からいろいろな所に電話して大騒ぎしましたが、まあ、大事には至らず何よりという結末です。


かかりつけ医はいますか?

それにしても、かかりつけ医がいないというのは非常に不便で、不安なことに感じます。家から徒歩3分のところに小児科の開業医院があり、いつも同じおじいちゃん先生に診察してもらっていた日本での暮らしがどんなに恵まれていたことか!

我が家の上海における小児科とのお付き合いは、一人の先生に継続して診てもらい、子どもの成長を一緒に見守ってもらう、という日本の小児科との関係のようにはいきませんが、豊富なファシリティと人材で何とか問題なく成り立っていると言えます。

今改めて息子名義の診察券を数えてみたら、なんと9枚もありました!2年の間に風邪をひいたり、予防接種をお願いしたり、やはり病院にはずいぶんお世話になったわけです。
考えようによっては、うちには上海中にかかりつけ医がいて、みなさんにかわりばんこに 助けてもらっていると言ってもいいかもしれません。それも悪くはないですよね。

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両腕にぶすっと予防接種

  • *1 ローカルの病院であっても、大きな総合病院の場合は、普通診療に特別料金を払えば診てもらえる、完全予約制で通訳スタッフもいる外国人部門、通称VIPフロアを備えていることもあります。VIPとよく呼ばれるのですが、医師が特別に高名な先生であるわけではありません。
  • *2 在上海日本国総領事館 医療情報
    http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/insurance/info-j1new.html
  • *3 症状にあった最適の病院の紹介、予約などをしてくれる、医療アシスタンス会社もあります。我が家も契約していて、困った時には相談しています。特に事故やけがなど、緊急のケースに頼りになります。
筆者プロフィール
石橋 貴子

チャイルド・リサーチ・ネット日本語版・英語版編集、外資系企業勤務を経て、2011年6月より夫の転勤に伴い上海在住。
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