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保育施設向けSIDSを予防するための対策

中村 徳子(託児ママ マミーサービス代表)

2019年8月23日掲載

この資料は、保育関係者用です。保育に携わる皆様がSIDS(乳幼児突然死症候群)予防のために、お役立て頂けますことを願い、作成させて頂きました。なお、さらに詳しい情報は、SIDS2000ホームページ(http://sids2000.main.jp/)「3・保育関係者向けSIDS資料」をご参考にしてください。

はじめに

SIDSは、保育者が眠っているお子様を側で見守っていても、お顔の表情や体の動きなどから異常を感じるようなサインが出ないため、呼吸停止直前、直後であっても、お子様の急変に気付くことが難しい疾患です。SIDSによる呼吸停止は、保育者の知識、経験からも予測できない状況で起こります。

現在も確実にSIDSを予防する方法は確立されていませんが、保育現場で実施できる予防法、いち早く呼吸停止を発見する方法、呼吸停止発見時の対応など、それぞれのポイントをまとめました。これらを知ったうえで保育を行うことは、お子様の命をさらに守ることにつながります。また、近年は睡眠チェックと併せて睡眠センサーも広く利用され始めているので、機器を選ぶ際のポイントなども記載しています。

睡眠中の見守りのポイント

  1. SIDSは「預かり初期」に発症リスクが高いことが分かっています。
    アメリカでは、預かり1週間以内にSIDS発症の全体の3分の1、さらにその半数が初日に発症しています。2006年の国内調査でも、アメリカと近似した結果が出ていますが、さらに、預かり1か月以内のSIDS発症率が高いことが確認されました。注1

  2. お子様が睡眠中、寝返りでうつぶせ・横向きになった時は、すぐ仰向けに戻しましょう。以前から、うつぶせへの体位変化後、短時間の間にSIDSによる呼吸停止が起きている事案をお聞きしているからです。

    ※「寝かせる時だけだから」と、うつぶせ寝にしないようにしましょう。
    ※SIDSは病気です。窒息事故ではありません。SIDSはお子様がうつぶせ寝で口鼻が閉塞していない状態、横向き寝・仰向き寝の体位でも発症します。

  3. うつぶせ寝の習慣があるお子様は、仰向き寝の習慣をつけていきましょう。
    保護者のご協力を頂くためには、SIDSについて保護者へお伝えさせて頂くことも必要です。注2それはご家庭でのSIDS予防だけでなく、事故予防にもつながります。

  4. 睡眠チェックは、お子様に優しく触れることで、「生きている確認」と、「刺激による予防」を同時に短時間で実施できます。

    ※目視によるチェックでは、SIDSによる呼吸停止に気付くことが難しいです。

  5. 睡眠中の部屋は暗くしないよう、布団が顔に掛からないようにしてください。
    「お顔の表情がよく見えるよう」 「呼気がこもらないよう」にするためです。
    (部屋が暗い場合は、カーテンを開けたり電気をつけるなど、調整してください。)

  6. 睡眠チェックは、タイマーによる確認が有効です。
    チェックが1回でも抜けることが無いよう、継続していくことが大切です。それはチェック表の信頼性だけでなく、お子様の健やかな保育にも一層、つながります。

  7. 睡眠チェックは、SIDSの予防だけではなく、突然の事故予防や、けいれん・嘔吐・発熱など、体調急変時の早期発見・対応もできます。
    また、お子様が汗をかいていたら室温調整、かけ布団を減らすなど、きめ細やかな対応もできますので、健やかな保育にも一層、つながります。

  8. 保育施設での睡眠用センサーの導入は、睡眠チェックの補助としてだけでなく、睡眠チェックに取り組まれる保育者の精神面にも有用と考えています。ただし、睡眠用センサーは保育者の代わりではありません。そのため、「センサーがあれば、睡眠チェックを省略できる、チェックする頻度を減らせる」という誤解はしないでください。

睡眠用センサーについて

  1. 睡眠センサーは「ベビーセンサー、呼吸センサー、睡眠センサー」などと言われておりますが、法律上は「体動センサ」と言われる医療機器で、厳密には呼吸・心拍そのものでは無く、呼吸レベルの体動、心拍レベルの体動を検知する機器になります。(医療機器未登録の物もあります。)
    布団などの下に敷くマット型、衣類などに装着するバッジ・クリップ型、バルーン貼付型(腹部に貼ります)があります。注3

  2. 睡眠用センサーは、保育者による睡眠チェックの補助サポートとしての利用が前提です。

  3. 保育睡眠中、本体センサーのアラーム音による複数の呼吸回復事案から、音による刺激が覚醒につながる場合もあると考えています。そのことから、誤作動で鳴ったと思われるアラームでもお子様の状態に注意してください。また参考情報として、マサチューセッツ総合病院では、SIDSを発症された数人のお子様全例に、生前徐脈が見られたことに気づかれ、徐脈のあるお子様には全てモニターをつけるようにされたところ、1984年以来、お一人もSIDSを発症していないという報告(1990年)があります。注4

  4. 3.より、睡眠用センサーのアラーム音による体動低下時の覚醒効果も期待しています。

    ※センサーには、本体にアラームが鳴る機器と、鳴らない機器があります。

  5. 注意:タブレット端末等遠隔でモニタリングされる場合、以下2点を必ずご確認ください。
    ・機器の無線の接続状況。
    ・無線アプリの設定対象のお子様と、実際にセンサーを利用されているお子様の相違。
    (設定対象と違うお子様のモニタリングを予防するためです。)

緊急事態発生時の対応

マニュアル作成時のご参考にして頂けましたら幸いです。

  1. 電話機の側に園の住所、電話番号など消防へ伝える内容を記載した緊急連絡票を掲示しておきましょう。

    ※119番通報時、慌ててしまい必要な情報を適切に伝えられない場合があるためです。

  2. お子様の緊急事態に気づいたら、大声で周囲に知らせると共に、心肺蘇生など必要な応急手当を実施しましょう。一刻を争う中、お子様をその場に残して、他の職員を呼びに行かないでください。

  3. お子様への対処方法が分からない場合、119番通報時に「口頭指導」※を仰ぎ、救急隊が来られるまで、その指示に従ってください。

    ※通信指令員より対処方法を教えて頂けます。このことを「口頭指導」といいます。

  4. 「口頭指導」時は、電話のハンズフリー機能を活用しましょう。

    ※通信指令員の声が聞きとれるよう、電話の受信音量を大きくしてください。
    ◎災害時も含め、緊急時にすぐ連絡ができるよう、携帯電話を保育者が常時、携帯している保育園もあります。

  5. 救急隊が保育園に到着されても、「交代します」と声をかけられるまで、応急手当を続けましょう。

ご参考:心肺蘇生などが学べる学習キット(マネキン・DVDなど)が販売されています。

・約30分間で小児・成人の心肺蘇生・AEDなど学習できるもの。
・約20分間で乳児の心肺蘇生・気道異物除去が学習できるものなど。

※定期的な救命講習会の受講と共に、学ばれたことを忘れないために復習も必要です。




  • 注1 American Academy of Pediatrics:REDUCING THE RISK OF SIDS IN CHILD
    CARE. Copyright©2004 アメリカ小児科学会
    論文:保育預かり初期のストレスとSIDS危険因子の関係について
    伊東和雄・中村徳子 小児保健研究 2006年 第65巻第6号 836-839
    https://www.blog.crn.or.jp/lab/09/01.html
  • 注2 SIDSについて保護者へお伝えする方法
    「小さな灯を守ってSIDS(乳幼児突然死症候群)から赤ちゃんを守るために」(NPO法人 SIDS家族の会発行)の活用が有効です。
    ◎SIDSについて保護者へお話される際、育児不安をもたれてしまうのではないかとご相談される保育者が多いです。「小さな灯を守って」は、保護者が育児不安をできるだけもたれないよう配慮して制作されており、説明用としても有用です。
  • 注3 薬事法上の一般的名称「体動センサ」のカテゴリーの機器で、呼吸、心拍では無く呼吸レベルの「体動、心拍レベルの体動を計測する」という、法的制限があります。
    ※種類
    大きく分けて以下の4つの型に分類できます。
    ・「マット型」
    ・介護施設向けで開発された「エアマット型」
    ・「バッジ・クリップ型」
    ・NICU(新生児集中治療室)等でも使える、高精度な「バルーン貼付型」
    ※特徴
    ・「マット型、エアマット型」布団やマットの下に置くだけで使え、お子様に触れたり装着したりする必要はありません。
    ・「バッジ(衣類などにつけます)・クリップ型(オムツなどに挟みます)、バルーン貼付型(お腹に貼ります)」
    ※体動センサーの特徴
    センサー自体は呼吸や心拍だけでなく多くの振動を検出しており、その中から特定の振動を呼吸や心拍として類推するノウハウにメーカー各社の違いが有ります。
    ※体動センサーの特性
    医療用、介護用、海外の家庭用と全てベッドや保育器等で使用する事を想定して開発しているものが大半です。
  • 注4 「ゆりかごの死―乳幼児突然死症候群(SIDS)の光と影」P400より(著者:阿部寿美代氏)

筆者プロフィール
中村 徳子(なかむら・のりこ)
託児ママ マミーサービス代表
(保育中の突然死予防研修推進会メンバー、NPO法人 SIDS家族の会 医学アドバイザー)
URL http://mommy-sids.com/
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