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【ドゥーラ TRAINNING編】第6回 ドゥーラと医療者の協働のコツ

はじめに

アロマセラピー(芳香療法)にはさまざまな目的や方法があり、妊娠・出産中のリラックスや安産のためにも広く活用できる可能性があります。しかし、妊産婦や胎児の安全を確保しながら、効果的に使用するには、知識やスキルが必要になります。ロールプレイを用いたドゥーラトレーニング・セミナーの第4回である今回は、以前のCASE編の記事(【ドゥーラ CASE編】第12回 国内の開業クリニックにおける病院ベース型出産ドゥーラの実践:前田産婦人科アロマセラピールーム)でご紹介したアロマセラピストと出産ドゥーラである原田香氏より、妊娠・出産中のアロマセラピーの使い方のコツを教えていただきました。さらに、同産婦人科の助産師・井澤佳奈氏と原田氏の対談では出産ドゥーラであるアロマセラピストと助産師との上手な連携について学び、最後に出産ケアのロールプレイ演習を行いました。

イベントの概要
日時2020年1月21日(火)
場所筑波大学東京キャンパス
参加者アロマセラピストを中心に、助産師、ドゥーラ、その他、計75名程度
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妊娠・出産中のアロマセラピーの可能性と安全性

第1部では、原田氏が妊娠・出産中のアロマセラピーの可能性と安全性について講演をしました。アロマセラピーにより、妊娠中の不安や出産中の痛みを少しでも和らげ、妊産婦さんに心から快適に過ごしていただくために必要な知識をふんだんに提供していただきました。参加者に1分間香りを嗅いでもらって気持ちの変化を体験してもらったり、10ml 4,000円と10ml 300円の真正ラベンダー精油の香りを嗅ぎ比べて純度の高い方を当ててもらう演習も行い、とても盛り上がりました。原田氏の講演録と質疑応答の詳細はこちらをご参照ください。

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系統的でわかりやすい講義の様子

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セラピストを中心に満席で熱気あふれる会場の様子

イベントの後半は、前田産婦人科で出産ドゥーラをどのように取り入れ、現場で実際にどのように連携しているのかについて、原田香氏と同産婦人科の勤務助産師である井澤佳奈氏(助産師)とで、参加者からの質疑に答えました。最後に、参加者と共に出産ケアのロールプレイ演習を行いました。

原田氏へのインタビュー

Q1:前田産婦人科の特徴を教えてください
【原田氏】:
出産ドゥーラを導入している産婦人科が少ない中、アロマセラピストが付き添う分娩である「アロマ分娩」というユニークな方法でドゥーラ・サポートを実現している前田産婦人科(神奈川県平塚市)では、希望する妊産婦さんにマタニティケア&産後トリートメントを行っています。私たちのクリニックは、一言でいうと普通の産婦人科です。患者さんは、経済的にも出産に対する考え方についてもごく平均的です。痛みが少なくて、できるだけ短時間で、そして安全に産めたらいいなという考え方をもつ妊産婦さんが多いと思います。無痛分娩にも対応しています。前田産婦人科では、出産ドゥーラという呼び方にはせず、アロマ分娩を提供していますが、目指すところや担う役割はドゥーラ・サポートと同じで「産婦さんを1人にさせない」ということを一番に考えています。具体的には、体のマッサージや心のケアをしつつ、私たち出産ドゥーラであるスタッフ全員がアロマセラピストでもあるので、アロマセラピーのトリートメント等も行います。出産ドゥーラと医師・助産師は、妊産婦さんのニーズを常に最優先に考えながら、良い関係を築きながらサポートできていると思います。妊産婦さんの気持ちを汲んで情報交換を行いながら、出産の計画を立てるという面でも協力しあえているように思います。

Q2:妊産婦さんはどんな期待をしてアロマ分娩に申し込まれますか?どんな評価を得ていますか?
【原田氏】:
当院でアロマ分娩を申し込まれる妊婦さんがいったい何を期待して申し込まれるかについて調査したアンケート結果によると、やはり一番は「リラックスしたい」とか、「癒されたい」とか、そんな気持ちで申し込まれます。2、3番目には、ありがたいことに「前回のアロマ分娩がよかったから」というリピーターの方とか友人・知人からの口コミを聞いて申し込まれる方もおられます。また、「アロマのプロのケアを受けたい」という理由で申し込まれることもあります。あるいは、「前回のお産がつらかった」から、より満足・納得できる出産体験を求めている方もいます。具体的には、前回は「陣痛が痛かった」とか、「時間がかかった」とか、それ以外に、「求めるケアをしてもらえなかった」とか、「不快な言葉を投げかけられた」とか、「励まし続けられたのが逆にすごくプレッシャーだった」などという方もいらっしゃいました。 2019年8月~12月に集計したアロマ分娩を受けた方の評価としては、「痛み」に関して、もしアロマ分娩を行わなかったと想像した場合の痛みを10として、どのくらい痛みが下がったと思うかを尋ねたところ、2.76まで下がったと思うという結果でした。「不安感」についても同様に聞いたところ、0.9まで下がったそうです。出産への「満足感」に関しても100%の方が満足という回答をいただいています。具体的には「心強かった」とか「安心できた」という言葉が多いです。私が個人的に、一番言われたいけれど年に数回しか言ってもらえないと感じている言葉は、「大切にされた」という言葉です。産婦さん自身が、出産において大切にされた、女性の尊厳、権利の擁護を「大切にされた」と感じていただけたらいいなと思っています。

Q3:ドゥーラとして、原田さんの失敗談や、心がけていることを教えてください
【原田氏】:
ドゥーラとして私の一番の黒歴史は、目的が「私自身(ドゥーラ)」になっていた時期があったことです。「産婦さんのために素晴らしいサポートをするドゥーラとしての私」を追及してしまっていた時期がありました。現在は11年目ですが、2、3年目のちょうど脂がのってきた頃にすごく調子づいてしまい、自分が行ったマッサージやツボ押しで、すごくお産が進んで、最後にものすごく感謝されて、自分の中でよいサポートができたという経験が何度か続きました。すると、感謝されることが気持ちよくなってしまい、その素晴らしいサポートをすることではなく、自分のサポートによってよいお産に導けた、という自分の満足を目的にしてしまった状態に陥ったことがありました。

私たち非医療者が出産の現場にいる一番の目的は、女性の尊厳追及と権利の擁護をすることだと思っています。今、大切にしていることとして、女性の尊厳を守るために、出産ドゥーラとして私は「病院の人(医療者と同じ立場)」にならないよう気を付けています。出産の現場においては、どうしても医療者の専門性に引っ張られて、医療者が強者、妊産婦さんが弱者という関係になってしまいがちですので、医療者ではない私たちには、できるだけ妊産婦さんが何でも言いやすい環境を作るよう心がけています。また逆に「医療を否定しない」ということも心がけています。今実際に医療の現場にいる妊産婦さんに対して、医療を否定するようなことは絶対に言いません。日本の医療と福祉制度が発達したおかげで、日本は世界で一番安全に赤ちゃんが産める国であることは、素晴らしいことであり、医療を否定しないようにしています。

また、医療者ではないので、出産がどれくらい進んでいるかを知りたくても、内診の場にはいないようにしたり、医療者の前にできるだけ出ないように、産婦さんの後ろに回って腰をさすったり、後ろからケアをするなど、「下から支える」ということを意識しています。他にも、例えば産婦さんに陣痛中に呼吸をしていただきたい場合には、「ふー、ふー」と自分が口で言うようにだけして、「指導」にならないようにしています。産婦さんには、できるだけ頭を使わせないようにして、音に引きずられていつの間にか何となく呼吸法をやっていただくことを目指しています。私の個人的なポリシーとしては、出産直後すぐに「おめでとう」と言わないようにしています。出産直後はオキシトシンの量が最高潮に達しているので、ぼーっとしている気持ちいい状態から覚醒させたくないのです。一番にご家族や、助産師さんなど医療者の方たちで「おめでとう」と言い合って喜んでいただきたいと思っています。なので、サポート役の出産ドゥーラは、皆さんのおめでとうが終わった後、一番最後に「おめでとうございます」と言うように意識しています。

前田産婦人科助産師・井澤氏と出産ドゥーラ・原田氏への質疑応答

Q(参加者):前田産婦人科でアロマセラピーを導入するきっかけを作ったのは、前の院長の娘さんだということですが、原田さんはどういう経緯で前田産婦人科に入られたのか、きっかけなどが知りたいです。
A(原田氏):
前田産婦人科へのアロマ分娩導入当初は、娘さんが通っていたアロマスクールから、アロマセラピストであるスタッフが派遣される形だったようです。その後、産婦人科所属のスタッフが後を引き継ぐことになりました。私はイギリスで妊産婦のアロマトリートメントをメインに勉強をしていたので、そんなつながりから採用していただきました。現在はスタッフが9人いますが、ほとんどがスタッフの紹介で入ってきた方々です。平塚に通えるかということや、お人柄、技術、資格などを見て採用しています。

Q(参加者):私が勤める分娩室では助産師がメインに産痛緩和などをしているのですが、出産ドゥーラと助産師の役割の分け方について教えていただきたいです。
A(井澤氏):
基本的に産婦さんへのマッサージや声掛けなどは、ドゥーラが行います。助産師はモニターの管理や、内診などを適宜行い、お産になれば分娩介助をする、というふうに分けています。あとは、私たちの病院では医師が外来と病棟を両方担当することが多く、医師は産婦さんの診察(内診)のために急に現れて、終えるとさっと外来へ戻ってしまうことが残念ながらあります。せっかくリラックスして過ごしていた産婦さんが急にぽんと現実に戻されて、思っていたよりお産が進んでいなかった場合には、その後に少ししょげてしまうことがあるので、出産ドゥーラは産婦さんがまた頑張ろうと思えるような言葉がけをして、気持ちを盛り立てる役割を担っていると思います。

Q(参加者):私の病院でも、無痛分娩が増えています。無痛分娩では痛みがなくなるため、産婦さんは割とリラックスして過ごされるし、助産師の仕事もバイタル(体温、血圧や脈拍等)をはかるなど仕事が増えると思いますが、そういう場合にはドゥーラはどんな役割を行いますか?
A(原田氏):
まず、入院してから硬膜外麻酔を投与するまでの時間があると思います。もともと痛みに対する不安が強い方が無痛分娩を選ぶことが多いので、最初はリラックスのために足浴や足や肩腰のマッサージなどのケアを行います。硬膜外麻酔を開始した後は、引き続きリラクゼーションのケアや、かゆみに対するケア(かゆみの出やすい胸元やお腹周りにジェルやおしぼりなどで適度な冷罨法)も行います。無痛分娩であっても、最後の努責感(いきみたい感覚)は残っていますので、産婦さんによっては努責の痛みへのケアを行います。

Q(参加者):助産師さん側から見て、出産ドゥーラの人と一緒にお産のケアに入って、いいなあと思うところはどういうところですか。
A(井澤氏):
私がドゥーラという言葉を知ったのが、カナダのワーキングホリデイ時代でした。実際にドゥーラに付き添われてお産をした女性たちと話をしたり、遊んだりしながら、ああ、そういうのっていいなと思っていました。たまたま就職した前田産婦人科で、出産ドゥーラ(アロマセラピスト)のシステムが出来上がった状態で入職したため、「アロマセラピストさんがこうやっているから私たち助産師の役割はこっち」という役割分担ができた状態でした。ですので、特にハードルもなく、すんなりと受け入れられて、一緒に働けていると思います。もしかしたら世の中には、出産ドゥーラに対して少し否定的な考え方をする助産師もいるかもしれませんが、きちんとしたケアをするために私たち助産師と産婦さんの間に入ってくれる存在です。純粋に産婦さんの味方についてくれていて、医療者に直接言えないこともドゥーラには伝えやすいこともあります。そんなときはドゥーラが産婦さんの気持ちを代弁してくれるので、私たちの方もそれを汲み取って不安を打ち消すことができるので、うまくバランスがとれているように思います。

Q(参加者):第三者的な目で見ると、助産師と出産ドゥーラの仕事は重なっているように見えます。特に、多くの助産師さんは妊産婦さんに寄り添うケアを目指している中で、ドゥーラさんが入ってきてやってしまうってことで、「それは私たちの仕事だ」と思ったりはしませんか?
A(井澤氏):
正直、私はそんなに違和感はありません。一対一で看護ができればもちろんベストですが、同時に分娩進行している人は2人3人といて、それを助産師1人で担当しているという状況が結構あります。一対一でケアしてもらえた人と、そうしてもらえなかった人との差が結構あるのです。自分が他に応対しなければならない時に、担当ではない看護師や助産師から産婦さんに、「あなたの担当助産師はしばらく来れないので、私が対応します」と伝えてもらい、産婦さんにとって見慣れない担当者に看護をお願いしなければいけなかったり、産婦さんを1人あるいはご主人と2人、ぽつんと置いて行かなければならない心苦しさを感じていることがすごく多いのです。そういう時にドゥーラがそばにいてくれると、こちらも安心してそこを離れられます。また、戻っていく時にも、「ごめんね」という気持ちではなく、「また来たよ」という心構えで行けるので、同時に複数の患者さんを担当する立場の私としては、安全面なども考えると、出産ドゥーラがいた方が安心感があって良いと思います。

ドゥーラ業界についての今後の要望としては、現在は前田産婦人科では月曜日から土曜日の日中にしかアロマセラピストのドゥーラが対応できていないので、休日や夜間に陣痛が来たりして入院された場合の対応ができていません。出産ドゥーラに付き添われたお産がしたかったのに実際はできなかったというケースもあるので、週末にも対応できるようにドゥーラの人数を増やしたり、産婦さんが負担するコストの問題についても改善するといいかなと思っています。そのためにはやはり、出産ドゥーラの絶対数が増えるのがいいとは思いますが、やみくもに数だけ増えるのも心配です。前田産婦人科で働いているドゥーラの皆さんを見ていると、ただ資格があるだけではなく、本当にお人柄が良くて、これはきっと面接でそういう人を選んでいるのだろうなと思うくらい、産婦さんに寄り添える対応能力が非常に高い方が多いです。その能力をどのように習得するか、どのように人数を増やしていくか、というのが世界中の出産ケアの課題であり、ドゥーラに対する妊産婦さんのニーズだと思いますので、ぜひみなさん頑張ってください!

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グループでロールプレイ演習を楽しむ参加者の方々と、奥中央に立つ井澤佳奈氏

最後に、4~5名ずつのグループに分かれてロールプレイ演習を行いました。シナリオは、「かかわりに困難を感じた事例」について収集した研究データを編集して複数作成したものから、毎回1例を取り上げて使用しています。

実際に行われたロールプレイのシナリオ

シーンカテゴリー
時期:分娩期
ドゥーラ・サポート要素:アドボカシー、情緒的サポート

登場人物のリストと人数
①ドゥーラがいない想定:妊婦、夫、義母、実母 【4名】
②ドゥーラがいる想定:妊婦、夫、義母、実母、ドゥーラ【5名】

状況の説明
初産婦。子宮口は5cm開大、陣痛は3~4分おきで徐々に強くなってきている。陣痛室は個室で、産婦がOKであれば誰でも付き添うことができる。初孫の誕生を楽しみにして実親と義親も駆けつけ、大勢が付き添っている。

初めの一言(この一言からロールプレイをスタートします)
産婦「痛くなってきた...」(表情がこわばっている)
義母・実母・夫は産婦そっちのけで明るく会話
義母「この病院、おしゃれねえ」
実母「お料理も美味しいんですって!」

実際の体験(このデータを提供したベテラン支援者の方からのコメント)
両親・義両親など大勢揃うと、妊婦さんそっちのけで話が盛り上がってしまい、大勢いるのに妊婦さんはひとりぼっちと感じるような状態。やんわりと、おしゃべりを控えていただくようにお願いしても、すぐにまた繰り返す。良い解決方法があるのか、いまだにわかりません。

この体験にロールプレイで寄り添いました。

ロールプレイ:参加者のコメント
ロールプレイ演習では、分娩から産後に起こりやすい難しいテーマの中からグループで1つを選び、妊産婦さん、ドゥーラ、フィードバックする役を実演しました。7つのシナリオのうち、私たちのグループが演じてみた中で特に印象に残ったのは、不安な初産婦さんを置いてきぼりにした状態で、初孫を楽しみにする実母と義母が雑談している場面でした。自分が初産婦さんだったらこんな状況イヤだなぁ、実母ならまだしも義母には強く言いづらいだろうなぁと思い、私がドゥーラの役をやってみた時は、とにかく初産婦さんに目を向けようと思い、義母実母はおいておき、「痛いですね。大丈夫ですよー、深呼吸しましょう」など、初産婦さんにかける言葉ばかり考えていました。
でも、この場合、実際の現場では、まず家族に買い物を頼むなどして席を外してもらうこともあると教えてもらい、そうか、何か直接的に声をかける以外にも、出産環境を整えるのもドゥーラの役割なんだ、と気づきました。
全ての役をやってみてわかったのは、役が変わると同じ言葉でも受け取り方が違うということです。「相手の立場になって考えることが大切」とは言っても、そうなんだけど、難しい! 適切な言葉がなかなか出てこず、妊産婦さんが本当はしてほしかったことを引き出すのが難しかったです!
今回の勉強会を受講して、肝に銘じておこうと思ったのは、妊産婦ケアにおいては「相手を助けるためにすること(足し算)に意識がいきがちだけれど、相手を傷つけないこと、嫌な思いをさせないこと(引き算)の方が大事」ということです。「こう言えば正解」なんてものはないけれど、言葉に責任をもって選ぶことが大切だと思いました。ケアを受けた方に「大切にされた」と思っていただけるように、私もアロマセラピストとして、触れ方やお声がけ一つひとつを丁寧にし、お客様との一瞬一瞬を大切にしよう! と身が引き締まる思いでした。
青野由布子(アロマセラピスト)
まとめ

今回は原田氏の生徒であるセラピストさんたちが多く集い、会場はほぼ満席となり、熱気あふれるイベントでした。アロマセラピーの有効性と安全性については、ドゥーラ研究室が始まった当初に産科関係者の方からご相談があったことを思い出します。故小林登先生は、「人間の五感の中で、嗅覚は進化の歴史が古く、大脳辺縁系(本能・情動脳)と深く関係するので、根源的な営みであるお産との関係で、癒し効果があっても不思議はない」と答えておられました(ドゥーラ Q&A集)。ドゥーラ・サポートは様々な効果についての研究が進み、副作用がないことも安心して推奨できる理由になっています。一方、アロマセラピーは近年、研究が進み、起こりうる副作用をやみくもに恐れるのではなく、安全な使用法について科学的な知識が蓄積されてきたようにみえました。妊産婦や赤ちゃんへの安全は第一なので、精油によるリラックス効果を希望する妊産婦さんや関心の高い支援者は多くても、産科現場ではなかなか自信をもって実施できないのかもしれません。その点、原田氏の講演は実践に裏付けられ、とてもわかりやすかったです。

助産師の井澤氏との質疑応答では、「産婦さんが安心して満足できる出産体験を得るために」という共通の目標をもち、助産師もドゥーラも自然な役割分担や連携ができていることがわかりました。自分の職業のみを万能とみなさず、お互いの職業に敬意をもちつつ、自らの専門をプロとして全うされていることが成功の秘訣に見えました。また、ドゥーラの体制について、シフト制での働き方やコストなど直面されている課題は世界共通でした。知識やスキルだけでなく寄り添う心はどのように身につけるのだろう?という井澤さんの問題提起が印象的でしたが、ロールプレイ演習では産婦さんを中心にした、産婦さんが出産に集中できる静かな環境づくりの重要性を再確認した例などがあり、出産ドゥーラに求められる能力を多面的に学ぶ場となったと感じました。


【ゲスト講師プロフィール】

kaoru_harada.jpg 原田 香(はらだ・かおる)
前田産婦人科アロマセラピスト、出産ドゥーラ、マタニティセラピストスクール主宰 ロンドンと日本でアロマセラピストとしての経験を重ねる。2009年より、現職、前田産婦人科アロマセラピールームにて、出産ドゥーラチームで1,350件(2021年現在)の出産をサポートしてきた。また妊産婦ケア専門のアロマセラピスト養成スクールを主宰。院内サロンの立ち上げ、LUSHスパやパークハイアット東京などでマタニティトリートメント技術指導にも携わる。ITEC認定アロマセラピスト、DONA認定バースドゥーラ。
前田産婦人科アロマセラピールーム:http://www.cur-corpore.com
マタニティセラピストスクール: https://maternity-school.com
前田産婦人科:http://www.dr-maeda.co.jp/

kana_izawa.jpg 井澤 佳奈(いざわ・かな)
日本赤十字武蔵野短期大学助産学専攻科を卒業後、横浜医療センターに入職。その後、ワーキングホリデイを利用してカナダで1年過ごし、2012年より現職の前田産婦人科勤務。



執筆協力:髙橋舞衣
界外亜由美

謝辞:本イベントはJSPS科研費 16K12135の助成を受けて実施しました。

筆者プロフィール
rieko_kishifukuzawa.JPG 福澤(岸)利江子(ふくざわ・きし・りえこ)

筑波大学医学医療系 助教。助産師、国際ラクテーションコンサルタント。 ドゥーラに興味をもち、2003-2009年にイリノイ大学シカゴ校看護学部博士課程に留学、卒業。 2005年よりチャイルド・リサーチ・ネット「ドゥーラ研究室」運営。

ayumi_kaige2.jpg 界外亜由美(かいげ・あゆみ)

mugichocolate株式会社 代表取締役/クリエイティブディレクター・コピーライター。広告制作会社勤務後、フリーランスのクリエイターを経て起業。クリエイティブ制作事業のほか、「自分らしく、たのしく、親になろう」をコンセプトにした、産前産後の家庭とサポーターをつなぐMotherRing(マザーリング)サービスを企画・運営している。

※肩書は執筆時のものです

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