CHILD RESEARCH NET

HOME

TOP > 研究室 > ドゥーラ研究室 > ドゥーラ Q&A集

このエントリーをはてなブックマークに追加

研究室

Laboratory

ドゥーラ Q&A集

2005年3月 5日掲載

ドゥーラについて、本研究室のスタッフに聞いてみたいこと、ドゥーラを知っての感想、出産について知りたいことや関心のあることなど、みなさんからのご質問ご感想ご意見を、Q&Aの形でご紹介します。

 

Q:アロマテラピーの有効性について教えてください。

現在医療の現場で、統合医療、代替補完医療など変革の波が進んでいます。その中にあって、evidenceがはっきりしないと言う点で進歩・普及に待ったがかかっている分野も少なくありません。その点を踏まえて、妊娠中の体調不良(妊娠中毒症も含む)、産前産後の異常などにおいて、アロマテラピーと呼ばれているものの有効性と問題点が詳しく知りたいと思っています。

現在産婦人科の現場で、看護師、助産師の一部の方が、アロマテラピー(エッセンシャルオイルの芳香、オイルによるマッサージトリートメント)に取り組んでいる様子を聞くことがあります。彼女たちは有効性を主張していますが、私には判断ができません。 (ペンネーム/翔)

A:研究室より

ご質問ありがとうございました。翔さんのご指摘は、代替療法を新しく取り入れる時に必ず経験するハードルだと思うので、とても興味深く読ませていただきました。私はアロマテラピーについて専門的に勉強したことはありませんが、できる範囲でお答えします。

「アロマテラピー」は代替医療(alternative therapy)として、欧米で発達し、広く受け入れられているようです。私がドゥーラの養成講座を受けた際にも、リラックスやリフレッシュを促すためのアイテムとして香りについて紹介されました。アロマテラピーをさらに本格的に勉強し、分娩時のケアで実践しているドゥーラも多いようです。しかし、その有効性は個人差も大きいようで、西洋医学ほど効用が明らかにされていない割に、誤った使い方をすると副作用も否めないという問題点ももつことが、アロマテラピーがなかなか信頼を得られない難しさであるようにみえます。

アロマテラピーだけでなく、代替療法の中には、人々に受け入れられ効果が感じられながらも、効果を調べる研究が進んでいないものが多くあります。その点、ドゥーラの効果は、初期に、医師など科学的方法を重んじる研究者に注目されたため、効果や有用性を調べる研究が早くから発展してきたという点で幸運であるように思えます。効果を証明するような説得力のある研究が少ないのが実情なので、熱心なナースや助産師の方を中心に、そのような研究を日本でも進めていくことも大切かもしれません。 (岸)


Q:日本でドゥーラが広まらない理由

少子化の要因には、様々な因子が絡み合ってのことと思うが、その1つの因子として、妊娠、出産、育児に関しての不安が挙げられると思います。

ドゥーラのことを知った時、その不安解決の1つの糸口になるかもしれないと感じました。しかしながら、今まで、ドゥーラという言葉さえ耳にしたことがない程にドゥーラは知られてきていないように感じます。

なぜ、ドゥーラが日本においてはあまり広まりを見せていないのでしょうか? 諸外国で、ドゥーラの役割が広まる中で、日本では広まりを見せてこなかった理由は、諸外国と日本との育児環境や育児に関する意識の違いなど、何か主たる理由があるのでしょうか? (ペンネーム/akemi)

A:研究室より

ドゥーラは分娩を経験した女性や、周産期ケアに携わるナースや助産師などには知られていますが、アメリカでも新しい分野です。大学内(看護学部)でも、ドゥーラって何?と説明を求められることがよくあります。ある大規模な調査によると、アメリカでは、ドゥーラに付き添われた分娩は全体の分娩の約5%だったそうです(Maternity Center Association, 2002)。

akemiさんのご指摘はもっともで、日本では小林登先生が折に触れて紹介されてきたのにそれほど広まらなかったのには、アメリカなど諸外国とは異なる社会背景があるのだろうと考えさせられました。以下は私の所感です。

まず、アメリカではドゥーラの出現はフェミニズム運動の影響が大きいのですが、日本ではフェミニズム運動がそれほど強力でないことが理由に挙げられると思います。「私の出産は私がコントロールしたい」、という主張や、「それを実現できないのは社会のメカニズムに問題があるのでは?」という疑問の声が、社会的に大きく取り上げられず、不満を感じながらも我慢してしまう女性が日本では多いのかもしれません。他に考えられる要因としては、ナース不足もアメリカではより顕著で、陣痛中に付き添ってもらえない産婦がより多く、ドゥーラのニーズを高めたのではと考えられます。さらに、日本では産後の入院期間が長く、退院後も実母やお姑さんからのサポートが受けやすく、地域の助産師(産婆)も活動しているので、周産期ケアに新しく職業を生み出すほどニーズが大きくなかったのかもしれません。最後に、現在、ドゥーラに関する情報は英語で書かれたものが多いので、日本ではドゥーラについての情報の量も十分でなかったと思います。(岸)

参考文献
Maternity Center Association. (2002). Listening to Mothers: Report of the first national U.S. survey of women's childbearing experiences. Executive summary and recommendations. Harris Interactive.

私がドゥーラという考え方を紹介したのは1970年代末から80年代に移る頃でした。当時は西洋医学万能で、患者さんの心を考える医療人は少なく、ドゥーラで医療費もとれなかったためもあったでしょう。

患者さんの人権思想も強まり、医療人も患者さんの心を大切にせざるを得なくなったことがあると思います。そのような反省にたって、今世紀に入って、日本でも、「医療の人間化」が進みつつあることは喜ばしいことです。(小林)


Q:ドゥーラになった気持ち

夫とドゥーラの関係やあり方を書いてある節がもっとも興味が惹かれました。ドゥーラが産婦や夫の出産のつらさに寄り添うというあり方は、今の日本にない新しい考え方だと思います。ドゥーラがその仕事に携わるにつれて、どのような心境の変化があったかそのような支援する側に沿った関係のあり方をもっと知りたいと思いました。 (ハンドルネーム/こむ)

A:研究室より

父親調査(2005)でも明らかになったように夫立会い分娩が急速に普及しており、どんなタイプの夫も安心して立ち会うことができ、夫婦そろって出産をいい思い出にしてもらえるように、新たな工夫が求められているようです。ドゥーラのサポートは産む女性だけでなく、付き添う家族(夫や上の子どもなど)も対象にしています。アメリカでは、ドゥーラは夫でも家族でもない、訓練された女性、と定義されることが多いのですが、日本ではどんなふうにドゥーラのコンセプトを取り入れていくべきか、とても興味深い問題です。アメリカではどんな女性がドゥーラになるべきと考えられているのか、実際にどんな女性がなっているのか、ドゥーラはどんなことを感じ経験しているのか、ドゥーラと産婦さんの関係についてなど、数は少ないのですが、社会学などで研究されつつあります。効果に関する研究の後に、紹介いたしますので、ぜひ読んでいただければと思います。 (岸)

参考文献

「乳幼児の父親についての調査」(ベネッセ次世代育成研究所・2005年12月)

ラファエルさんの本には、妊婦さん、産婦さんの身近にいる人なら誰でもドゥーラになれると書いてあります。最も身近な夫はもちろんです。お母さんとの接触の多い小児科医だって、お母さんのお産に対する心の持ち方をよりよくすることはできます。プレネイタルビジットは、特に重要です。ドゥーラ効果の意義をよく知って、それを生かして、お母さんや夫の教育をすることが、医療人としては重要ではないでしょうか。 (小林)
 

このエントリーをはてなブックマークに追加

TwitterFacebook

遊び

メディア

特別支援

研究室カテゴリ

所長ブログ

Dr.榊原洋一の部屋

小林登文庫

PAGE TOP