幼児教育と保育(Early Childhood Education and Care、以下ECEC と略記)における関心の高い課題の一つは、「保育の質」である。その一つの側面が、親の経済的な負担ということである。
日本では2019 年10 月1日より、3歳から就学までの「幼児教育・保育の無償化」が施行された。そこでいくつかの課題が浮き彫りになった。世界の多くの国がこの年齢のECECが無償化されている、あるいは無償化しようとしている。そこで、各国の比較から問題点を明らかにしたい。
我々は、保育の質を検討するためのツールとして、10か国、11 地域(日本・中国〈上海市〉・インドシア・韓国・ニュージーランド・イタリア〈ピストイア市、レッジョ・エミリア市〉・イングランド・オランダ・スウェーデン・フランス)を選定し、それらの国・地方レベルの保育の理念と政策、現場の課題やニーズ、保育者の意識・育成、子どもの成長発達、子どもの評価などの視点で、各国・地域の保育の実情が比較できるように、それぞれの特徴を抽出し書き出したマトリクスを作成した。この資料は、それぞれの国や地域に精通する専門家集団によって執筆され、CRNでまとめ、作成した。
本発表では「世界の幼児教育・保育の無償化」問題に関して、この資料をツールとして活用し、比較検討を試みる。
※このポスターは、2022年7月12~15日にギリシャ・アテネで開催されたOMEP第74回世界総会・大会(2022年)で発表されました。