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研究室

【子どものからだと健康】第5回 食物アレルギーの起こるしくみ

榊原 洋一 (CRN所長、お茶の水女子大学副学長)

2016年9月 2日掲載
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このコーナーでは、小児科医であるCRN所長が子どものからだや健康に関する疑問・悩みにお答えしていきます。一覧はこちら


【質問】
6ヶ月になる娘に初めて粉ミルクを与えたのですが、下痢が2週間も続くので心配になって病院にかかったところ、ミルクアレルギーと言われました。大豆から作った粉ミルクで下痢は治まりましたが、これからも乳製品を避けなければならないのでしょうか?

【回答】
食物が原因(アレルゲン)となって、過剰な免疫反応が起こり、下痢や嘔吐、喘息、じんましんなどが起こる病気を総称して食物アレルギーと呼びます。食物アレルギーの原因で最も多いのが、ミルク(牛乳)で、ついで卵や大豆、ナッツ類、魚肉などが続きます。

細菌が体内に入った場合、細菌のタンパク質に対する免疫反応が起きて、人は感染症にかからないですみます。食物の成分のタンパク質は腸でアミノ酸に分解されて吸収されますが、その際分解されずに残ったタンパク質も一部吸収されます。この分解されなかった食物中のタンパク質に対し、人を感染から守る上記の免疫反応が起こってしまうと、それを体から排除しようとするために、食物アレルギーが起こってしまうのです。免疫グロブリンE (IgE) や、リンパ球が分泌するサイトカインとよばれる物質による免疫反応は炎症を引き起こしますが、それが腸に起こると下痢や嘔吐、皮膚で起こるとかゆみやじんましん、気管支で起こると咳や呼吸困難などの症状が起こります。まれに、全身の血管で炎症作用が起き、血管が拡張して低血圧やショックになり、命にかかわることがあります。

誰でも腸からタンパク質の一部が吸収されて体内に入るのですが、免疫反応を押さえる働きによって、大部分の人は食物アレルギーにならずに済みます。ただ乳幼児では腸がまだ未熟なために5−6%の子どもが食物アレルギーになります。成長するに従って、次第にアレルギー反応を起こさないようになり、食物アレルギーの大人は2%位まで減ってしまいます。ただ残念ながら、どうして食物アレルギーを起こす人と起こさない人がいるのか、正確なことは分かっていません。

ミルクアレルギーは、自然になおることが多いので、今は乳製品を避ける食生活を続ける必要がありますが、いずれ乳製品を食べても食物アレルギーは起こらなくなることが大半です。ただピーナッツによる食物アレルギーのように、成長してもなおりにくいタイプもあることが分かっています。


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筆者プロフィール

report_sakakihara_youichi.jpg榊原 洋一 (CRN所長、お茶の水女子大学副学長)

医学博士。CRN所長、お茶の水女子大学副学長。日本子ども学会理事長。専門は小児神経学、発達神経学特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。趣味は登山、音楽鑑賞、二男一女の父。

主な著書:「オムツをしたサル」(講談社)、「集中できない子どもたち」(小学館)、「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)、「はじめての育児百科」(小学館)、「Dr.サカキハラのADHDの医学」(学研)、「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」(講談社+α新書)など。
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