要旨
社会情動的スキルは幼児期に育成することが極めて重要である。こうしたソフトスキルは、健全な子どもの発達の保護的要因であるレジリエンスを確立するための基礎となる。本研究では、保育者の「社会情動的スキル」と「レジリエンス」という用語の理解と、4~6歳児のレジリエンスを育むために保育施設で行われている実践について調査した。オンラインによる詳細なインタビューの対象者として、非確率抽出法であるスノーボールサンプリングを用いてタイの保育者11名を選び、半構造化質問を用いたインタビューを行った。その逐語記録をもとに内容分析を行い、リサーチ・クエスチョンに対する回答データを生成した。回答データの結果、タイの保育者は、子どもが幸福で成功した人になるための重要なスキルとして、社会情動的スキルとレジリエンスを重視していることが判明した。保育者11名のうち2名は「レジリエンス」という言葉を聞いたことがなかったが、「社会情動的スキル」については全員がよく知っていた。社会情動的スキルは社会情動的な発達に関連するものとして、タイの2017年国家幼児教育カリキュラム(改訂第2版)に記述されている。社会情動的スキルとレジリエンスを育成する取り組みは、次の3つの側面から構成される:1)物理的環境:居心地の良い家庭的な環境や広いプレイルームなど、2)活動:芸術的活動、マインドフルネス・トレーニング、7つの習慣、実行機能、感情に関連した物語、自由遊び、音楽と運動、料理、感情カードを使った感情のチェックインとチェックアウト、感情日記、タイの伝統的なゲームやボードゲーム、自己評価ワークシートなど、3)保育者による指導:模範を示す、前向きな規律、クラスのルールづくり、適切なタスクの割り当て、感情を認識する方法の指導、個人/ペア/グループでの作業割り当て、バディ制度の採用など。
キーワード: 保育者、視点、レジリエンス、幼児
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