要旨
本レポートは、4~6歳児のレジリエンスと社会情動的スキル(SES)の発達に焦点を当て、マレーシアの幼児教育(ECE)の現況について詳しく論じるものである。本研究では、レジリエンスと社会情動的スキルの育成について保育者の考え方、取り組み、課題について洞察を得るために、フォーカスグループとのインタビューおよび保育者との個別インタビューを組み合わせた調査を実施した。その結果、保育者たちが社会情動的スキルとレジリエンスを子どもの社会的インタラクション、感情の制御、適応的な対処法のための重要な基礎能力として認識していることが明らかになった。また、様々な情報源を活用して理解を深め、効果的な教育的アプローチを実践していることも確認できた。一方、正規のレジリエンス評価ツールが欠如しているため、保育者が保護者にフィードバックを提供する際には自身の観察、判断力、一人ひとりに合わせたコミュニケーション戦略に依存している、などの課題も判明した。保育者の中には、マレーシアの幼児教育現場における社会情動的スキルとレジリエンスの理解と実践を促進する重要な要因として、文化的および言語的な視点を指摘する者もいた。レジリエンスを育成するために幼児教育・保育施設で取り入れているアプローチに関しては、ソーシャルサポートネットワークの構築、感情制御スキルを教えること、子どもの自立心や自信の強化などが挙げられた。こうした取り組みは最終的に子どものホリスティックな発達と将来の成功に貢献すると考えられている。こうした調査の結果から、社会情動的スキルとレジリエンスの育成における保育者の役割が極めて重要であることが明らかになった。マレーシアやその他の国における幼児教育の質を高めるためには、標準化された評価ツールの開発や文化的にインクルーシブな教育実践の促進に向けた取り組みが求められる。
キーワード: マレーシアの幼児教育、レジリエンス、社会情動的スキル、レジリエンスと社会情動的スキルという用語の文化的解釈、子どものレジリエンスを育成するアプローチ、マレーシアの幼児が直面する逆境と困難
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