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【マレーシア】母親の養育態度および子育て意識と 子どものレジリエンスとハピネス(QOL)との関連

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CRNA国際共同研究:アジア諸国にみる「ハッピー&レジリエントな子どもをどう育むか」
1) 著者のインタビュー

CRNA国際共同研究に参加するアジア8ヶ国・地域の共同研究者のみなさまに、下記3問について伺いました。

Q1 なぜ今回の国際共同研究プロジェクトに参加しようと思いましたか?
Q2 なぜカントリー・レポートでそのテーマ(ご自身が選んだテーマ)に焦点を当てましたか?
Q3 調査分析を通して、一番の課題・ポイントと考える点は何ですか?



※動画は約3分です。

2) カントリーレポート
カントリーレポート全文を読む(PDF)
【要旨】


本研究は、コロナ禍が子どもたち(5歳と7歳)のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)とウェル・ビーイングに及ぼす影響を比較するために、アジア8ヵ国で取り組んでいる国際共同研究の一環としてマレーシアで実施したものである。

本研究の目的:本研究は、子どものレジリエンスとハピネス(QOL)の状態、母親の子育て意識と養育態度、さらにはこうした母親の養育態度が子どものレジリエンスとハピネス(QOL)に及ぼす影響を調べることを目的とする。

調査方法: 本研究では、共同研究に参加しているアジア8ヵ国のメンバーの意見を参考にCRNAリサーチ事務局が作成したアンケート項目を使用し、オンラインによるアンケート調査を行った。子どものレジリエンスの測定には、カナダのレジリエンス研究所(RRC)が開発したPMK-CYRM-R(児童・青少年のレジリエンス測定尺度(改訂版):子どものことを最もわかっている者を対象とするアンケート調査)を用いた。一方、子どものハピネスの測定では、ドイツの研究者Ravens-SiebererとBullingerが開発したKINDL-QOL(児童・青少年の健康関連クオリティ・オブ・ライフ調査)の質問項目を採用した(Ravens-Sieberer & Bullinger, 2000)。調査の対象者は5歳児および7歳児の母親250名とした。

分析:「子どものレジリエンス/ハピネス」に対する「親の養育態度」、「子育て観」、「子育てで力を入れていること」、「配偶者のサポート」の関連性を示す因子を特定するために単回帰分析および重回帰分析を用いた。また、5歳児と7歳児のデータを比較するために独立2標本t検定を採用した。PMK-CYRM-RとKINDL-QOL、およびその他の変数との相関関係についてはピアソンの相関係数を用い、親の養育態度における潜在的構成概念については因子分析(最尤推定、プロマックス回転、2因子)と回帰モデルを用いた。

結果:子どものレジリエンス(平均スコア)は、5歳児が中程度、7歳児は高いことがわかった。保護者・養育者レジリエンスは子どものパーソナルレジリエンスと同様の結果となった。子どものハピネスに影響を及ぼす支配因子として、「自己肯定感」、「家族との関わり」、「友達との関わり」の3つの項目が特定された。また、子どものレジリエンスは2つの年齢グループともハピネス(QOL)と密接な関係にあることが明らかになった。両グループの間にレジリエンスとハピネスの統計的差異はなく、男子と女子の差異も見られなかった。さらに調査の結果、母親の大半は懲罰的・否定的な養育態度よりも肯定的な養育態度であることがわかった。この肯定的な養育態度は子どものレジリエンスやハピネス(QOL)と密接な関係にあり、配偶者のサポートもまた子どものハピネスとクオリティ・オブ・ライフに寄与する重要な要因であることが確認された。

結論:逆境における子どものレジリエンスとハピネス(QOL)は両親や養育者のウェル・ビーイングに左右される。レジリエンスに影響を及ぼす要因は様々であるが、多くの研究者は親子関係や家族との関わりを重要視している。本稿の最後に今後の研究の方向性を提案する。



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