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【フィリピン】フィリピンの保育者による4~6歳児の「社会情動的スキル」と「レジリエンス」の理解と促進

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レポート全文
要旨

このケーススタディは、フィリピンにおいて、幼児教育・保育(ECEC)の現場にいる保育者が4~6歳児の社会情動的スキルおよびレジリエンスについてどのように理解し、促進しているかを調査するものである。フィリピンは自然災害に遭いやすく、こうした困難、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックなどの困難に立ち向かう上で、レジリエンスは重要である。本調査はパンデミック後の2023年から2024年にかけて行われたものである。しかし、レジリエンスは成長とともに発達するため、これを育むための認識と実践はパンデミック後もなお有意義である。本調査では、保育者たちのレジリエンス育成に対する認識とアプローチを調査した。まず予備調査として、園の管理職や主任保育者とフォーカスグループ・ディスカッションを行い、レジリエンスという用語に対する彼らの理解度を確認し、次いで自園の保育者たちにこの用語を提示する際の提案を聞いた。さらに、主調査としてケーススタディ・インタビューを行った結果、保育者たちの「社会情動的スキル」と「レジリエンス」という用語に対する理解度にはばらつきがあり、包括的な理解の必要性が明らかになった。保育者たちは、子どもの発達における社会情動的スキルの重要性を認識しており、これらを感情制御、社会的インタラクション、人間関係の構築と関連付けている。レジリエンスに関しては、保育者たちは、困難な状況から学び、適応力と勇気を発揮する能力であると認識していた。またこの調査では、レジリエンスの育成を目的とした教育プログラムや教材、さらには修復的対話、ピースサークル(peace circle)、ピースコーナー(peace corner)など、保育者たちが子どものレジリエンスを育成するために行っている活動や実践についても調査した。総じて、この調査の結果は、子どものホリスティックな発達とウェルビーイングを支援するために幼児教育においてレジリエンスと社会情動的スキルを育成することの重要性を強調するものとなった。また、複数のケーススタディを分析した結果、異なる園に勤めるさまざまな年齢の保育者たちが異なる認識をもっていることが明らかになった。


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筆者プロフィール
Thelma_Mingoa.jpg テルマ・ミンゴア
フィリピン・デ・ラ・サール大学教育学部教育リーダーシップ経営学科助教授。 1981年、フィリピン大学教養学部で理学士、1996年同大学教育学部生物教育科で修士を取得。2006年、フィリピン大学教育学部で特別支援教育で博士号を取得。 専門分野は、特別支援教育、ギフテッド教育、幼児教育。現在、フィリピン生物教諭協会(BIOTA)、フィリピン科学発展協会(PhilAAS)、フィリピンギフテッド協会(PAG)、全米大学優等生協会、環太平洋乳幼児教育学会(PECERA)会員。
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