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外出をどう考えるか?

榊原 洋一(CRN所長、お茶の水女子大学名誉教授、
ベネッセ教育総合研究所常任顧問)

2020年4月 6日掲載
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感染の爆発的拡散(オーバーシュート)を避けるために、不要不急の外出は避けるように政府や地方自治体の首長が要請を出しています。子どもにとっては一種の「仕事」である学校への通学も、5月の連休明けまでお預けになるケースが多そうです。  

家の中は安全かもしれませんが、狭い空間の中で長い間過ごすことは、運動不足だけでなく、精神的にも大きなストレスを生みます。

ここで、不要不急ではないが、医学的にみて新型コロナウイルス感染にかからず、また無症状患者であったとしても他の人にうつす可能性の低い「外出」の仕方を考えてみましょう。

欧米で厳密な都市封鎖(ロックダウン)をしているところでも、例えば家族だけで誰にも会わないで散歩することは許可されているところもあると聞きます。日本はそうした厳密なロックダウンは法律的にできないのですが、新型コロナウイルスの拡散を防ぐ努力は国民として行わなければなりません。

外出自粛要請が出ている中でも、ただ家に閉じこもるのではなくできる、自分にも他人にも安全な外出は次のようなものになるでしょう。

家族と一緒に近所や近所の公園への散歩、ピクニックなど。子どもが少数の友達と一緒に遊ぶ場合は、おしくらまんじゅうや相撲などの身体接触の多い遊びは避けたほうが良いでしょう。公園の広場で、家族でキャッチボールやバドミントンなどで遊んでも良いですが、周りに大勢の人がいるところは避けましょう。

家族と一緒に自家用車でのドライブや、自動車から降りてハイキングや川遊びなども、大勢の人がいない場所であれば安全。ただ遠距離ドライブで、高速道路のサービスエリアや道の駅の使用は避けたほうが良いと思います。

鉄道での長時間の移動は避けたほうが良いでしょう。暖かくなり、窓を開けるなどの工夫で空気が淀むのを防ぐことは感染予防には有効ですが、地下鉄は地下鉄構内の空気が元々淀んでいるので避けたほうが良いでしょう。

在宅勤務できない仕事、食物や日用必需品の買い物や、病院・医院への通院などは、不要不急の外出ではありません。
通院は健康維持や病気の治療のために必須ですが、同時に混雑した待合室などで、感染症を拾ってしまうことがあることはよく知られています。インフルエンザシーズンには、健診や発達の相談などはできるだけ避けるように、私自身も自分の患者さんに伝えています。

では、新型コロナウイルスが蔓延しつつある現在、通院は避けた方が良いのでしょうか? 通院の目的別に考えてみましょう。

まず、急激な発症の発熱や下痢、あるいは嘔吐などの症状や、出血量の多い怪我などの、いわゆる急性疾患の場合は、通院は致し方ありません。あまり考えたくないですが、その中に新型コロナウイルス感染が紛れ込んでいるかもしれません。4日以上続く発熱や咳が、新型コロナウイルス感染の初期症状ですが、武漢の経験では、下痢も初期症状として多いようです。

発達健診や予防接種を目的とした通院は、現在は避けましょう。健診や予防接種のスケジュールは、おおよその目安であり、数ヶ月ずれても問題ありません。 私の専門である発達障害関連での相談(言葉の遅れ、多動、コミュニケーションの問題)も、今は控えておきましょう。これも急いで結論を出す必要はありません。

一番悩ましいのが、喘息やアトピー性疾患、大人では高血圧や糖尿病といった慢性疾患で服薬を続けている場合です。薬がなくなっても病状は急に悪くはなりませんが、数週間服薬しないのは問題です。

病院や医院の方針にもよりますが、薬を多めに(例えば2ヶ月分)処方してもらえるか聞いてみましょう。年末にはそうした便宜を図って多めに薬を処方することは私自身の経験でもありますから、現在のコロナウイルス蔓延状態であれば応じてくれる病院、医院も多いと思います。

もう一つの方法はオンライン診療の利用です。これも病院や医院によって方針が違う可能性がありますが、定期的に通院して薬の処方を受けている方であれば、電話でカルテ番号を伝えると、前回と同じ処方であれば、指定の薬局に連絡が行き、病院・医院に行かずとも薬を薬局で渡してもらえます。ただし電話での相談でも、診察料は徴収されます。

急性疾患や、慢性疾患であっても、初診時(その症状や病気で初めて受診する時)には、今のところオンライン診療はできません。医師法に、初診時には医師は必ず対面診療をしなくてはならないことが、規定されているからです。ただこれも、新型コロナウイルス感染症の蔓延の状況により、変更されることになりそうです。

筆者プロフィール
sakakihara_2013.jpg榊原 洋一 (さかきはら・よういち)

医学博士。CRN所長。お茶の水女子大学名誉教授。ベネッセ教育総合研究所常任顧問。日本子ども学会理事長。専門は小児神経学、発達神経学特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。趣味は登山、音楽鑑賞、二男一女の父。

主な著書:「オムツをしたサル」(講談社)、「集中できない子どもたち」(小学館)、「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)、「はじめて出会う 育児の百科」(小学館)、「Dr.サカキハラのADHDの医学」(学研)、「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」(講談社+α新書)など。
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