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100人のティーンズへインタビュー中間報告書

河村 智洋 (CRN外部研究員)

2006年4月28日掲載

要旨:

子ども達が新しいメディアをどのように使いこなし、どのようなライフスタイルを送っているのか研究を続けている。多くの子ども達と実際に会って、話を聞くことが何よりも大切だと思い、この企画を始めた。何か特別なことに焦点を当ててインタビューをするというよりは、自然な普段の生活についての話をざっくばらんに聞いて今の子どもがメディアについて何を考えているかを、包括的に広くとらえようとした。どういうところに面白いものが眠っているのか、新しいテーマを発見するための機会と考えている。
研究の趣旨

子ども達が新しいメディアをどのように使いこなし、どのようなライフスタイルを送っているのか研究を続けている。多くの子ども達と実際に会って、話を聞くことが何よりも大切だと思い、この企画を始めた。何か特別なことに焦点を当ててインタビューをするというよりは、自然な普段の生活についての話をざっくばらんに聞いて今の子どもがメディアについて何を考えているかを、包括的に広くとらえようとした。どういうところに面白いものが眠っているのか、新しいテーマを発見するための機会と考えている。



インタビューの方法

インタビューをさせてもらった子の友達をまた紹介してもらう形でインタビューを続けていく。その広がり方にも興味がある。放射状に広がる部分と階層的に深まっていく所があるのではないかと思う。場所は、ファミレスやファーストフードなど、子ども達自身が普段よく利用している場所を利用し、携帯電話、インターネットを中心にテレビや雑誌、漫画などあらゆるメディアに関して、気軽に話をしてもらう。



インタビューの質問事項

Q1. パソコンは、どこで、いつから、何のために、使い始めましたか?
Q2. 現在、パソコンを、どこで、どの位、何のために、使っていますか?またよく見るHPは?
Q3. 今後パソコンでしてみたいことは?
Q4. あなたにとって、パソコンとは、どんなものですか?
Q5. 携帯は、いつから、何のために、使い始めましたか?
Q6. 現在、携帯を、どの位、何のために、使っていますか?また、携帯の機種、よく使う時間帯、よく見るサイトは?
Q7. 今後携帯でしてみたいことは?
Q8. あなたにとって、携帯とは、どんなものですか?
Q9. ゲームはやりますか?(ネットゲームは?)
Q10. 友達は何人いますか?どういう遊びをしていますか?
Q11. 親友は何人いますか?どういう人ですか?


50人の子ども達の属性

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印象的な発言

Q3.今後パソコンでしてみたいことは?

小学生: 電話・ゲーム・検索
中学生: 電話・ゲーム・メール・チャット・音楽を聴く・テレビを見る・曲を携帯へダウンロード・
             音楽を作る・キャラクターを作る・HPを持つ
高校生: ゲーム・テレビを見る・HPを持つ・iPod
大学生: ネットショッピング・画像付きスカイプ・だいたいのことは今のパソコンで出来ている

Q4.あなたにとってパソコンとは、どんなもの?

小学生: 調べるもの・便利だけど使い方がよくわからないもの・便利なもの・遊ぶもの・
             ヒマつぶしのもの・楽しめるもの・ゲームをするもの・テレビを見るもの
中学生: 調べる役に立つもの・色々な事が分かるもの・ゲームをするもの・
             ヒマつぶしの道具日常での必需品・普通にあるもの・何でもやってくれるもの・
             いつも使うもの
高校生: 調べるのに役に立つもの・便利なもの・情報を知るための機械・遊び・趣味・機械・
             あってあたり前・日常で欠かせないもの・あって嬉しいもの・なくてもいいもの・
             なくても生きていけるけどできればあって欲しいもの
大学生: 便利な道具・便利なもの・情報を得るのに大変重要なもの・
             必要なものだが無いなら無いで平気なもの

Q7.今後携帯でしてみたいことは?

小学生: 電話・ゲーム・カメラ・電卓
中学生: メール・音楽・ゲーム・DVDを見る・今は携帯欲しくない
      (パソコンの方がメールを打ちやすいから)
高校生: おさいふ携帯・ラジオ・パソコンっぽい携帯・映画を観る・パケット定額
大学生: おさいふ携帯・ワードやエクセルも使えるパソコンの機能

Q8.あなたにとって携帯とは、どんなもの?

小学生: 電話をするもの・メールをするもの・ゲームをするもの・楽しいもの
中学生: 電話をするもの・メールをするもの・他人と意志を伝え合えるもの・
      1つの連絡手段・生活に欠かせないもの・あったら安心するもの・大切なもの・
             日常での必需品・絶対必要なもの・便利なもの
高校生: 電話をするもの・メールをするもの・人とのコミュニケーション・
             それなりに便利なもの・あった方が便利なもの・絶対必要なもの・
       必ずあってあたり前のもの・無いとだめなもの・生活の一部・
             日常で欠かせないもの・無いと落ち着かない(依存症)・無いと困るもの・
             無かったらキツイもの・自分を縛るもの・あまり重要ではないもの
大学生: コミュニケーションツール・友達と連絡するもの・必需品・必要不可欠なもの・
             必要なものだが無くても平気なもの(パソコンがあればいい)


考察

メディア環境の変化における子ども達の生活
子ども達の話を聞いてみると、メディア環境の変化が、子ども達の生活に大きなインパクトを与えていることは事実のようである。第3世代の子ども達、つまり、低速のパソコン、インターネットから入った世代を第1世代とすると、ケータイ・インターネットから入ってきた第2世代があり、携帯電話もブロードバンドインターネットも両方ある環境に育った第3世代では、ネットに対する感覚、また、それを通じての人間関係の形成に大きな違いがあるようだ。「携帯電話のメモリに入っている100人以上の人はみんな友達」、「ケータイでのメールのやりとりは1日50通以上」、「TVゲームをするお父さんの横でパソコンを兄弟で取りあっている」、「友達はみんな親友でもあり親友でない」といった言葉が自然と子ども達から発せられ、人間関係そのものが変化してきている様子が伺える。


友達関係

友達の人数がほとんどの人で100人近くいることや、友達の定義は携帯電話のメモリーに入っている人のことというのに驚いた。一方で、親友はと聞くと、5人から10人位。親友に関しては、大人の世代の感覚と近いのかもしれない。


コミュニケーション

高校生くらいになると学校の友達との連絡手段が、携帯のメールになっている。普通に連絡や約束するときに使われている。遊びたくなると携帯で「何日空いてる?」とメールする。「○日空いている」という返事が返ってきたら、「○○したいんだけど」と連絡する。文章は非常に短いものが繰り返される。文書と言うよりは、会話に近い。メールという手段も、新しい感覚で使っている気がする。


インターネット


非常によく使いこなしている。インターネットは、学校で調べ物学習をやっていて、調べものをするときに使うというのは定着してきている。学校でわからないことがあるとインターネットで調べるというのは、子ども達にとってすごく自然な行為になってきている。家庭でもブロードバンドに接続されたパソコンがリビングにあるという家庭が多く、かなり自由に使っているようだ。今の子ども達にとっては、ブロードバンド接続されたパソコンが、はじめて使ったときからあるので、そういったものだと思っている。


携帯電話

上の世代に行くほど、携帯電話をよく使っている。持っている子ども達が中学生くらいから増え始め、高校生だとほとんどの子が持っているという状況であった。高校生以上では携帯は絶対に必要なものであり、半ば携帯に依存的な傾向がみられるのに対し、小中校生では携帯電話にさほど興味を示していない。特に、小学生の女の子8人にインタビューにおいて、彼女達が一様に携帯電話なんて欲しくないと言ったのは、非常に印象的だった。 携帯は、主に連絡用。音声通話よりは、友達とのメールが多いようだ。携帯電話サイトの利用に関しては、かなりばらつきが見られた。携帯電話のほうがURLを打つ機会が多いという話も面白かった。パンフレットなどの紙媒体に載っているので、そこから携帯電話サイトに行くことが多いらしい。

カメラ機能はかなり使っている。撮った写真を見るのは携帯電話だけである。それがアルバムの役割をしていて、携帯電話のモニターで、自分で見たり、友達と見せ合ったりしている。たまにメールで写真を送ったりする。写真の使い方も変わってきている。カメラと携帯電話が融合した形で使われているみたいだ。


パソコン

家庭にブロードバンドのパソコンがかなりの割合で普及していることもあってか、非常によく使いこなしている。家庭にパソコンがある子のほとんどが、毎日1時間以上パソコンを使っており、自分用のパソコンを持っている子も多くみられる。中には、7台のパソコンがあり、各部屋をネットワークでつなげている家庭もあった。

パソコンの機種を聞くと、自作と答える子もいた。彼らの親の世代は、30代であり、仕事でもプライベートでも普通にパソコンを使いこなしている世代の子ども達なのだ。子ども達のパソコンを使う技術は、非常に高く、それが割と多くの子ども達に浸透していると感じる。それは、オタクやパソコン好きといった特別な子ではなく、普通の子の間で、高度なパソコンやインターネット技術が使われている。

子ども同士では、誰か得意な子から技術が伝播していく形を取るので、友達によって得意な分野にムラがあることは否めないが、得意分野については、かなりのレベルに達している。得意分野は、例えばゲーム、インターネット、ホームページなど様々だが、本人にはスゴイことをしているという自覚はなく、面白いからやっているという反応である。そして、誰かが面白いことをやっていることが分かると、「教えて~!」ということになり、すぐに他の友達に使い方が伝播する。

ちょうど、このインタビューのきっかけになったレポートを書いた2004年4月の頃は、子どもの興味はパソコンでなく携帯電話の方に移ると考えていた。今の大学生位を中心とする携帯電話世代が存在することも確かだが、それとはまた別の世代が出てきていることも事実だと感じる。子ども達の話を聞いていて感じる、携帯電話とパソコンに対する興味の向けられ方の違いは、パソコンの方が自由度が高いという点だ。携帯電話では、限られた機能の中で遊ばなければならないので、それがつまらないということのようだ。子ども達は、RPGのゲームを作ったり、音楽を作ったりと、自分の創造性を、より発揮していく形でパソコンを利用したいようである。彼らにとってのパソコンの存在は、我々のものとは違ってきているようだ。そして、もっと普通に使う楽しいものといった家電にでも近いような、気軽な道具になってきている。


テレビ

テレビは、反対に忙しくて見られなくなっているようだ。今の子ども達、特に中学生になると塾や部活でかなり忙しい。時間があったらテレビよりはネットという子ども達も多かった。一日に1時間くらいは、かならずネットをしているという子ども達が多かったのにも驚いた。どちらかというとお父さんやお母さんのほうが、一生懸命テレビを見ているという印象を受けた。新聞も読むよりは、ネットでニュースを見た方が、わかりやすいという意見も多かった。


今後

今回、50人を終えて、ある程度目的は達成したと思う。だいたいの子ども達の動向はわかってきた。これ以上、同じような方法で聞いていっても、同じような答えが出てきそうである。そういった意味では、しばらく時間をおいてからやる方が、変化が分かっていいように思われる。一方で、今回のインタビューでわかってきたことを、もう少し深く掘り下げてみたいと思うようになった。今回の中から、特徴的な子ども達をサンプリングして、長期的な追跡を行っていこうと思う。だいたい中学生と高校生の間に境界線が見えてきたので、その違いは何によってできているのか、その時の社会環境や家庭環境がどう影響してきているのか?家にブロードバンドがあること、そして、親のスキルなどがポイントになりそうである。その中で、毎日1時間インターネットをやっていたらかなりの能力を身につけるであろう。そういった原因を仮定して、そこから事例を追っていこうと思っている。

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