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「子どもによるWEB活用事例調査」

川上 真哉 (CRN外部研究員)

2004年11月 5日掲載

要旨:

家庭へのパソコンとインターネットの普及、学校へのパソコンとインターネットの設置により、子どもによるインターネットの利用が様々な形態を持つようになったと思われる。しかし、我々は子どものインターネット利用実態を把握しているだろうか。そこで「実際に子どもはどのようにインターネットを活用しているのだろうか」という問いを設定し、ホームページ閲覧、作成、運営の三つの側面から子どもによるインターネット活用事例を調査した。
1.はじめに  

現在、家庭へのパソコンとインターネットの普及、学校へのパソコンとインターネットの設置により、殆どの子どもがインターネットの利用経験を持つようになった。調べ学習やゲームなどのサイト閲覧だけでなく、WEB上に子どもが運営しているサイトが出現しており、子どもによるインターネットの利用が様々な形態を持つようになったと思われる。また,パソコンやインターネットが関係していた少年犯罪が発生したこともあり、子どもの日常生活の一部にインターネットの利用が入り込んでいると考えられるようになった。

現在、家庭へのパソコンとインターネットの普及、学校へのパソコンとインターネットの設置により、殆どの子どもがインターネットの利用経験を持つようになった。調べ学習やゲームなどのサイト閲覧だけでなく、WEB上に子どもが運営しているサイトが出現しており、子どもによるインターネットの利用が様々な形態を持つようになったと思われる。また、パソコンやインターネットが関係していた少年犯罪が発生したこともあり、子どもの日常生活の一部にインターネットの利用が入り込んでいると考えられるようになった。

しかし、我々は子どものインターネット利用実態を把握しているだろうか。学校教師であれば、児童生徒が調べ学習で利用していることを把握しているかもしれない。しかし趣味や娯楽、交流などの活動については、これまであまり注目されていなかったか、一面的な見方をされていた。以前からWEB上では子どもっぽい行動を取る人を、厨と呼ぶ習慣がある。厨は中坊を書き換えた厨房が略された言葉で、中学生または子どもを表している。これは実際にその人が子どもであるか否かとは関係なく、その行為(主として書き込み)によって判断されていた。匿名性が高く、年齢や性別などの個人情報が隠されていると思われがちなインターネット上において、子どもという存在は以前から意識されていたことは、考慮すべき点であろう。

そこで我々は「実際に子どもはどのようにインターネットを活用しているのだろうか」という問いを設定し、ホームページ閲覧、作成、運営の三つの側面から子どもによるインターネット活用事例を調査した。


2.こがねいメディアキッズの取組み

小中学生に参加してもらいワークショップを行った。ホームページ閲覧については、子どもたちは数回のワークショップに続けて参加したが、その度に毎回異なるサイトを新たに発見、閲覧しており、ホームページを能動的に閲覧している様子が観察された。参加者に人気が高かったのはFlashで作成されたムービーとWEB上のゲームのサイトであった。また、サイトの情報が友達から口コミで広まっている様子や、異なる学校に通う子どもが同じFlashムービーのサイトを閲覧した経験があることが観察された。

ホームページ作成については、ホームページ閲覧に参加した子どものうち、自分で作ってみたいと希望した中学3年生3名、小学5年生1名が参加した。ワークショップは3回行い、初回の講座、2回目のデジカメの操作はスタッフが講師となりそれぞれ説明し、3回目の作成ではスタッフが作業を手伝った。

【ワークショップのプログラム】
 1回目:ホームページ作りの基礎を学習
 2回目:一人一台のデジカメを持って街中を巡る撮影会
 3回目:撮影した写真や動画を元にオリジナルのホームページを作成

参加者は一般的なホームページ作成ソフトを利用して、HTML文書を作成することができた。作成されたホームページには画像、テキスト、ムービーが配置され、リンクの仕組みも組み込まれていた。ただし、中学生の参加者は掲載する内容を整理していたが、小学生の参加者は未整理であった。小学生の参加者は、自分が作ったページについて「整理されていない」と評価したことから、ページ構成・レイアウトを認識していたと思われる。中学生の参加者は、作成過程で自分が見て楽しいことを意識して、ホームページを閲覧する他者の存在については意識していなかったとの感想を述べていた。


3.フィールドワーク的子どものWEBサイト調査

ホームページ運営の観点から、実際に子どもが運営している複数のサイトを観察した。サイトのオーナーが子どもか否かについては、サイト中のプロフィールと内容を参考にして判断した。主として着目した点は年齢と学校の話題に含まれている情報である。それらのサイトは次の3つのコミュニティサイトで探索した。

 ●Cafesta(http://www.cafesta.com/
 ●サイバーキッズ共和国(http://www.cyberworld.ne.jp/kids/
 ●ふみコミュニティ(http://www.fumi23.com/

各コミュニティサイトで、コミュニケーションが実践される場としては、個人サイトの掲示板、日記、共用のチャットルームが存在する。

Cafestaでは、個人サイトの構成は固定で、あらかじめ準備されたオブジェクトの選択によりレイアウトを変更できる。日記と掲示板は個人サイト中に準備されており、他人のサイトを訪問すると自動的に足跡が残される仕組みとなっている。画像のUPには外部のツール・サイトを利用する必要がある。登録者はそれぞれアバターを与えられ、日記や掲示板、アンケートを書くとポイントを獲得することができ、そのポイントでアイテムを購入し、アバターの着せ替えやサイトのレイアウトを更新することができるシステムである。

Cafestaのサイトでは、個人サイトを工夫する余地がTOPページの一部分だけしかなく、主としてトップページの工夫、アバターの更新、日記や掲示板への書き込みによる自己表現とコミュニケーションが行われている様子が観察された。Cafestaのシステム概要図(PDF)

サイバーキッズ共和国はオブジェクトの選択によりサイトの構成とレイアウトを設定・変更することができる。また、オリジナルの構成・レイアウトにすることも可能である。お絵描き用の共用スペースが準備されており、作画、UP、公開を行うことができる。外部掲示板やチャットを組み込むことにより、コミュニケーションの場を個人サイトに設置することができる。

サイバーキッズ共和国では、共用スペースでのお絵かきだけでなく、画像付き掲示板を利用したお絵かきを中心にしたコミュニケーションが行われていた。また、サイト構成を自由に変更できることから、詩、物語等の創作物を発表している子どもが多い。

ふみコミュニティでは個人サイトへのリンクがまとめられており、様々な構成のサイトが含まれていた。お絵描き用の共用スペースが準備され、作画、UP、公開を行うことができる。また、プリクラをUP、公開することができる。また、ホームページランキングが行われている。

ふみコミュニティでは、ランキングが意識されているのかもしれないが、写真が載せられているサイトが多く、本人の顔写真が載せられているサイトもあった。また、オリジナルのバナー作成に関心が高く、依頼を受けてバナー作成を行うサイトがあった。バナーはFTPを利用してサーバにUPするだけでなく、外部の画像アップローダにUPして、自分のサイトからリンクを貼る利用法も多く行われている。

●サンプル1
 
10歳男子のトップページ
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TOPページの説明を、文字色を背景と同じに設定することで初めは隠しておき、ドラッグによって文字が浮かび上がる仕掛けが施されている。
ドラッグすると・・・
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●サンプル2

10歳女子のサイト
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トップページ

日記の中で、兄と一緒に作ったことに触れ、学校の友だちに教えたいと述べられており、現実・直接の人間関係の中でネットを利用していると思われる。また、ネット上の交流への期待が述べられているが、コミュニケーションの方法として掲示板、メッセージは利用できるがチャットはできないと、説明している。コミュニケーションに利用できる仕組み・サービスを把握していると思われる。

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初日の日記

●サンプル3
(サイバーキッズ)

14歳女子のトップページ
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自分のサイトについて、技術的説明が詳細かつ丁寧に述べられている。
また、現実(オフ)の知り合いが意識されている。 
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著作権表記(ここでは一部消去)


●サンプル4
(その他 http://love2.com/dayandaisuki/index2.html

13歳女子のサイト
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コミュニケーションを行う際の、チャットや掲示板の利用について、マナーやルールを明記しており、管理者としての強い姿勢が見られる。

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●サンプル5

12歳女子のトップページ
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↓ 右クリックすると
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↓ キャンセルを押すと
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4.まとめ

観察したサイトでは、ページレイアウトの工夫、アバター、自分が描いたイラストや自作の詩・小説などをサイト上での発表による自己表現、日記や作品に対する他者の感想が掲示板に書かれるといった文字コミュニケーション等が観察された。これらの活動は、従来パソコンやインターネット以外のメディアで行われていた活動が、WEB上に発展的に拡大したものと考えられる。 サイトの内容からは、サイトの開設や利用にあたって、現実・直接の知り合い、家族や友だちの存在が見えてくる。子どもにとってインターネットは、現実と切り離された別世界ではなく、現実と繋がったメディアとして認識されているのではないだろうか。

コミュニケーションの形態は、写真や絵と文章が組み合わせられたマルチメディアのコミュニケーション形態であった。文字に偏っていない理由として、時間的制約、文字入力の速度などの要因はあると思われるが、子どもの関心が絵や写真に集まっているということも言えるであろう。子どものFlashアニメへの関心の高さを考慮すれば、動画や音楽用の機器やソフトが普及すれば、動画の配信と動画を含めたマルチメディアコミュニケーションが活発に行われると予想される。

コミュニケーションに関して、掲示板やチャット利用時のマナーやルールについての知識はかなり広まっており、実際にマナーやルールを明記したり、掲示板の書き込みを削除したり、等の管理行動を行っているサイトもあった。しかしマナー違反に対して強い姿勢で臨むあまり、行き過ぎともとれるような厳しい言葉で表現しているサイトや、主観的傾向の強いルールを定めているサイトもあった。子どものインターネット利用に関しては、知識と実態との間にずれがあるのかもしれない。

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