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【論文掲載報告】コロナ禍において、レジリエンスに着目した子どものウェルビーイングを予測する因子の探究

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はじめに

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)の小川淳子・持田聖子・木村治生・劉愛萍・榊原洋一の共著論文が、PECERAジャーナル(ASIA-PACIFIC JOURNAL OF RESEARCH IN EARLY CHILDHOOD EDUCATION Vol.18, No.1)に掲載されました。

論文はこちら▽
Finding Factors as Predictors of Children's Well-being Focusing On Resilience During the COVID-19 Pandemic
Based on Analysis Results of the "Survey on Children's Daily Life Among Eight Asian Countries 2021"

ASIA-PACIFIC JOURNAL OF RESEARCH IN EARLY CHILDHOOD EDUCATION Vol.18, No.1, January 2024, pp.3-24.

研究の概要

本研究は、アジア8か国においてコロナ禍における子どものウェルビーイングを予測する因子を分析することを通して、子どものウェルビーイングを実現するための子育てや保育実践への示唆を得ることを目的として実施した。まず初めに、予測変数として、困難において子どもの発達にポジティブに働くと先行研究から明らかにされている子ども本人の「レジリエンス(困難な状況に適応して回復する力)」に着目した。さらにブロンフェンブレナーの生態学的システム論を参考に、母親のコロナ感染拡大不安、世帯年収、友達および園/学校サポートおよび家庭の要因、そして子ども本人の日常生活要因を予測因子として設定し、これらの因子が目的変数である子どものウェルビーイングをどのように予測するかを調査した。

アジア8か国の5歳の母親を対象としたデータの分析結果より、子ども本人のレジリエンスが、調査時点でのコロナ禍という状況において子どものウェルビーイングを強く予測することが明らかになった。8か国の全体データでの分析だけでなく、国別分析においてもすべての国において同様の結果が得られた。さらに、家庭の要因や子ども本人の日常生活要因もまた、子どものウェルビーイングに関連していた。国別分析の結果からは、園/学校サポートの重要性も伺える結果となった。

ウェルビーイングとレジリエンスはいずれも心理学的な構成概念であり、子どもの健康を予測する因子として重要視されている。レジリエンスはまた、コロナ禍のような逆境を体験する子どもの効果的な保護因子としても注目される。本研究では、コロナ禍において、設定した他のどの予測因子よりも、本人のレジリエンスがその子のウェルビーイングをもっとも強く予測していたことが明らかになった。

筆者プロフィール
Junko_Ogawa.jpg 小川 淳子(おがわ・じゅんこ)

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)研究員、ベネッセ教育総合研究所研究員。
2013年よりベネッセ教育総合研究所に所属し、CRNを運営。近年はアジア諸国の研究者からなるCRNA(Child Research Network Asia)を組織し、アジア8か国の研究者との国際共同研究を推進している。

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