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【ニュージーランド教育・子育て便り】第28回 進級前に発表されるクラス替え

要旨:

娘の通う小学校では、クラス替えの発表は、学年が上がる前の年度内に行われます。夏休みに入る前の12月のクラス替え発表から、新しい担任の先生との関係が作られ始めます。旧クラスから2月に進級するクラスに移行するまでの様子を取り上げています。

ニュージーランドの小学校では、12月の中頃から1月の末までの長い夏休みを挟み、2月の初めから新学年が始まります。日本と同じように考えると、クラス替えの発表は年度始まりの2月だと思われる方が多いと思いますが、娘の小学校では12月のうちに行われます。今回は、12月にクラス替えが発表され、2月に新しいクラスが始まるまでの移行の様子をお伝えします。

12月のクラス替え発表の時期が近づいてくると、親子ともどもクラス替えに関する話題が増えます。仲の良い友人同士、その保護者同士が「同じクラスになれるといいね」と言い合うのは日本と同じです。この時期は学校のニュースレターでも、クラス替えについて触れられています。例年、「様々な要素を考慮してクラスを決めているので教師を信じてください」というメッセージはありますが、「子どもがどうしても嫌がっている場合には、12月の間は少し様子を見てみてください。夏休みの間も夏休みが明けるころになってもまだ嫌がっている場合には、校長先生に相談してみてください」といった点も書かれています。ちなみに保護者から特別なリクエストがある場合などは、11月くらいまでには伝えておくと加味してもらえるようです。

こうして決められた新しいクラス編成は、12月の最終登校日の3日前に担任の先生から子どもたちに対して、全員の前で発表されます。娘の説明によりますと、名前とクラスを言い渡され、子どもたちも内心喜んだりがっかりしたりしているようですが、静かにするように言われているので、この時は黙って聞いています。その後、子どもたちは発表された新しいクラスの前の廊下に並んで立って待っていると、新しい担任の先生が準備のできた教室の中に招き入れてくれて新教室に入ります。新しい担任の先生と新しいクラスメイトと過ごす時間は30分ほどの短い時間ですが、先生が自分自身について丁寧な自己紹介をしてくれます。その後、子どもたちとちょっとしたアクティビティをしたりして、少し交流する時間があります。アクティビティは先生によって異なり、名前カードを作ってみたり、全員で輪になって座って先生が尋ねる「〇〇が好きな人?」といった質問に手をあげたり、様々だそうです。

同じ日に、保護者宛に封筒に入れられた成績表とクラス替えの通知を子どもたちが家に持ち帰ってきます。保護者は、この時初めて新しいクラスを知るのですが、既に新しい担任の先生の自己紹介を聞き、クラスメイトの顔も見ているためか、娘の場合は毎年「クラスの場所がよかった」「先生が優しかった」「友だちと一緒だった」など何かしらプラスの要素を見つけて帰ってくるように思います。その後、2日間学校に通う間にもお友達と次の学年について話したり、夏休み中も次のクラスメイトと遊んだり、今後の過ごし方などをイメージしながら過ごしている様子です。また、今年は新型コロナウイルスの影響で発表が年明けになったそうですが、6年生(Year 6)の子どもたちから選ばれる各種リーダーi(ハウス・リーダー:8人、スポーツ・リーダー:4人、アート・リーダー:4人)の発表も、通常は12月のうちに行われます。

report_09_405_01.jpg 娘の持ち帰ってきた封筒(中身は順に成績表・成績表の見方・クラス替えの通知)

夏休み明けの初日は、新しい担任の先生との三者面談が行われます。一人に割り当てられた時間は10分と短いものの、担任の先生、保護者、子どもの三者がそろいます。先生が子どもに質問をする形で、子どもの得意なこと、苦手なこと、どんなことを担任の先生にサポートして欲しいか、どんなことを保護者にサポートして欲しいか、といったことについて話します。これは主に学力的な面で問われているようで、得意なことについては昨年の担任の先生から申し送りされていることの確認がありました。「前の先生からライティングが上手だと聞いているけど、ライティングが得意なの?」と聞かれました。確かにライティングも嫌いではないようですが、娘自身が得意だと認識しているのはどちらかというと理数系の科目です。私から助け舟をだそうかなと思っていたら、少し間をおいて「多分、私は自分が得意な科目は算数だと思います」と自分で返答しており、先生もそれをメモに残していました。新しい先生に、自分の認識していることを伝える機会があることはいいなと思いました。苦手なことについては、昨年の担任の先生からの申し送りには触れなかったと思いますが、やはり本人への確認がありました。サポートして欲しい点は、今年の娘の場合ですと、娘自身が「長い文章を要約することがまだ上手ではないと思う。その力を伸ばしたいので、そこを助けてほしいです」と、具体的に話をしていました。時間が限られているので、保護者は主に会話を聞いているだけですが、新しい先生と子どもが会話している様子を見ることができることで、先生に対する私の信頼感が芽生える機会になっています。

こうして新しい担任の先生とクラスメイトとの通常授業がようやくスタートするのは、夏休み明けの新学年2日目からです。クラスが発表されてから長い時間が経ち、新しい担任の先生のことも知っており、自分の自己紹介も終わっている状態です。日本の小学校で新クラスが発表されるときのような、4月のハラハラドキドキした感覚とは対照的な、なるべく安心感を形成したうえでの授業スタートとなります。この連載で幾度となく触れていますが、ニュージーランドでは小学校による差が大きいため(第14回参照)、この流れがニュージーランドでどの程度一般的かという点については、はっきりとしたことは言えません。私自身は、娘の長い夏休みの間、新しいクラスについて安心感のある状態で、子どもがのびのびと過ごせるのを見守ることができ、何より快適です。

report_09_405_02.jpg

のんびりと過ごした夏休み

また、どのくらいの子や保護者が夏休みが明ける前に校長先生に相談しているのかは知りようがないのですが、実際に友人がいないなどの理由でクラスを変える子も、わずかながらやはりいるようです。そのこと自体、特に本人も隠してもおらず、周りの子もあまり気にしていない様子です。更に、娘の小学校では学年途中で所属クラスを変わるケースは稀ですが、クラスメイトとの人間関係がうまくいかなくなったなど、問題が起きたときの対処法として、かなり気楽に違うクラスに移動させるという手段をとる小学校もあるようです。そのため、クラスは絶対変わらないものという認識も、日本ほど強くはないものと思われます。そういった柔軟性もまた新鮮に感じられるところです。

今年は、新型コロナウイルスの市中感染が確認され、ようやく通常授業が始まり2日間を学校で過ごしたと思ったら、翌週の3日目には遠隔教育に移行してしまいました。夏休み明けの子どもたちの学力がまだ正確に把握できてない状態での遠隔教育は、先生としては難しさがあったようです。ただ、新しく担任になったばかりの先生だからといって、娘が緊張してしまっているような様子はありませんでした。時間をかけて丁寧にクラス替えが行われていて良かったなと思った次第です。


  • i)ハウスというのは日本でいうと運動会の白組、赤組に近いと思います。学年を縦割りに、自分の属するハウスが決められて、1年間同じハウスに所属します。4つのハウスがあることが多く、1年を通じてポイントを集めて、生活態度やスポーツなど、諸々のことを緩やかに競っています。ただハウス制がある主目的は、競うことではなく、年齢の違う子ども同士の関係性づくりだと思います。ハウス・リーダーは模範的なしっかりした子どもが多いです。スポーツ・リーダーはスポーツイベントの準備などで中心になる子どもたち、アート・リーダーは主に卒業制作で中心的な役割を担う子どもたちです。娘の学校では、立候補した子どもたちの中から、先生方が各リーダーを選んでいます。


筆者プロフィール
村田 佳奈子

東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。幅広い分野の資格試験作成に携わっている。7歳違いの2児(日本生まれの長女とニュージーランド生まれの長男)の子育て中。2012年4月よりニュージーランド・オークランド在住。
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