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【イギリスの子育て・教育レポート】 第11回 イギリスで小学校の個人面談に行ってみた

要旨:

今回は、イギリスの小学校の個人面談を取りあげる。面談ではまず、先生が子どもをとにかくほめることに驚いた。実際のノートやエピソードを例に挙げながら、以前に比べて進歩した点を教えてくれる。よい点ばかりではない。たくさんほめた後に現在の課題や次の目標も伝えてくれた。
息子の先生は一見、大げさにほめているように見えて、次の段階もしっかりと見すえてほめていた。子どもの成長には、「過去」と「現在」を比較してほめることに加え、少し先の「未来」も合わせて伝えることが必要だと感じた。

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この連載では、小学生の息子をもつ母親による「イギリスの子育て・教育」体験レポートをご紹介します。

子どもの頃、新学期になると家庭訪問がありました。母と担任の先生は何を話すのだろう?とドキドキしたことを覚えています。私の地元では今も家庭訪問が行われていますが、息子が日本で通っていた小学校では家庭訪問の代わりに、保護者が学校を訪問して担任の先生と話す個人面談がありました。

私たちが住むイギリスでも、担任の先生との個人面談が行われます。今回は、5年生の新学期がスタートし、新しい担任の先生と行った面談について紹介します。

個人面談は、家族総出で?

息子の学校では、個人面談は年2回行われます。1回目は、新学期が始まってすぐの10月、2回目は学年の折り返し地点にあたる2月ごろに行われます。1回の面談時間は15分程度。面談の頻度も1回の長さも、息子の日本の小学校とあまり変わりません。しかしイギリスでは、面談に参加するメンバーが少し違います。まず、子どもも一緒に面談に行くことがあります。なぜなら、イギリスでは小学生の子どもが一人で留守番することはできないため、預け先がない場合は面談に連れていかざるを得ないからです。三者面談のために行くのではなく、あくまで預け先がないからのようです。また、父親の姿も多く見られました。我が家の場合は、面談内容をきちんと理解するために夫にも来てもらいましたが、そういう理由でなくても、会社帰りと思われる父親が多数来ていたことに日本との違いを感じました。家庭によっては、父親、母親に加え、下の妹や弟連れで来ているところもありました。まさに家族総出です。

また、学校側の出席者は、担任の先生はもちろんのこと、息子の面談には、英語の特別指導の先生も同席してくれました。

やっぱり面談でも、あの手この手でほめる、ほめる!

冒頭から、先生が子どもをとにかくほめることに驚きました。私の感覚ではありますが、面談時間の8割は子どもをほめる内容です。面談では実際のノートやエピソードを例に挙げながら、今、どこに進歩が見られているか教えてくれました。今回、「進歩した点」として教えてくれたのは、英作文でした。文章例を真似しながらではありますが、英作文の授業でオリジナルのホラーストーリーを書いたのでした。息子のノートを見たとき、字が汚くて何と書いてあるか読めない・・・と私はついつい、厳しい目で見てしまったのですが、先生はそんなことお構いなし(写真1)!現在、がんばって学んでいる動詞の過去形をしっかり文章に盛り込めていてよいこと(写真2)、よく書けていたので学校のツイッターでこのストーリーが掲載されたこと、そして何より1年前はアルファベットの大文字、小文字を書くことから始めたのに1年でよくここまで進歩した、と称えてくれました。

また、息子のこの1年の課題だった英語での会話に関しても、信頼関係が築けている友だちや先生との小さなグループならば、自分から話したり、冗談を言えるほどまでになっているとのことでした。

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写真1 息子が書いたオリジナルのホラーストーリー。歯医者さんが主人公のお話です。

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写真2 動詞の過去形の練習、がんばっています。

面談で指摘された課題は、息子だけでなく、日本の子どもの課題でもある?

しかし、ほめるばかりではありません。たくさんほめた後に現在の課題も伝えてくれました。息子の現在の課題は、正確さを求めたり、間違いを恐れたりするあまり、チャレンジをしないことだと指摘されました。例えば、単語のスペリングテストで記憶があやふやな場合。アルファベットが1つでも違うと思ったら、その単語を答案に書こうとしないことが気になると言われました。あやふやな単語の欄は空白で提出してしまうのです。でも、担任の先生は「とにかく書いてみる、まずチャレンジしてみることが大切で、スペリングが違っていたら私が直すから、大丈夫なんだよ!」と話してくれました。

この指摘にはうなりました。確かにそうなのです。でも、これは息子だけの課題ではなく、日本の子どもや大人にも共通する課題かもしれません。日本人は息子も自分も含め、英語を話すときに間違うと恥ずかしいと思うあまり、自信がない場合は口をつぐむ傾向があるように思います。でも、間違いを恐れてチャレンジしなければ、上達もしません。当たり前のことなのに、先生に指摘されてはっとしました。しかしながら、間違いに対するネガティブな気持ちは、日本人だけでなく、イギリスの子どもたちにもあるかもしれません。というのも、教室には「間違いはキミが挑戦した証だ!」という標語が貼られているからです(写真3)。息子が間違いに対するネガティブな気持ちをポジティブにとらえなおし、たくさんのチャレンジや間違いから学んでくれるといいなと思います。

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写真3 教室に貼られている標語「間違いはキミが挑戦した証だ!」

たくさんほめられた後だから、すんなり受け入れられる「次の目標」

15分という短い面談時間でも、ほめること、課題の指摘だけにとどまりません。次の目標も提案してくれました。先生が提示した次の目標とは、短期的には「文章例を見ずに自分で英作文を書いてみること」、長期的には「5年生の終わりには、クラスのみんなの前で発表すること」の2つでした。特にみんなの前で発表するという目標は、当初、息子には無理難題に思えたようですが、「このクラスでは誰もあなたを笑う人はいない、むしろあなたが話したり、授業に参加することをサポートすると思うよ」と説得してくれ、息子も「それならできるかも?」という顔になっていたのが印象的でした。

子どもの成長には「現在と過去を比較してほめる+少し先の未来の目標」が必要

面談後、私たちはとても前向きな気持ちになっていました。なぜなら、過去との比較で現在できているところをしっかりとほめたうえで、課題や次の目標を提示してくれたので、息子が自然に次の目標に向かう気持ちになっていたからです。息子の先生がたは一見、大げさにほめているように見えて、次の段階もしっかりと見据えてほめていました。特に英語の学習に関して、今、どのくらいのレベルにいて、次のステップとしてこれくらいできるといった成長の見通しが見えていること、またそれを言語化して伝えられる先生がすばらしいと思いました。同時にこの先生、この学校に子どもを任せたいという信頼感も生まれました。自分もこのくらい息子に対して成長の見通しがもてると、毎日、宿題や勉強に関する小言が少なくなるのかな・・・と反省してしまいました。今後は先生を見習って「過去、現在、未来」を織り込みながら子どもを励ますことを意識したいと思います。

次回は「イギリスで小3男子はどうやって英語を覚えていったか」をお届けします。お楽しみに。

筆者プロフィール
橋村 美穂子(はしむら・みほこ)

大学卒業後、約15年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育総合研究所で幼稚園・保育所・認定こども園の先生向け幼児教育情報誌の編集長を務め、2015(平成27)年6月退職。現在は夫、息子と3人でイギリス中西部の街バーミンガム在住。
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