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年越しのご挨拶

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)、インターネットによる「子ども学」研究所を御利用下さっている皆々様。2008年も終わり、2009年を迎えますこと、ここにお慶び申し上げます。

 

皆様のおかげで、CRN日本語版は3月にサイトリニューアルを致しました。過去13年の蓄積を残しながらも、ご利用下さる方の使いやすさを追求した新しいサイトに生まれ変わりました。リニューアル後は今まで以上に、医療や教育の専門家だけではなく、子育て中の方や、海外在住の方など、さまざまな分野の方から新しいテーマの投稿や議論をいただき、サイトは益々の充実、発展を遂げていると実感しております。特に、ニュースでも話題になっている「ネットジェネレーション」や、国内でも問題になりつつある妊婦の飲酒「胎児性アルコール症候群Fetal Alcohol Syndrome」をいち早く取り上げたこと、「子育ての脳科学」と題する連載で小児科医が子育てに役立つ脳科学の世界を保護者向けに紹介できたことなどが、今年度の大きな成果であると考えております。

また、海外からの情報についても充実した年となりました。私の友人でもあるLewis P. Lipsitt, Ph.D.より届いた「Human Behavior Needs Credible Explanation: Minds Don't Snap」は、昨今の凶悪犯罪の裏側にある「突然にキレる」行動のメカニズムを深く洞察した興味深い論文でありました。今年5月、中国では四川大地震が発生しましたが、直後に「震災地の子どもの心のケア」について日本の経験を中国語に翻訳して掲載し、中国の先生からもタイムリーな投稿をいただきました。また、学術月刊誌『学前教育研究』の転載も始まり、中国の幼稚園での取り組みや研究の最前線をフレッシュに感じ取ることができました。そして私自身は、脳科学がご専門の片岡宏隆氏のご協力を得て、「脳と教育」と題してThe International Mind, Brain and Education Society(IMBES)が発行している学会誌の論文の内容に私見を加えて紹介するという新しい試みに取り組み、今後も皆さんと共に教育分野に関係した脳科学の進歩について考えていきたいと思っております。

サイトの充実は勿論のこと、リアルでの活動もまた発展致しました。東アジア、とりわけ中国を中心とした「東アジア子ども学交流プログラム」が昨年から発足し、本年度は東京と中国で2回の活動を行いました。4月にお茶の水大学で開催した第2回東アジア子ども学交流プログラムでは、「子どもの成長・発達と生活環境-子ども学的アプローチ」というテーマのもと、日中それぞれの研究者の発表が行われ有意義な議論が交わされました。11月に中国・杭州で開かれた第3回では、子どもに優しいグランド・デザインのChild-Caring Design(CCD)を実現していくには我々大人が何をすればいいかについて、日中の考え方の比較、子どもの世界・大人の世界の見方など、比較文化的な討論が活発に行われました。いずれも成功を収めることが出来、日中を中心とした子ども研究の学者の学際的な交流に大変大きな意味があったと思います。

また、これらの「子ども学」に基づいたCRNの取組みが海外からも高く評価され、ジョージルーカス教育財団から発刊の雑誌「edutopia」とそのサイトで、日本の教育を代表してCRNが紹介されたことは、大変大きな喜びとなりました。

2009年に向け、われわれはCRNのコンテンツをより良いものにし、世界との交流を更に広げると共に、リアルの場では「東アジア子ども学交流プログラム」を柱に色々な活動を展開したいと計画しています。

2009年も引き続き御指導、御支援の程、よろしくお願い申し上げます。

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