CHILD RESEARCH NET

HOME

TOP > 論文・レポート > 子育て応援団 > 【ニュージーランド子育て便り】 第5回 デイケア(保育園)通い

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文・レポート

Essay・Report

【ニュージーランド子育て便り】 第5回 デイケア(保育園)通い

要旨:

NZの保育園は、子どもたちが各々の遊びたいことで自由に過ごす時間が多い。一方で自立することも目指しているように感じる。料金は高めだが3歳の誕生日を迎えると20時間分の保育料金の補助がおりる。また、週に数日という契約も可能で柔軟な利用ができる。娘は英語がまだ十分に分かっていないものの、保育園での生活を楽しみ始めたようである。

娘は1月中旬からデイケア(保育園)に週に数日通っています。ニュージーランド(以下、NZ)では5歳未満の子どもの教育をECE(Early Childhood Education)と呼びます。ECEには実に多くのオプションがあります。キンディ(幼稚園)、デイケア、プレイセンター*1、プレイグループ(第1回参照)などです。一概には言えませんが大多数の子どもが、共働き家庭では小さなころからデイケア、そうでない家庭では3歳以降にキンディに行く傾向にあるようです。

2歳以下の子どもがオークランド中心部でデイケアを利用する場合、週に5日間の利用で月額に換算すると1200ドル以上(10万円前後)の料金がかかります。NZの平均年収は日本より低いので、日本と比べても高額だと感じます。3歳になるとECE利用料金は週当たり20時間分の補助がおり、デイケアの場合2-3割程度負担金額が安くなります。ただし、日本と大きく異なる点は、多くの園で週に数日の契約が可能だということです。仕事の都合や料金面を考慮して週に数日にすることもできますし、子どもに様々な経験をさせたければ複数の園を組み合わせることもできます*2。3歳以上が対象の20時間分の補助も20時間の枠内であれば複数の園で使うことができます。

さて、娘がデイケアに正式に通い始める前に5日ほどオリエンテーションという練習期間がありました。この期間は、親子が一緒にデイケアに通います。私たちの場合、初日は親子一緒にデイケアの流れを体験し、園の空間や流れを体験しました。翌日以降は、私が別室で待機するなどして、徐々に娘と離れる時間を長くする練習をしました。娘が泣いてしまったりすると先生が私を呼びに来てくれました。オリエンテーションの間、保育料金は発生しませんでした。このように親子で一緒に園に通うような期間は日本にはなかったので、私はとても感激しました。私自身、5日間で先生方ともたくさん話すことができましたし、クラスの子どもたちが楽しむ様子を感じることもできました。いざ預ける時の安心感は本当に大きなものでした。一方の娘は、初日は私がずっと一緒にいたので楽しくて仕方なかったようで元気いっぱいでしたが、私と離れる練習を繰り返しているうちに、日を重ねるごとに「ママがいなくなるのはイヤ!」と泣くようになりました。多くの場合、徐々に親と離れることのできる時間が長くなり、慣れたところでデイケア開始となるようです。娘の場合は明らかな失敗例ですが、それでもこの期間があったことは、一人で預けてからの慣れの速さにつながっているように思います。一人で通い始めると初めの2日ほどは家でも泣いて「行きたくない」と言っていましたが、その後は家に帰ってくるとデイケアでの出来事を自慢げに話すほどです。

その他に日本とは違うと感じるのは紫外線対策でしょうか。NZは紫外線が非常に強い国です。夏の間は日焼け止めクリームを塗って帽子を持ってくることになっていたり、園が帽子を用意していて外遊びしている子に先生がかぶせているところもあります。また、娘の園では、子どもが安心できるようなおもちゃを1つ持ってくるのも許容してくれます。そうした緩やかなところも日本にはないかもしれません。娘は毎日ペンギンのぬいぐるみをカバンに入れて家を出ます。


report_09_87_02.jpg
帰り支度


一日の流れは、モーニングティー、ランチ、昼寝、アフタヌーンティー、その間に自由遊び、全員で歌を歌ったり絵本を読んだりする時間があります。園の外に行くような散歩はないようです。自由遊びの間は、基本的に子ども自身が好きなことをするようですが、先生方は子どもをよく見ています。好きなことをさせてはいますが、常に話しかけたり出来たことを褒めたりと、決して放置していません。自由に遊び学ぶことを促す一方で、自分で手を洗うこと、食べ残しをゴミ箱に捨てること、皿を片付けることなどなど基本的なことを自分で行わせる自立は日本以上に重視されているように感じます。ある日迎えにいくと、小さな袋に入ったままのビスケットがお皿に載せられていました。家では毎回私が袋を開けてあげてしまっています。娘が先生に対し助けを求めるような表情をすると「自分であけてね。」と促され、自分で袋を開けて食べていました。日本の保育園では「完食」することを重視していた気がしますが、NZのデイケアでは全部食べることよりも食べる前後の動作を自分で行うことを重視しているように感じます。またある日は娘が泣いて鼻水が出ていたので、私がタオルで拭こうとしたら、先生から「自立するように本人にティッシュで拭かせてください」と言われました。見るとティッシュは子どもが自由にとれるようになっていました。娘は、泣きながら次々でてくる鼻水を自分で拭いているうちに、自然に泣き止みました。


report_09_87_01.jpg壁についているティッシュホルダー

娘はまだあまり英語がわかっていません。そろそろ英語を習得してほしいなというのが親としての願いでもあります。当初あまりに英語がわかっていなかったので日本人の先生に頼りきっていたり、いろいろな国出身の先生方が「少しは日本語知っているから。」などと言ってくださったりしていました。ある日迎えに行くと、娘の名前に「ちゃん」がついていたこともありましたし、娘が言っている日本語の単語を先生がリピートして覚えようとしてくれていることもありました。娘が快適に過ごせるように日本語を話そうとまでしてくださる先生方の対応に、NZはなんていい国なのだろうとも思いましたが、一方でこんなに良くしてもらって娘は英語を話す気持ちになるだろうかと、少し心配にもなりました。そんな心配をよそに、通い始めて2ヶ月ほどたった最近では、デイケアに行く度に英語が上達しているようです。デイケアでは静かにしているようですが、家では英語の言い回しを繰り返していたりします。偶然ですが、他に日本語を話す子どももいないので、友達を作ろうと思えば英語を話さなければいけない環境は良かったのかもしれません。

このようにデイケアには本当に満足していますが、まだしばらくは週2-3日というリズムで過ごしたいと思っています。私と娘が一緒に過ごすプレイグループなどの時間も貴重ですし、料金面での負担が重くない範囲で続けたいためです。このリズムは、もう変更できないと気負う必要はなく娘の成長の度合い、家庭の事情が変わればまた調整すればいいのです。デイケアは週単位の支払いです。デイケアを始める前はECEの選択肢が多く、キンディやデイケアの園による雰囲気の違いも大きいことから何をどう選んだらよいのか迷ってしまいましたが、今は小さな変化に合わせて柔軟に調整できることが素晴らしいと思えています。


report_09_87_03.jpg週末に家族参加のピクニック



*1 プレイセンターはデイケアやキンディと異なり、先生ではなく親が主体となって子どものために運営する幼稚園のような場所です。料金は1タームで数十ドル程度と低額です。定期的に親が運営に必要なセミナーを受けたり教育内容を計画するなど、親が担う役割が多く、親自身の学びの場でもあります。プレイセンターに通わせている人は、この趣旨に共感している人が多いようです。ニュージーランドで始まった独特の教育機関ですが、日本にも支部があるようです。
NZのプレイセンターのサイト
日本のプレイセンターのサイト

*2 オークランドには日本人幼稚園もあります。日本人家庭(父親のみ母親のみ日本人という場合も含めて)では、NZのECEと日本人幼稚園を組み合わせているケースも多いようです。
筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
このエントリーをはてなブックマークに追加

TwitterFacebook

遊び

メディア

特別支援

論文・レポートカテゴリ

アジアこども学

所長ブログ

Dr.榊原洋一の部屋

小林登文庫

PAGE TOP