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【ニュージーランド子育て便り】 第1回 プレイグループ

村田 佳奈子

2012年12月14日掲載

要旨:

ニュージーランドには、0~3歳を中心とした未就学児が保護者同伴で行くことのできるプレイグループがある。午前中の2時間程度の時間、歌やアクティビティを交えて運営されており、小さな子どもたちが家ではできないたくさんの経験をしながら伸び伸びと成長している。

2012年4月1日、私たち家族は、夫の仕事に伴いニュージーランド(以下、NZ)に転居しました。家族はフィリピン人の夫、私、そして現在2歳半の娘です。NZといえば、羊がいっぱいでのどかな国というイメージがあると思いますが、私たちが来たのはNZ第一の経済都市オークランドの更にビジネス中心街(CBD: Central Business District)です。北島に位置するオークランドには、NZの人口の3分の1にあたる150万人超の人が住んでいます。人口が集中し続けているので不動産価格は東京都心並みに高騰しています。また、オークランドには多様なバックグラウンドの人々が住んでおり、アジア系を中心に世界中からの留学生や移民がいます。当然、そのまま定住する人もいますが、NZから更にオーストラリア、カナダ、イギリスなど違う国を目指している人もいれば、母国に帰る人もいます。NZ人もまたオーストラリアをはじめとした海外で働くことが少なくありません。そのため、オークランドは多人種で構成されていますが、この国でのみ競い合っているイメージとも少し異なるようです。そんな人々の目標地点でもあり通過地点でもあるオークランドは、エネルギッシュで独特の魅力があるように思います。

このように書くと先進的で現代的な大都市のようですが、ビジネスのスピードは一般的にとてもゆったりしています。ほとんどの店も夕方5時になれば閉まってしまいます。一方でオークランドは帆の町とも呼ばれており、車でしばらく走れば美しいビーチ、海に漂うヨット、緑豊かな森を楽しむことができます。週末になるとCBDの中は目に見えて人が少なくなり、多くの人が郊外で自然を満喫しているようです。子どもたちもそのような自然に触れ合う経験を多く積んでいます。

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オークランドの街並み

このようなオークランドでの子育て生活は半年を超え、一通りの子育て事情がわかった今、CBDの中、そして郊外をバスで自在に移動しながら、多様なバックグラウンドの子どもたちが共に成長していける子育てを私も楽しく体験しています。第1回目は、そんなオークランドで、私と娘が通っている「プレイグループ」についてご紹介します。

娘は日本では保育園に通っており、とても楽しそうでした。NZに来てからも保育園の友達の名前を呼んで会いたがっていたので、私も同じくらいの年齢の子どもに会える場所があれば連れて行きたいと思っていました。そんな時に教えてもらったのがプレイグループです。プレイグループを簡単にイメージできるように説明すると、保護者同伴で0~3歳を中心とした未就学児がいく簡易幼稚園のような感じでしょうか。とはいえ、ほとんどの場合、参加時に連絡先や名前を記入するくらいで「園児」になるほどの大げさな登録もありません。行かない時に休むという連絡を入れる必要もなく、各曜日、いくつもの場所で行われているので、行きたい時に好きなプレイグループに行くことができます。教会のホールやコミュニティーセンターのような広い場所が、毎週決まった曜日の午前中2時間程度使われています。参加費は、1回(2時間程度)につき1家族あたり2NZドル~6NZドル(1NZドル=70円前後)程度です。

参加者から見ると共通点が多いので、午前中に子どもを遊ばせることができる場所を日常会話でプレイグループと総称してしまうことが多いのですが、私たちが通っているプレイグループは正式には「Playgroup」か「Mainly Music」に分類されるようです。「Playgroup」は、NZ教育省が子どものための教育の場所としています。教会、保護者、プランケット*1などが主催しており、カリキュラムの整備状況、設備、安全面の確保などの項目が審査されたうえで認可された「Playgroup」にはNZ教育省から補助金もおりています*2。一方の「Mainly Music」は、キリスト教の思想に基づいており、教会のボランティアが行っています*3。「Playgroup」に比べると子どもの教育そのものよりも、親子で音楽を楽しむ中で言葉を覚えたり、数の概念をとらえたり、親子それぞれの人間関係を広げることを重視しているようです。とはいえ、両者はともに教会で行われることが多く、時間の使い方も似ているためか、おそらくオークランド中心部では参加者の多くはそこまでの違いを認識していません。「何曜日のどこの教会のプレイグループが好き」という感じで、様々な人種や宗教の人が「Playgroup」、「Mainly Music」をあまり気にせずに参加しているように思います。

娘は毎週いくつかの教会で行われるプレイグループに参加していますが、毎週待ちわびているのは「Mainly Music」の日です。最初に30分程度、子どもたち全員で歌を歌う時間があります。参加者が一緒に歌えるよう、歌詞をスクリーンに映してくれます。それぞれの歌に合わせて踊ったり、マラカスや布やリボンなどを手に持ってリズムに合わせたりして、子どもたちも楽しみます。その後、モーニングティ(おやつ)の時間があり、最後の1時間弱は自由におもちゃで遊んだり、日によっては工作をしたりしています。

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歌に合わせて踊っている子供たち

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モーニングティの時間に出される子どものおやつ(左)と大人のお菓子(右)

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広い空間に用意されているおもちゃで自由遊び

「Playgroup」の場合も大まかな流れは似ていますが、歌、絵本の読み聞かせ、工作、絵具、粘土、ベーキング、外遊びを取り入れるなど内容は様々です。普段あまり意識していませんが、「Mainly Music」より幅広い遊びと体験ができているように思います。家では用意しきれない遊びや体験も多く、私にとっても、娘が興味をもつもの、苦手なものを知る機会になっています。

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絵の具を体験中

私と娘の行くプレイグループは、「Mainly Music」、「Playgroup」のどちらでも、途中に親子それぞれのためのモーニングティが用意されています。NZに来た頃は、子どもたちが遊ぶ姿を眺めながらコーヒーやお菓子を片手に談笑する保護者たちの姿がとても新鮮で、素敵な時間だなぁ...と思ったものです。(日本では働いていたので時間に余裕がなかったということもありますが、そもそも日本では子どもを遊ばせる場所で「大人用のお菓子」を提供するという発想はないのではないでしょうか。)今では、私にとってもリフレッシュできる大事な時間になっています。

ところでオークランドには、日本語で行われ、日本の行事や遊びを取り入れたプレイグループがいくつも存在します。週に1回、娘も日本語の歌や遊びを楽しんでいます。海外で子育てをしているにもかかわらず日本文化を伝える機会があり、私もありがたく思っています。また、日本語で行われる場合でも「Playgroup」の枠組みでNZ教育省が補助金を出しているということを知り、さすが移民の国と感心しました。その他のさまざまな言語、先住民であるマオリ、NZに多い南太平洋諸島からの移民にも同様のものが存在するようです。

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日本語の絵本がいっぱい

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11月の歌(NZでは、季節は春です)

プレイグループは、3歳前後になりキンディ(幼稚園)に通いはじめると徐々に来なくなる子が多いようです。もっともオークランド中心部の場合には、海外や郊外に転居するという理由で来なくなってしまうことも日常茶飯事です。娘がキンディに入園するまでもう少しです。私も娘と一緒に気軽にプレイグループに通う生活を楽しみたいと思います。


  • *1 5歳以下の子どもを専門にみるナースです。主に、新生児の家庭訪問、定期検診、各種育児関連サービスの紹介などをしています。
  • *2 補助金を受けるためには認可が必要ですが、認可を受けるのは必須ではありません。審査項目などの詳細はNZ教育省のHPにも載っています。 「Playgroup」は既存のものに参加するだけでなく、保護者が新しいものを作ることもできます。NZ教育省はEstablishing a Playgroupという冊子を出しており、そこには「Playgroup」の立ち上げや運営をサポートする専門のスタッフがいるとも書かれています。
  • *3 「Mainly Music」参考サイト
筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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