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【ニュージーランド子育て・教育便り】第41回 自然に親しめるキャンプ場

要旨:

ニュージーランドには全土に大自然を堪能できるキャンプ場が何百カ所もあり、キャンピングは、家族連れに人気のホリデーの過ごし方になっています。キャンプ場の管理の方法は官民様々ですが、森の中、浜辺、湖のほとりなど風光明媚な場所にあります。今回は、家族4人でニュージーランドでキャンプに行ってきた体験を書いています。

ニュージーランドは、大自然の美しさを堪能できることが一つの魅力です。そうした景観を楽しめる場所にキャンプ、キャンピングカー、ロッジなどに宿泊できるところが全国に数多くあります。こうしたニュージーランドのアウトドア環境は、海外でもよく知られているようで、世界中から来た旅行者たちが各地を転々としながら長期滞在を楽しむこともよくあるようです。ニュージーランドに住む人々にとっても、自然に親しむ旅行は非常に身近です。中でも上手に家族でキャンプを楽しんでいる友人の話では、「旅行の予定を立てていても子どもが体調を崩すことも多いので、家族だけなら周りの方たちに気を使わなくて良いので、体調と天気の良い日に、気が向いたら郊外の自然に親しむことができるニュージーランドのキャンプ文化は、とても魅力的なのだ」ということでした。とはいえ、日本でもアウトドアに親しんでいたわけではない我が家にとっては少々ハードルが高く、コロナ禍もひと段落して息子も小学生になり、ようやくニュージーランドの醍醐味を堪能してみることにした次第です。

一口にニュージーランドでキャンプ場といっても、民営のものから非営利のものまで様々で、大きく分類すると4種類あります。1つ目は、ホリデーパーク と呼ばれるものです。民間経営で、浜辺や山の中など景観の良い場所にあり、安全に屋外宿泊経験のできる場所です。管理人が常駐しており、キッチン、シャワー、トイレなどの共有施設も使うことができます。それぞれの施設によって差はありますが、テントを張れる場所、簡易のロッジに宿泊できるような場所、キャンピングカーが停車できる場所などの区画が用意されていることが多く、電源を使うことができる場所もあることが多いようです。

2つ目はグランピング と言い、少し豪華な屋外宿泊体験をするものです。同じく民営で快適な宿泊環境で大自然を堪能するというもので、既に設営されたテントやロッジの中に快適なベッドが用意されており、その多くは食事も豪華なものが用意されていて楽しめるようです。この形態も近年、人気が増しているそうです。

3つ目は、ニュージーランドの環境保全省で管理しているキャンプ場で、ニュージーランド全土に200カ所以上も存在します 。料金は無料か低額で、管理人は常駐していません。

4つ目が、フリーダムキャンピング と言い、最低限の設備しかない場所に無料で泊まれるというものです。このタイプの場所がニュージーランド全土に500カ所以上存在します。

3つ目、4つ目については、宿泊そのものの費用がそれ程かからなくても、自然や周辺環境を害さないようキッチンやトイレの設備が整っている車に限るなど条件があることもあります。長期の旅行となると、主としては3や4を使いつつ、充電やキャンピングカーの汚水処理のためなどに1を使うなど、時々の目的に応じて宿泊場所を選ぶようです。

我が家の今回のキャンプは初回ということもあり、近場で体験してみようと、オークランド市内で中心部からも車で30分もあれば着いてしまうような海岸沿いに面したホリデーパークを選びました。すぐついてしまう距離ですが、絶景のビーチであることから、海外を含めて遠方から来る方たちも多くいました。ただし、学期休み中ではなかったためか大人が多く、子どもは数えるほどでした。直前でも空きがあれば予約ができ、今回はオンラインで予約すると料金は4人で70NZドルでした(2022年11月の相場で約6000円。季節や曜日により値段は変動するそうです)。テント、寝袋など事前に購入しなければならないものはありますが、物価の高いニュージーランドにおける4人の家族旅行としては比較的手ごろな価格です。

到着すると管理人室に行き、割り当てられた区画の情報や無料で使えるWifiの情報、各施設の場所などを地図で説明されました。また車両のナンバープレートが登録され、写真の通りテント設営できる場所に入るにはゲートがあり、予約者以外の車両は入れないようになっていました。また、各区画には電源も用意されていました。我が家も電化製品を使用したため、多少の電気を使いました。キャンピングカーで来る人々にとっては、車内設備を使うためにもこの電源確保は大事なことのようです。更に、施設内には屋外にバーベキュー台、小さな公園、洗濯室、テレビ、ラウンジもありました。

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汚水処理ができる場所、キッチン、洗濯室などがまとまっている共有施設

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キャンプ場の面している海辺


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F5という区画が我が家が今回キャンプを設営した場所/ゲートで車両管理されている

我が家は夕方に着いた後、テントを設営し、公園で遊び、キッチンを使っての料理をしました。そして空き時間には、のんびりとビーチを散歩して過ごしました。日が暮れるころになると、折りしも、ニュージーランドでは一年に5日だけ花火ができる日に含まれる、ガイフォークスデイの週末と重なっていたこともあり、ビーチは花火をする人々でにぎわっていました。家族で夜ビーチを散歩すると、ビーチのあちらこちらから花火があがり、花火を眺めながら楽しい夜の浜辺散策ができました。花火の音は深夜まで続き、その音が収まった頃、波の音を聞きながら寝ました。このように今回の滞在では、ホリデーパークの面しているビーチの景色を十分に満喫することができました。翌日の朝、借りていた電源用コードを返却し、帰路につきました。

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浜辺から眺める夕焼け


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花火があがる浜辺


5歳の息子にとっては人生初の花火を見たキャンプ泊となり、非常に強く心に残ったようで、学校の先生にも海の近くで家族で寝袋に入って寝たとかと花火の話を喜んで話していたそうです。

こうして、初回のキャンプが私たち家族でも比較的気楽に楽しめたものであったことから、12月の夏休みの間にも再度別のホリデーキャンプに2泊してみました。やはりビーチの近くで、魚や貝がたくさん採れたりサーフィンができたり、近くに洞窟がある場所でした。時期的に子どもたちの夏休みと重なっており、キャンプ場は小学生くらいの年齢の子連れの家族でにぎわっていました。

初回のキャンプの時には我が家の子どもたちは2人でのんびりと遊んでいることが多く、もっと子どもたちにキャンプの設営の手伝いをさせるべきなのだろうかとか、料理の手伝いをさせるべきなのだろうか、と何かを教えたり協働するようなことも積極的にすべきだったのかなと思っていました。しかし、今回我が家の子たちだけでなく、他の子どもたちの様子を見ても、そこまで家族とのキャンプで「お手伝い」をすべきという意識はないようで、お父さんがテントを張っている時には併設の公園で遊んでいたり、空き地でフリスビーをしていたり、一緒に来ているお友達家族の子どもたちと遊んでいるような子どもがたくさんいました。

キッチンに行っても料理をしているのは保護者ばかりで、そこでの他の保護者と話をしても「今日は、昨日子どもたちが釣ってきたヒラメを焼いている」「子どもたち、目の前のではなく少し離れたビーチも楽しかったみたい」「今日は洞窟に行ってきた」といった内容でした。子どもたちに何かを積極的に教えたいというよりも、楽しく自然に親しむ経験をさせてあげたいという思いで来ている方が多いようでした。

ニュージーランドの人たちは、大人も子どもも本当に自然が好きな人が多く、自然保護を積極的に考えて行動している人も多くいます。小さな頃からのこうした自然に親しめる楽しいキャンプ経験なども、そういった気持ちに繋がっているのかもしれません。

筆者プロフィール
村田 佳奈子

東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。幅広い分野の資格試験作成に携わっている。7歳違いの2児(日本生まれの長女とニュージーランド生まれの長男)の子育て中。2012年4月よりニュージーランド・オークランド在住。
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