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【国際都市ドバイの子育て記 from UAE】 第14回 ~砂漠の楽しみ方 1~

森中 野枝

2019年8月 2日掲載

世界一の高さを誇る超高層ビル、バージ・カリファ(828m)。

その展望台は124階、452メートルの高さにあり、天気が良ければドバイを一望することができます。
何度行っても迷ってしまうラビリンス、ドバイ・モールの構造を上からじっくり観察し、両側合わせて16車線あるシェーク・ザイードロード、複雑に入り組む立体交差の高速道路をひとしきり眺めます。上から見るとところどころ草木が苔のようにへばりついているだけで全体的に茶色っぽく、思ったよりずっと緑が少ないことに気づきます。

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バージ・カリファからの眺め。ドバイ・ファウンテンが上がる人口池
左端がドバイモール

でも、なによりも驚くのは、立ち並ぶ超近代的高層ビルのすぐそばに砂漠が 広がっていること。
こんなに砂漠が近いのだから、毎日家の床を雑巾がけしても砂がどこからか入り込んで床がざらざらしてしまうのは、仕方ないのだなとあきらめがつきます。

高層ビルは沿岸部だけで、海と反対側に車を走らせて30分もすれば、本格的な砂漠が広がっています。近代的できらびやかな風景は、ドバイのほんの一部なのです。

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高層ビルのすぐ向こうは砂漠

さて、今回はドバイでの砂漠の楽しみ方をご紹介します。

砂漠キャンプ

砂漠の楽しみ方といえば、なんといっても砂漠キャンプです。
UAEはベドウィン(遊牧民族)の国だけあって、砂漠ならどこでテントを立てても基本お咎めなし。キャンプ場の料金も駐車場代もいりません。国土の大部分がキャンプ場なのです。

ドバイのおしゃれエリアでなに不自由なく贅沢な暮らしをしているエミラティ(UAEの人)も、時々砂漠が恋しくなり週末はジープで砂漠を駆け巡ります。

ドバイに引っ越してすぐ、娘の同級生の家族に誘われて砂漠キャンプに行きました。我が家は子ども3人、お友達家族は子ども4人。お互いの子どもの年齢が近く小さい子もいて、子だくさん家族ののんびりキャンプです。

ドバイ滞在歴10年のその家族がキャンプ地として選んだのは、隣国オマーンとの国境に近い砂漠の村ハッタ(Hatta)。ドバイから約130km離れたオマーンとの国境線沿いにある村です。

UAEとオマーンの国境線は複雑に入り組んでいて、UAE領であるハッタの西側にオマーン側の領土が突き出しています。なので、ドバイからハッタに行くためには一度オマーンに入国して10分くらい車を走らせてオマーン領を横切り、その後、もう一度UAEに入国しなければなりません。ここの出入国ゲートは簡易的なもので、パスポートチェックの検査しかありません。

今回のキャンプ地は、サラサラした砂の「砂漠」ではなく、岩が多くごつごつしていて目の細かい土が広がる「土漠」です。「砂漠」を運転するには、特別な準備や高度な運転技術が必要ですが、土漠は四輪駆動の車であれば運転しやすく、初心者向き。

たどり着いたのは、360度人工的なものは何もない荒涼とした手つかずの土地。 一時間に一度ぐらいの頻度で車が砂煙を立てて走り抜けるだけの、完全なるプライベートキャンプです。

夜は街灯がないため真っ暗になります。車のヘッドライトだけを頼りに運転する車が突っ込んでこないよう、テントを張る場所は吟味します。

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ところどころに低木があり、草もちょぼちょぼと生えている

ハッタはワディがあることで有名です。ワディとは枯れ谷のことで、普段は水流がなく枯れていますが、ひとたび雨が降ると急激に水があふれ鉄砲水が発生し、非常に危険です。毎年キャンプ客がこの鉄砲水の犠牲になっています。

どこにテントを張ってもよいとは言え、すべては自己責任。慎重にテントを張る場所を選びます。鉄砲水が発生しにくい場所で、大きな木のそばを選んでテントを張り、テントを守るように木と反対側に車を止めます。木が目印になるため、他の車が間違って突っ込んでくる危険性が低くなります。

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テントのそばに車を横付けし、テントを守る

場所が決まったら全員で準備、2歳の長男も手伝います。ベテラン家族のご指導のもとてきぱきと整っていきます。

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大きな岩を集めてコンロづくり

夕食はドバイから買い込んできた食材でバーベキュー。こちらの羊肉は臭みがなくラムチョップは子どもにも食べやすく大人気です。夕飯もそこそこに、早く遊びたい子どもたち。まずは、化石探しです。その昔、ここは海の底だったため、魚の化石があちこちで見つかります。

日が暮れて化石探しができなくなったら、今度は懐中電灯を振り回しての肝試し。5年生の男の子を筆頭に最年少は2歳、総勢7人の子どもたち。大きいお姉ちゃんが小さい子の手を引いて真っ暗闇をきゃーきゃー叫びながら歩きます。20m先に行くだけでも子供たちにとっては大冒険です。

「静かに!」「走らないで!」などのお小言は、ここでは一切無用。なんたってプライベートキャンプなのですから。 楽しそうに遊ぶ子どもたちを見ながら、大人は火を囲んでまったりとお酒を飲みながら、星を眺め、おしゃべりに興じます。ゆったりと時間が過ぎていきます。

子どもにも、大人にも、そして、お財布にも優しい最高のキャンプです。

学校の砂漠キャンプ

長女が通っていた日本人学校でも、毎年11月に隔年で2泊2日の砂漠キャンプが行われていました。5年生から中学3年生までが対象で、砂漠キャンプがない年は、小学部(5、6年)、中学部と分かれて修学旅行に行きます。修学旅行の行先は、小学部はオマーン、中学部はヨーロッパ。砂漠キャンプも修学旅行も子どもたちが心待ちにしているイベントです。 さて、キャンプ当日の朝、学校から班ごとに分かれて車に乗り、四輪駆動の車を何台も連ねて砂漠を目指します。

毎年、砂漠キャンプに参加するのは50人前後。先生の目も行き届くちょうどよい人数です。

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砂漠で注意事項を聞く生徒たち

テントを張る場所には、ちゃんとしたキャンプ場が使われます。夕食の後は、ダンスをしたり出し物をしたり、レクリエーションを楽しみます。夜は満天の星を、朝は早起きをして日の出を見ます。

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2、3人1組でテントを張り一夜を過ごす

楽しい砂漠キャンプを終えて帰ってきたら、家に入る前にやらなくてはならないことがあります。
それは、砂漠で遊んだ時に着ていた服のポケットを全部裏返して砂を出すこと。靴は中敷きを取りだし、ひっくり返して壁にたたきつけ、砂を全部出し切ります。鞄の中身を出して濡れ布巾でふけるものは丁寧にふき、さかさまにして入り込んだ砂を出します。これを忘れてしまうと、その後しばらく家中にまき散らされた砂に悩まされることになってしまいます。

上級者のキャンプ

「どこでも好きなところにテントを張れる」というのはキャンプ好きにはたまらないようで、車でキャンプしながら移動し、隣国オマーンまで行ってしまうツワモノもいます。

日本人のIさん一家は、仲良しの家族としょっちゅう一緒にキャンプに行っています。今年は、途中で気に入った場所にテントを張って泊まりつつオマーンのサラーラまで車で行くという大キャンプを決行(走行距離3,000km、全6泊)。キャンプ地は、山の上だったり、ビーチだったり、砂漠だったり。途中サソリやラクダに遭遇したり、秘境のワディ(枯れ谷) を発見したり、インディージョーンズさながらの大冒険。

人工的な街ドバイで暮らしている分を差し引いても、おつりがくるほどの自然体験。どんな国に住んでいても、しなやかにバランスを取って子育てに活かすことのできるようになりたいものです。

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ビーチでキャンプ

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サソリ発見!

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崖を1時間トレッキングしてたどり着いた秘境のワディ

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贅沢な天然プール

4枚の写真はIさん提供。


筆者プロフィール
森中 野枝

都立高校、大学などで中国語の非常勤講師を務めるかたわら、中国語教材の作成にかかわる。
学生時代中国・北京に2度留学したあと、夫の仕事の都合で2004-2008 北京に滞在。2011-2013カナダ・トロント滞在。2013-2017 アラブ首長国連邦ドバイ滞在。現在はサウジアラビア、ジェッダに住んでいる。
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