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【ニュージーランド子育て便り】 第7回 車の免許取得で身近になった大自然

村田 佳奈子

2013年7月 5日掲載

要旨:

ニュージーランドは車社会である。ようやく夫が車の免許を取得した我が家では、日常生活の利便性が増すことに加え、身近にある大自然を満喫する日を楽しみにしている。オークランドの中心部から車で数十分も走れば、荒波の海岸、森林散策のコースなどに子どもを連れて行くことができる。大自然に触れる機会が身近に溢れており、子育てに適した環境が整っている。

ニュージーランド(以下、NZ)は車社会です。運転免許も車もなくNZに来てしまった私たち夫婦には、運転免許の取得と車の購入が大きな目標でした。そして、先日、夫がようやく自動車のRestricted Licenceの実技試験に合格しました。

NZの運転免許は3段階になっています。まずテキストを購入し自分で勉強をします。その後、コンピュータ試験に合格するとLearner Licenceが取得できます。Learner Licenceの場合、必ずFull Licenceを取得して2年以上の人を助手席に同乗させた状態で車道での練習をすることになります。Learner取得の半年後以降に実技試験を受けることができ、合格するとRestricted Licenceを取得することができます。この免許は、夜10時~朝5時までの走行は禁止、同乗させることができるのは家族のみです。Restricted Licenceを取得してから25歳以上の場合は半年後以降に、24歳までの場合は1年半以降に再度実技試験を受けることができ、合格するとFull Licenceとなります。ここまできてようやく何時でも誰でも乗せて走ることができるのです。(子どもを乗せるにはチャイルドシートが必要です*1。)

車の免許は、16歳以上で取得することができます。都市部から離れれば車が必須に近いNZでは、子どもが16歳以上になった時に保護者に同乗してもらい、自家用車で練習をしながら運転がマスターできるため、適している制度なのだと思います。一方で、海外から来て新しく免許を取るには非常に厳しい仕組みです。日本のように教習所もなく、1人では公道で練習することもできません。更に、実技試験で合格するにはプロの教官を時間単位で雇うという選択肢もありますが、高い料金になりますし時間も相当かかってしまいます。結局、夫がRestricted Licenceを取得するには1年かかってしまいました。それでも免許を取得したのは、子どもが大きくなるにつれて、学校への送迎、習い事、行事、買物など日常生活での車の必要性も増してくると思ったからです。

更に、週末にもっと大自然に親しみたいというのも大きな理由の一つです。車があるとNZの魅力である自然と触れ合う機会が大幅に増えます。郊外へ数十分も走れば森林や美しい海岸がたくさんあります。親子共々、自然から学べる環境が揃っているのです。写真は、オークランド中心部から車で40分ほどのムリワイビーチです。タスマン海に面した海岸には荒波が次々とやってきます。その中をサーファーたちが心地よさそうに過ごしていました。大迫力の海岸にはカツオドリのコロニーがあり、テレビのドキュメンタリーをみているかのようなカツオドリの子育ての様子に心打たれました。

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ムリワイビーチ

また、あまり日本で知られていないと思いますが、NZには森林散策のコースがたくさんあります。森林のことをNZではブッシュと呼びます。そのブッシュを歩くコースが観光保護局のHPに、オークランドだけでも40近く整備されたコースが載っており、年代や体力に応じて適したコースが選べるようになっています*2。同じコースの中でも一部だけまわれるような所もあれば、ここに載っていないようなコースもあるので、本当に数多くの散策コースがあることが分かると思います。整備されているコースを歩くとNZ人が自然を大事にしている様子が伝わってきます。私たちが何度か行った場所は、オークランド中心部から車で40分ほど、大きな森が広がっています。ここでは、日本の屋久杉と姉妹木になっているような樹齢1000年のカウリの巨木も保護されており、見ることができます。

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整備されているブッシュウォーク

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広がるWaitakereの森(Waitakereはマオリ語で深い水という意味)

美しい海岸や森林が自然の姿をとどめたまま、あまりアウトドアが得意ではない私でも子どもと行ける程度に整備されていることは大きな魅力です。NZでは何事にも気楽な雰囲気が漂っていますが、特に自然の中では年代も様々な人々が同じ時間と場所を気楽に共有できている気がします。わが家の場合は、親があれこれ感動している間に、娘は身近な小さな葉っぱや枝、茂みから出てきた鳥に心奪われているというのが実態ですが。

また、こうした自然に触れながら、原住民であるマオリの文化を感じることができる場所がたくさんあります。NZの地名もマオリ語が語源になっていることが多く、訪れる各所でその地名のマオリ語での意味を聞く機会があります。マオリ独特の彫刻が飾ってあったり、マオリの人々が植物に持たせてきた意味を聞く機会もあります。私自身、このように自然の中でマオリの様々な彫刻やシンボルを知る機会が積み重なり、NZの社会の中にも様々な形でマオリのシンボルが使われていることに気づき始めました。NZの人々が他の文化に寛容なのは、移民が多いということに加え、日常的にマオリの考えに触れる機会があることも大きいのだと思います。娘もデイケア(保育園)で時々マオリ語を習ったりしていますし、折々にマオリの文化に触れる機会があるので興味をもっているようです。マオリのシンボルや彫刻を見ると、いつも張り切って「マオリだよ!」「(風習や植物の意味など)これはこういう意味だよ。」などと私に教えてくれます。

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ブッシュウォークの入り口にあるマオリの彫刻

大自然と日常的に接しているためなのか、NZの人々が自然を愛していることは生活の所々で感じることができます。実際に、豊かな自然はNZ人の精神性や国民性に影響を与えていると言われています。NZはこの夏70年ぶりの大干ばつに襲われましたが、4月以降は急に天気の悪い日が続いています。天気が良い日が続く季節になり、親子3人でマイカーに乗りブッシュウォークや海に行く日が楽しみです。そして、私も夫に続けるよう運転の練習に励まなければと思います。


筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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