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【国際都市ドバイの子育て記 from UAE】 第15回 砂漠の楽しみ方 2

豪華な砂漠ホテル カスル・アル・サラブ

低コストの砂漠キャンプもいいけど、やっぱりサラサラした砂の、ザ・砂漠も体験してみたい。そう考えた私たち家族は、ある年の12月、UAEの首都アブダビのリワ砂漠にあるカスル・アル・サラブという砂漠のホテルを訪れました。

リワ砂漠は、ルブアルハリ砂漠という世界最大級の砂漠の一部です。ルブアルハリ砂漠はサウジアラビア南部、オマーン、UAEにまたがっており、アラビア半島の4分の1を占めています。

ホテルはドバイから約380km(車で3時間半)、アブダビから約220km(車で2時間)の位置にあり、サウジアラビアとの国境にほど近い、砂漠のど真ん中に建てられています。 ホテルのホームページには、「アブダビ国際空港から車またはヘリコプターでアクセスできます」と書いてありますが、庶民の私たちは車で出かけます。

1時間半かけてまずアブダビに行き、そこから内陸へ向かい、砂漠に囲まれた単調な一本道をひたすら進みます。初めは新鮮に思えた風景も、日が傾くにつれ不安材料に変わっていきます。こんな砂漠のど真ん中にそもそもホテルを建てることができるのか、そのホテルにちゃんとしたレストランはあるのか、このまま道に迷ったら、ガス欠になったらどうなるのか、半分遭難した気分になったとき、突如ホテルのゲートが現れます。

ホテルの「カスル・アル・サラブ」という名前は、アラビア語で「蜃気楼の城」という意味で、その名の通り砂漠のど真ん中に幻のように現れるホテルです。

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カスル・アル・サラブの敷地に入るゲートが見えてきて一安心。
ここからさらに10分走るとホテル入り口に到着する。

アブダビのロイヤルファミリーがオーナーで、アブダビ政府が建設にかかわったというこのホテルは、1万人の労働者が2年間休みなく働いて完成させたとか。154のゲストルームのうち、52のプライベートビラはプール付き。ホテルスタッフは5,000人、バチェラーサービス、プライベート・レストランなどのサービスも利用可能で、まさにロイヤルファミリー仕様のホテル。

アブダビから離れているため、お医者さんが常駐し、緊急用のヘリコプターが常に待機しています。

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スタンダードルームでもエキゾチックで豪華な内装。すぐに砂だらけになってしまう床は、知らないうちに掃除されてきれいになっている。
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全ての客室には大きな窓があり、砂漠の景色が堪能できる。
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部屋のバルコニーから砂漠を眺める。砂漠までのアクセス1分!
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すべての客室が西向きに建てられており、どの部屋からも朝日と夕日が楽しめるようになっている。フロントから専用カートで部屋まで移動する。
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360度見渡す限り砂漠。

ドバイにも砂漠があるのになぜわざわざと思うかもしれませんが、ここの砂漠は3時間かけて訪れる価値があります。

リワ砂漠の砂は少し赤みがかっていて、太陽の光の当たり方によって色が変化します。デューンと呼ばれる砂漠の上に描かれる波紋は、風が吹くたびに刻々と姿を変え、まるで生きているアート作品のように見えます。

新雪に足跡をつけるような気分で、砂漠アートの上をぎゅ、ぎゅ、と力一杯踏みつけながら歩いてみます。砂丘からごろごろ転がり落ちたり、サンドボード(スノーボードのように板に乗って砂丘を滑り降りるスポーツ)をしたり、砂の上に絵を描いたり。広大な敷地に宿泊客が分散されるため、誰にも邪魔されず砂漠を独り占めできるのもこのホテルならではです。 ゆっくり傾く夕日をぼーっと眺め砂が風に吹かれる音を聞いていると、砂漠に癒されている自分に驚きます。

ドバイの近場の砂漠には、高圧線が立っていたり、ごみが捨てられていたり、観光客がたくさんいたりして、なかなか砂漠に癒されるというところまでいかないのが現状。砂漠に癒しの効果があることに気づく、砂漠の豪華ホテルです。

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砂漠のど真ん中にこのプールが存在することがどんなに贅沢なことかお判りでしょうか。プールの水をこの透明度に保つだけでも至難の業。
砂漠のアクティビティ

砂漠での過ごし方の一押しはぼーっとすることですが、他にもたくさん砂漠のアクティビティが用意されています。

4輪バギー
まずは、4輪バギー。1人乗りと2人乗りがあります。年齢に合った乗り方を選び、いざスタート。

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乗り方のルールは特になく、監視員もいないため、ひやっとする場面も。
すべては自己責任。

子どもの方が大胆で、暴走族さながらに乗り回します。

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サンドボード
砂漠にほどよい高さの砂丘を見つけたら、サンドボードに挑戦すべし! スノーボードの板を持ち込めば、どこでも手軽に遊べます。

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サンドボードで丘を滑り抜ける。
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大人も楽しむ。

キャメルライド
砂漠といえばラクダ。キャメルライディングというラクダに乗るアクティビティはちょっとした観光地には必ず用意されています。観光客向けに用意されているラクダは、政府がきちんと管理しているので感染症の心配はありません。

中東地域のラクダは主にヒトコブラクダで、砂漠の輻射熱を避けられるように足と首が長くなっています。下の写真のように、ラクダが座っている態勢で上にまたがります。
ラクダは長い後ろ足から立ち上がるため、上に乗った人はまずラクダの頭の方にガクッとつんのめります。次に、ラクダが前足を立てると、今度はガクッと後ろに倒れます。降りるときはその逆で、足の長いヒトコブラクダの背中はかなり高い位置にあるため、ある程度イメージトレーニングが必要です。

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カスル・アル・サラブのキャメルライディング。
ホテルから10分くらい離れた砂漠にわざわざ車で行きラクダに乗る。
絶景を楽しめて本格的。
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手編みの毛糸カバーで口を覆われたラクダ。
ラクダは興奮すると口から泡を吐いたり、
大きなベロを出したりと、グロテスクだからと思われる。

子どもから大人まで、初心者から上級者まで、サバイバルからラグジュアリーまで、砂漠の色々な楽しみ方をご紹介しました。

絶望的な暑さ、言葉が通じない不便さ、小さなコミュニティの息苦しさなど、海外に暮らすプチストレスはたくさんあります。それを癒すすべを一つでも多くもつことが海外で暮らす秘訣。砂漠に出かけ、砂に癒され、嫌なことを全部砂に流して、気持ちをリセットする。砂漠がそんな存在になると、ドバイ駐在が楽になるのかもしれません。

筆者プロフィール
森中 野枝

都立高校、大学などで中国語の非常勤講師を務めるかたわら、中国語教材の作成にかかわる。
学生時代中国・北京に2度留学したあと、夫の仕事の都合で2004-2008 北京に滞在。2011-2013カナダ・トロント滞在。2013-2017 アラブ首長国連邦ドバイ滞在。現在はサウジアラビア、ジッダに住んでいる。
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