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【ドイツの子育て・教育事情~ベルリンの場合】 第18回 ユースホステル

シュリットディトリッヒ 桃子

2016年6月 3日掲載

要旨:

ドイツはユースホステル発祥の地だけあって、国内に約500ものユースホステルがある。各ホステルにより立地や施設などの特徴が異なるが、会員になれば廉価で宿泊できるとあって、私たちのような子連れファミリーは勿論、グループや単身の旅行者など、広い層に受け入れられている。今回はそんなユースホステルの仕組みや実際に宿泊した施設をいくつかご紹介したい。

キーワード:
ドイツ、ベルリン、ユースホステル、子連れファミリー、子連れ旅行、シュリットディトリッヒ桃子

以前、「小学校編 第6回 小学校のお休み事情」でも説明しましたが、ベルリンの学校では大体、夏休み6週間、秋休み2週間、クリスマス休み2週間、冬休み1週間、イースター休み2週間、と年間を通して沢山の休暇があります。その分、旅行に出かける頻度も高くなりますが、コストを抑えるため、子連れファミリーにはユースホステルが人気のようです(「保育園編 第21回 ドイツ流夏休みの過ごし方」ご参照)。今回はそのユースホステルについて記してみたいと思います。

ユースホステルの概要

ドイツはユースホステル(ドイツ語ではJugendherberge)発祥の地だけあって、国内に約500ものユースホステルがあります。これらは人々に広く受け入れられているようで、私たちのような子連れファミリーは勿論、グループや単身の旅行者もよく見かけます。

また、元々ドイツの小学校の教師が泊まりがけの校外学習のために、あるお城を宿泊所として開設したのが始まりとのことで、現在も学校やクラブの合宿所など教育の場としても使用されることが多いようです。小中高校生を対象とした自然の中での課外授業プログラムや、宿泊所となっているお城を中心とした歴史プログラムを提供しているホステルもあります。今年のイースターに私たちが利用したヴォルフスブルクのユースホステルではスイミングクラブに所属する中学生たちが同時期に宿泊していました。

実は、息子が通っている日本語補習校で年に一回行われる一泊二日の合宿も、ベルリン市内のユースホステルで行われています。補習校の先生によると「ベルリンのユースホステルにはセミナールームなど大きな部屋も備え付けてあるので、のびのびと劇の練習などができます。また、小学生から高校生までの参加者や教師、総勢100名程が一緒に食事をとることのできる大食堂もあり、ユースホステルは合宿にはうってつけの場所です」とのこと。

そんなホステルですが、各施設によって特徴があり、市街地に立地しているものもあれば、山や湖畔といった自然の中にあったり、もしくは世界遺産の近くに構えている所もあります。施設も企業のセミナーや会議が開催できるようなモダンな設備を整えているものから、学校の部活やスポーツクラブの合宿所のような雰囲気ものまで様々です。いずれにしても、これらのユースホステルを利用するには、会員になる必要があります。

会員制度

会員になるためには、26歳までの個人は年間7ユーロ(約880円:2016年4月現在、以下同。)を、家族(保護者と18歳以下の子ども)もしくは27歳以上の個人は年間22.50ユーロ(約2800円)を払います。例えば、4人家族だと、子どもが18歳になるまでは会費は22.50ユーロなので、とてもお得な気がします。会員になると、ドイツ国内は勿論、世界80か国以上にある4000以上のユースホステルを利用する権利が与えられます。

ちなみに、非会員でドイツ国外の国籍をもつゲストは、宿泊費プラス一泊につき3.50ユーロ(約430円)払うことにより、ドイツ国内のユースホステルに宿泊可能です。また、6泊以上するか、18ユーロ(約2250円)払うと、1年間、世界中のユースホステルを会員割引料金で利用できるようになります。日本からいらして、ドイツに長期滞在する場合はおススメです。

宿泊費用

宿泊はインターネットでも申し込みができ、大変便利ですが、費用は、ホステルの立地や宿泊する部屋の種類や時期によって異なるようです。私たちが初めて利用したユースホステルは、ベルリンから電車で3時間のシュヴェリーン(Schwerin)中央駅からさらにバスで30分と山の中にあり、トイレ・シャワーは共同、部屋には二段ベッドしかない質素なものでしたが、一泊二食(しかも食べ放題)付きで、大人二人と子ども一人で合計55ユーロ(約6800円)と破格の料金でした(詳細に関しては「保育園編 第21回 ドイツ流夏休みの過ごし方」参照)。

一方、昨年利用したデュッセルドルフのユースホステルは、中央駅から地下鉄で10分程という便利な立地でしたが、トイレ・シャワー付のお部屋に一泊朝食のみついて、大人二人と子ども一人で合計60ユーロ(約7500円)と、シュヴェリーンよりは割高でした。

また、ホテルとの違いは、ユースホステルにはお部屋にTVやインターネット、アメニティはないので、娯楽用品やタオルやシャンプーは各自持参すること、そして、シーツやまくらカバーは自分でつけることなどでしょうか。

食事

どこのユースホステルでも大体、食事は食堂でとります。バイキング形式になっていて、朝食はパン、ハム、チーズ、コーンフレークなどのシリアル、ヨーグルト、ゆで卵、バナナやリンゴなどの果物などに、コーヒー、紅茶、牛乳などの飲み物があります。特に焼き立てパンはどこのホステルでも提供されていて、大変美味しかったです。

夕食はドイツらしくソーセージとじゃがいもはどこでも提供されていました。さらに、豚肉や七面鳥、チキンのステーキに野菜が多い気がします。味は可もなく不可もなくという感じですが、宿泊料金を考えると文句は言えませんし、パンとチーズなど冷たい夕食をとる家庭が多いドイツで、暖かい夕食が提供されるのは、魅力的なことだと思います。

ユースホステルの例

これまでユースホステルの仕組みについてご説明してきましたが、ここで私たちが実際に利用した場所をいくつかご紹介したいと思います。

1. アウグストゥスブルク(Augustusburg)
ベルリンから電車とケーブルカーを乗り継いで3時間半、ザクセン州のアウグストゥスブルグという山村にもユースホステルがあります。ここは人口4千人の小さな村ですが、その昔、ドレスデンの宮殿に住んでいたザクセン王国の王様が狩りをするために建てた城を中心に栄えていたそう。その城は現在、ザクセン王関連の狩猟動物と馬車の博物館およびオートバイ博物館(東独時代は近隣でオートバイの生産が盛んだったため)、そしてユースホステルとして使用されています。

500mの山頂に建てられたこの建物へたどり着くには、ケーブルカーの駅からさらに山を登らなければなりませんでした。なかなかハードなハイキングでしたが、最後の急な勾配を登りきると、王様の城らしく金色の入口が見えてきました。

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ホステルまでの道のり:右側の建物がユースホステル
この門を抜けると、
中庭になっています
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中庭
左からユースホステル、狩猟動物と馬車の博物館、
オートバイ博物館

コの字型の中庭を抜けると、宿泊先のユースホステルが左手に見えてきました。中世へタイムトリップしたかのようなこのユースホステルは結構人気が高いようで、到着した日には結婚式&パーティも行われていました。

シュヴェリーンで共同バス・トイレの不便さに懲りたので、この時からトイレ・シャワー付の部屋に宿泊することにしたのですが、それでもこのユースホステルは一泊二食付、親子3人で80ユーロ(約1万円)とお手頃価格でした。

ところで、通常、ユースホステルの個室にはTVもPCもありません。さらに、ここは山中でインターネットは当然つながらず、街中でもほとんど見かけない自動販売機がこんなところにあるわけもありません。しかし、広いホステル内には同じ年代の子どもたちも沢山宿泊していたので、他の客に気兼ねすることもないし、息子も彼らと一緒に遊ぶことができ、シュヴェリーン同様、子連れにはおススメのホステルでした。

また、宿泊していたのがちょうどイースターだったので、ホステルのスタッフが広い裏庭にイースターのお菓子を隠して「宝探し大会」が催されました。これまた広いお庭の中を、子どもたちが必死でお目当ての「イースターエッグ」やお菓子を探している様子は、大変微笑ましいものでした。

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ホステルの裏庭でイースターのお菓子を探す息子
ファミリールームの様子:
右手前に子ども用ベッドがあります


2.デュッセルドルフ

自然の中にあるシュヴェリーンやアウグストゥスブルクのユースホステルとは対照的に、街中に位置するデュッセルドルフのユースホステル。それまでの「安かろう、汚かろう」でバックパッカーや若者が泊まるイメージを覆すものとなりました。シャワーとトイレ付きの個室を予約したこともありますが、中央駅から地下鉄で数駅と交通の便も至極よく、建物も新しく綺麗、ベッドも二段ベッド&普通のベッドという組み合わせで気持ち良く過ごすことができました。それでいて、親子3人、朝食ビュッフェ付で一泊二日の料金が60ユーロ(約7500円)でしたから、やっぱりリーズナブルだと思いました。さらに、私たちが気に入ったのは、その立地。デュッセルドルフの人口の5%しか住むことができない、高級住宅街オーベルカッセル(Oberkassel)にあるのです。

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ホステル外観
ホステル対面にある素敵な建物

さらに、このホステルはライン川のウォーターフロントに位置するので、眺めも素晴らしいものでした。また、便利な街中にあることからでしょうか、ここのホステルは家族連れやグループに加え、単身での宿泊客が多かったことも印象的でした。

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ホステル近くにあるライン川の散歩コース:羊もお散歩中

以上、ドイツのユースホステルについてご紹介してきましたが、せっかく年会費を払っているので、今後も色々な街や村のホステルに宿泊して、ドイツの様々な面を発見していきたいと思います。


●参考文献

筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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