日本に長く住んでいたサウジアラビア出身でイスラム教徒の友人に、日本でどうやって食品を選んでいたのか聞いてみました。
まず、肉はオーストラリアやニュージーランド産を選んで買っていたとのこと。イスラム教徒とルーツを同じくするキリスト教徒が屠殺した家畜なら食べてもOKなのだそうです。肉が入った加工品は、豚肉が使われていることが多いからNG。
シーフード全般はOKで、てんぷら、刺身、しゃぶしゃぶ・焼き肉(牛肉)などは外食でも比較的安心して食べられるそうです。コンビニのおにぎりも具によってはOK。 アルコール成分が入っている醤油やみりんなどについては、自分で料理する時は使わないけれど、加熱してアルコール分がとんでいるならそこまで神経質にならない *。コーランで禁じられているのは、アルコールで酩酊することであり、料理に使う程度のアルコールならよいと考えているということでした。
アルコールよりも豚肉の方が気になるようで、マクドナルドのフィレオ・フィッシュはOKだけど、ポテトは食べない。フライドポテトを揚げる油に豚肉のラードを使っている可能性があるからとのこと。
自分の口に入れるものは慎重に調べて選んでいるのがよくわかります。
ムスリムによっては、料理中に使われる「アルコール」に妥協する人は少なからずいるようですが、豚肉に関してはより神経質に遠ざける場合が多いようです。
「ノン・ムスリム・コーナー」
では、ドバイで「豚肉」が手に入らないかというと、そうではありません。
外国系スーパーの多くには「ノン・ムスリム・コーナー」という秘密の隠し部屋のような小さな隔離されたスペースがあり、生の豚肉や高級ハムがショーケースにずらりと並んでいて、好きなものを選んでその場で好みの厚さにカットしてもらうこともできます。

奥に精肉コーナーが見える


一見豚肉とは関係のなさそうな缶詰でも、豚肉エキスやアルコールなどが微量に入った食品であれば、この部屋で販売されます。ここで品物を選んでかごに入れ、小部屋を出て一般のレジで精算をします。
豚肉を提供するレストラン
ドバイで豚肉が食べられるレストランは、それほど多くはありません。
有名な小籠包のレストラン「鼎泰豊」も、ドバイ店の小籠包は豚肉ではなく鶏肉です。代わりにかどうかはわかりませんが、ドバイの人が好みそうなトリュフやフォアグラの高級小籠包があります。
また、日本料理のレストランの中には、豚肉を提供するところがいくつかあります。


豚肉を提供できるレストランは、ホテル内が主流で、豚肉提供の許可は、アルコールのようにホテル単位ではなく、レストラン単位で申請し許可を得ます。許可を得るためには、豚肉専用の調理場、冷蔵庫があることが必須条件です。




豚肉、アルコールのライセンス費用、そして設備費が上乗せされ、ホテル内のレストランということもあり、どの料理も値段は日本の2~3倍します。それでも、月に何度か高いお金を払って、おいしい豚肉料理を食べ、ビールを飲んで、リラックスすれば、また駐在生活を頑張る気力がわいてくるのです。