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【ニュージーランド子育て・教育便り】 第20回 学校と家庭の連絡手段となるICTツール

村田 佳奈子

2020年9月18日掲載

要旨:

ニュージーランドの小学校では、学校と家庭の連絡手段としては主にICTツールが使われています。本記事では、ウェブサイト、アプリ、SNSに分け、過去1年で娘の通う小学校で使われた多くのツールを紹介しています。この原稿は、ニュージーランドで3月末からロックダウンが実施される前にまとめていたものですが、新型コロナウイルスが流行る中でもこれらのICTツールは役に立つものでした。

ニュージーランドの小学校に娘が入学してから、5年が経ちました。以前も「第1回 親の負担が少ない小学校生活」でご紹介したように、学校からの連絡手段としてはICTツールを使うことが多いのですが、娘が小学校生活を送るようになって以来この5年間で更に利便性が増しています。この1年ほどを振り返り、学校と家庭をつなぐ役割を担ってきた、全てのツールをまとめてみました。

学校生活に関するウェブサイト

まず、学校の生活に関連して使われているウェブサイトを取り上げます。

(1)学校からのニュースレターはウェブ配信

ニュースレターは日本の学校で言えば、「〇〇小学校だより」といったものに該当します。最もオフィシャルな学校からの連絡です。校長先生からのメッセージ、今学期重視していること、主要な行事のお知らせや報告、代表的な学習内容の紹介、活躍した生徒を紹介する、といった内容で、2週間に一度くらいの頻度で配信されます。娘の学校のニュースレターには、各記事の更新日が書かれており、下の方までスクロールすると以前配信された内容まですべて読むことができます。また、自動翻訳機能もついており、不自然ではありますが、日本語で読むことも可能です。

(2)学校のスケジュールはウェブ上で共有

学校のイベントや学校理事会(BOT: Board of Trustees)のミーティングなどのスケジュールは、学校のウェブサイト上のカレンダーに一括でアップデートされていきます。ニュースレターや学校連絡アプリにもリンクが貼ってあり、カレンダーにアクセスすることで確認することができます。

(3)担任の先生との個別面談のスケジュール設定

1~2タームに一度、担任の先生と10分ほどの面談があります。このスケジュールを決めるためのウェブサイトがあり、保護者のメールアドレス宛に数週間前にリンクが送られてきます。このリンクをクリックすると先生の設定した時間スロットを選べる画面が出てくるので都合の良い時間をクリックして選択するという流れで面談時間を予約することができます。

(4)学校へのオンライン支払い

学校への支払いに関しては、支払い専用のウェブサイトが使われています。学校への寄付金、教材費、追加学習のコスト、ランチの注文、制服や指定帽子の支払いなどをオンラインで行うことができます。また、遠足への支払いなど同意書がいるような場合には、同意書への同意などもここで併せて済ませることができます。支払いは、銀行からの引き落としやクレジットカード決済が可能です。支払いを済ませるとレシートもメールアドレス宛に送られてきます。オンライン決済ができない保護者は対面での支払いもできるようですが、事務員の負担軽減のために推奨されているのはオンライン決済です。娘自身が支払いのために現金を小学校に持っていったことは一度もありません。

(5)学校への子どもの欠席連絡

子どもが欠席や遅刻をするときには、学校のウェブサイト上のフォームから欠席の連絡をすることができます。日付、クラス名を選び、子どもの名前、保護者の名前、欠席の理由を入力して送信します。ここから送信することで担任の先生あてにメールで連絡がいく仕組みになっているそうです。

(6)保護者の手伝いシフトの作成・共有

ニュージーランドの小学校では資金集めが大事な活動となるので、保護者がその目的で学校行事等の手伝いをすることがよくあります。少し大きめのイベントになると、ウェブ上に手伝い表の共有ファイルが作成され、そこに参加できる日時に保護者が自分の名前を書き込んでいき手伝いをする当番を決めていきます。

(7)保護者向けアンケートへの回答

年に10回以内だと思いますが、保護者を対象にアンケートがとられることがあります。本連載でも以前に取り上げたことがありますが、「校章のデザインはどれがいいですか?」といったものから、その年の学校の資金集めについて意見を募るといったもの、取り上げてほしい学習内容を問うものまであります。こうしたアンケートは、毎回ウェブサイト上のアンケート回答フォームへのリンクが送られてくる形式で行われ、保護者はそこに入力して回答を送信します。

学校生活に関するアプリ

以下の2つのアプリは娘の小学校では重要視しているようで、保護者は必ずアクセスできる状態になっていてほしいと言われています。

(1)学校からの緊急連絡

ニュースレターが2週間に一度の頻度で発信されるオフィシャルな内容であるのに対し、こちらはもう少し突発的な連絡事項やリマインダーとして使われることが多いアプリケーションです。例えば、「予定していた陸上競技が雨で中止になりました」「近隣に不審者情報があったので注意してください」「〇〇の締め切りが迫っています。希望の方は申し込みをしてください」など、簡素な内容で急いでいる連絡の際にはこのアプリが使われます。

(2)学校での学習内容の共有

娘の小学校では、クラスの授業中に学習した内容を親に共有するアプリが使われています。ウェブサイトからのアクセスもできます。クラス全体もしくは娘が作成した作品や作文、算数のグラフなどを写真に撮ったものがこのアプリにアップロードされると親にはメールで通知がきます。写真を共有することはもちろんですが、ビデオや音声の共有も可能です。そのため、娘が学校で音読している音声が頻繁に共有されてきます。このように共有されたファイルに対して、先生、親、クラスメイトがいわゆる「いいね」ボタンをクリックしたり、「素晴らしい!」とか「この部分が良かった!」などといった簡単なコメントをつけるという使われ方がされています。娘のクラスの設定の場合、親のアカウントを使ってアクセスすると自分の子どものファイルしか見ることができないのですが、子どものアカウントではクラスメイトのアップロードした内容も見ることができるようです。

学校生活に関するSNS

先ほどの学校生活に関するアプリとは違い、こちらは希望者が使っているツールです。見逃してはいけないような重要な連絡はきません。

(1)学校のイベントなどの写真共有

娘の学校は、Facebookの公式アカウントをもっています。学校の様々なイベント、学校の概観が変わった時など、学校にかかわるちょっとした変化や行事の楽しそうな写真は、この学校の公式SNSアカウントによくアップロードされます。

(2)クラスメイトの保護者同士のコミュニケーション

共働き家庭が増えて保護者が学校への送迎をしていなかったり、学年が上がるとクラスの前まで親が送迎に行かず親同士が知り合わないままになってしまうこともあります。そのような背景から保護者同士は、知り合っていた方がよいということで、今年から希望する保護者を対象にメッセンジャーアプリでクラスごとに連絡用のグループを作ることになりました。

このように、ニュージーランドの学校では、学校と家庭の連絡手段として数多くのICTツールを活用しています。また、担任の先生、図書室の担当をしている先生、スポーツイベントを担当している先生などからの細かな連絡事項はメールで送られてきます。様々な連絡手段があり多いように感じるかもしれませんが、実際には分かりやすく学校のウェブサイトのリンクが貼られていたり、メールでリンクが送られてくるだけなのでウェブサイトの数が多すぎて大変!ということにはなりません。これらの連絡には子どもを介していないので、大人の目線での利便性が考慮されているということもあるのかもしれません。様々なICTツールが新たに採用されたり、ツール自体が更新されたりするため、学校との連絡がどんどん便利になっているような気がします。

この原稿は、ニュージーランドで3月末からロックダウンが実施される前に書いていたものです。その後、新型コロナウイルスが流行し、学校閉鎖や遠隔教育など予期しない事態が続きました。この間、直接先生方と会うことができない状況でも、小学校の対応や方針が随時伝えられ、保護者の側からの連絡や手続きも常にスムーズに行うことができました。遠隔学習や、会う機会が制限された中での学習を支えたものの一つに、こうした手段が整っていたこともあるように思いました。


筆者プロフィール
村田 佳奈子

東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。幅広い分野の資格試験作成に携わっている。7歳違いの2児(日本生まれの長女とニュージーランド生まれの長男)の子育て中。2012年4月よりニュージーランド・オークランド在住。
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