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【ベトナムの子育てレポート】第11回 ハノイでの生活を振り返って

天達 彩子

2019年6月 7日掲載

要旨:

ベトナム、ハノイから子どもたちと共に帰国し、この4月で3年が経ちました。成長著しいハノイの様子は刻一刻と変化し、生活事情も3年前から随分変わったのではないかと思います。私自身の体験したハノイでの暮らしについて、10回にわたり連載でお届けしてきましたが、今回で最終回とさせていただくことになりました。最後に、ハノイで過ごした月日を振り返りながら、それが子どもたちの帰国後の成長にどのような影響を与えたか、考えてみたいと思います。
子どもの入学に合わせて帰国を決定

ハノイからの帰国は、夫の仕事の都合ではなく、息子の小学校入学というタイミングに合わせて決めました。義務教育からは日本で・・・というのが、夫婦の共通見解でした。

息子は就学前をハノイのインターナショナルスクールで過ごしましたが【第2回】、息子のみならずインターナショナルスクールに通う親子が非常に悩むのが、卒園後の進路です。インターナショナルスクールを継続するか? 日本人学校に変えるか? とても悩ましいところです。英語にも親しみ、コミュニケーションも取れるようになってくる子どもの様子を見ると、英語の環境をキープし続けたい(せっかくここまで身に付いたのに!)と思う一方で、帰国後に日本の小学校へ転入したときの勉強面、生活面を非常に心配してしまうのです。多くの場合、海外でインターナショナルスクールに通う日本の小学生は、週末に日本の学校の勉強をフォローするための補習校に通いながら、日英の学びを両立させていきますが、ハノイには補習校がなく、親がフォローするしかありません。勉強だけではなく、お友達とのコミュニケーションや生活態度などが、帰国した後に日本の学校で浮いてしまうのでは?などと心配することもあります。

私たちも同じように悩み、ハノイで就学させるなら日本人学校にしようと考えましたが、それならば、日本で義務教育を受けさせたいと考えるようになりました。日本では、あちらこちらの公園への行き来が自由にできたり、自転車でお友達と約束して出かけたり、買い物したり・・・ハノイでは子どもに与えられないような様々な自由があります。のびのびと、小学校生活を楽しませてあげたいというのが一番の思いでした。

特に印象的な思い出

ハノイでの暮らしの中で、特に子どもたちの印象に残っているように思うのが、毎朝食材を買いに通ったローカル市場(暗くて足元がびちょびちょで酸っぱいにおいがした【第5回】)、車とバイクが縦横無尽に行きかう道路(クラクションがたくさん鳴ってうるさかった、バイクが当たってきそうで怖かった)、そして時折訪れるリゾート地の美しい海と空(海もプールも綺麗で楽しかった、ココナッツジュースが美味しかった【第10回】)です。3年経った今でも二人ともよく覚えていて、日本と比較してどうだの、こうだのと話をすることがあります。幼稚園のこともとてもよく記憶していて、当時のお友達のことを今でも覚えています。息子はインターナショナルスクールに通ったおかげで英語でのコミュニケーションが好きで、日本に帰国後も英語教室へ通い続け、人前で英語でスピーチできるほどに成長しました。日本と違う文化の中での暮らしは、子どもたちの記憶にしっかりと残り、アイデンティティーの一部となっているのを感じます。

私自身が振り返ってみて一番印象に残っているのは、ハノイの人々の寛大さです。子どもを連れて外出して嫌な気分になったことがないほど、子どもに対して寛容で、どんな失敗や誤りも優しく受け止めてくれる温かい国民性は、とても素晴らしいと思います。そして、真面目に一生懸命、家計を支えるために朝から晩まで働き続ける女性たち。子どもは親に見てもらい、母親が朝早くから夜遅くまで働きに出るということが一般的で、私の周りで見た彼女たちは、明るい笑顔のワーキングマザーたちでした。また、何でも器用にこなすお手伝いさんの存在【第8回】にも、親子共々とても支えられました。子ども服作り【第7回】も、市場で生地を選ぶところから、娘と大いに楽しみましたが、とても有能で器用な女性たちがたくさんいるのが、ベトナムです。

一人でお父さんのところへ。息子の一人旅

日本での夏休み期間中、長い期間学童通いを余儀なくされる息子は、小学校1年生~3年生の間、毎年一人で飛行機にのり、お父さんのいるハノイへ、1週間のプチ留学をしました。小学校低学年で、一人で飛行機に乗って海外へ・・・というと驚かれますが、飛行機にも海外にも必要以上に恐怖心をもたずにいられるのも、海外での暮らしを経験したからこそと思います。インターナショナルスクールは8月の中旬頃からスタートするため、その時期に合わせて渡越し、現地滞在中の日中はインターナショナルスクールに通います。お世話になっていたお手伝いさんと連絡を取り、学校から帰宅後~夫が仕事から帰るまで、息子の見守りをお願いするという、お父さんがハノイにいるからこそできるプランです。1年ごとに訪れ変わりゆく街並みを見ながら、息子なりに何かを思い、感じているのではないかと思います。また、幼少期のハノイでの暮らしや、帰国後に一人で日本-ハノイを行き来する経験が、息子が今後成長していくにあたり、海外に対する心の障壁を作らず、視野を広くもちチャレンジしていくことに繋がってくれたらと願います。

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(写真左)羽田空港にて、いよいよ父親の待つハノイへ
(写真右)夏休みに通ったインターナショナルスクールにて

ベトナム、ハノイへの日系企業の進出は進み、現地で暮らす日本人(特に若い世代)が急速に増えていると聞きます。ベトナムのGDP成長率は7%(2018年)、すさまじいスピードで成長し続けています。街並みや生活はどんどん変わっていき、ますます便利になっていくことと思いますが、そこで子育てする日本人の方は、きっといつでも同じような悩みをもって生活されるのではないかと思います。私の体験談が、そんな方々のハノイでの暮らしを少しでも楽しく充実したものにするためのお役にたてたなら、これほど嬉しいことはありません。

最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

筆者プロフィール
天達 彩子
東京女子大学を卒業後、教育系企業に就職。夫の海外赴任を機に退職し、当時2歳と4歳の子どもたちと共に渡越。2014年11月から2016年3月までハノイで暮らし、帰国後は紙・パルプ系企業に転職。現在も会社員として従事。
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