CHILD RESEARCH NET

HOME

TOP > 論文・レポート > 子育て応援団 > 【ベトナムの子育てレポート】 第8回 お手伝いさんの存在

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文・レポート

Essay・Report

【ベトナムの子育てレポート】 第8回 お手伝いさんの存在

要旨:

ハノイでの暮らしでは、ベトナム人のお手伝いさんを雇い生活をサポートしてもらう家庭が多く、私自身、非常に助けていただきました。子どもたちもとてもなついていて、彼女の作ってくれるプリンが大好きでした。とても信頼のおける方で、彼女との交流を通して、ベトナム人への印象が大きく変わったように思います。

keywords: ベトナム、ハノイ、子育て、子ども、お手伝いさん、メイドさん、家事、料理、サポート
「お手伝いさん」というお仕事

外国人が暮らすレジデンス内では、ベトナム人の女性と外国人の子どもたちが一緒に過ごしている姿をよく目にします。お手伝いさんとして雇われている多くのベトナム人女性が毎日のようにレジデンス内に出入りし、各家庭の子どものお世話、お買い物、掃除、洗濯、お料理のサポートなど、様々な仕事をこなし活躍しています。

ベトナムでは、女性がとにかくよく働きます。ローカルの市場、スーパーや飲食店などでも目にするのは女性ばかり。近年では女性の企業家も少なくないと聞きます。日本のように雇用が安定していないこともあり、夫が仕事を失う、収入が無いという話も珍しくありません。妻の収入が家計を支えている場合も多く、中でも外国人を相手にするサービス業はローカルの仕事よりも稼ぎが良いそうで、インターナショナルスクールの補助の先生や、お手伝いさんなどもそのような仕事の一つです。ベトナムでは、結婚後も両親と共に暮らす家庭が多く、小さな子どもたちを両親に託し、朝から晩まで仕事をしている女性もたくさんいます。私がお世話になった方も、(その時点では)夫に稼ぎはなく、息子を自分の稼ぎで大学に通わせていました。彼女は朝9時頃から夜の7時頃まで、レジデンス内の複数の日本人家庭を掛け持ちし、収入を得ていました。

明るく優しく、頼れるハノイのお母さん

お手伝いさんの年齢層は20代~50代くらいまでと幅広く、人柄や得意分野も様々。お友達からの評判や紹介で、お仕事をお願いするパターンが多いように思います。我が家も、お友達からの紹介で週2回3時間ほど、Tさんというベトナム人女性に来ていただくことになりました。

Tさんは、長くレジデンス内で日本人家庭に入りお仕事をされてきた方で、日本語でコミュニケーションができ、日本料理も上手、かつ人柄もよいとあって、レジデンス内でも有名な方でした。自分の母よりも一回りくらい若い方です。月~金まで1日じゅう、ほぼ毎日レジデンスへ来て、複数の家庭を掛け持ちお仕事をしていました。肉じゃが、餃子、コロッケ、から揚げなどお料理もとても上手で、恥ずかしながら私自身、彼女の手さばきから学んだこともたくさんありました。もちろんベトナム料理もお手のもの、こちらのリクエストに応え、様々なお料理を教えてくれました(レポート第6回でもご紹介しています)。市場でのお買い物のしかたや、野菜や果物の見定め方、ベトナム特有の野菜の調理方法など、彼女から様々なことを学びました。また、子どもたちのことを親身になって心配したり、可愛がってくれ、ハノイのお母さんのような存在でした。

賃金と、お仕事内容

週2回、3時間、スクールがお休みで家にいる娘(当時2歳の娘は週3日インターナショナルスクール通いをしていました)を見てもらいながら、夕食の作り置きと、アイロンがけをお願いしていました。その間、私は語学の学校に通い、ベトナム語と英語の勉強をさせてもらいました。また、買い物に行けなかった時には、食料の買い出しをお願いすることもありました。

子どもを預けている束の間の時間に、私のように習い事や趣味に打ち込んだり、お買い物を済ませたり、通院したり・・・実家も遠く頼れる人がいない中でのお手伝いさんの存在は非常に大きな支えになります。時給は、少し高い方でも、1時間2.5USD。日本では考えられないような値段ですが、これが多くのベトナム人女性や、その家族の生活を支える収入源になっているのです。

お手伝いさんとしてレジデンス内に出入りしているベトナム人女性は、とても明るく、人懐っこい笑顔で親しみやすい雰囲気の方が多いように思います。また、ベトナムは子どもに対して非常におおらかな国で、子どものわがまま、泣き声、失敗(汚す、壊すなど)などで肩身の狭い思いをすることがほとんどありませんでした。そんな国民性もあってか、親子ともに気持ちよく、安心して家に入ってもらうことができ、ここは日本との大きな違いを感じる部分でした。

今でも、日々仕事や子育てに奮闘し、ふとしたときに、彼女のことを思い出しては、あんな方がいてくれたらな・・・と、切に思います。

筆者プロフィール
天達 彩子
東京女子大学を卒業後、教育系企業に就職。夫の海外赴任を機に退職し、当時2歳と4歳の子どもたちと共に渡越。2014年11月から2016年3月までハノイで暮らし、帰国後は紙・パルプ系企業に転職。現在も会社員として従事。
このエントリーをはてなブックマークに追加

TwitterFacebook

インクルーシブ教育

社会情動的スキル

遊び

メディア

発達障害とは?

論文・レポートカテゴリ

アジアこども学

研究活動

所長ブログ

Dr.榊原洋一の部屋

小林登文庫

PAGE TOP