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【ザンビアの子育て・生活事情】 第11回 子どものスポーツ

カエベタ 亜矢

2015年11月 6日掲載

要旨:

ザンビアではサッカーが非常にポピュラーなスポーツで、国の代表も輝かしい成績を残しているが、他の競技にはあまり目が向けられていないという側面もある。子ども達がスポーツをする機会は非常に限られており、学校の体育の授業の他には、テニスや空手等を習い事でする程度で、各々が、自分に合ったスポーツを選んで習得するための十分な環境は整えられていない。しかし外国人を中心に、少しずつだが良い方向に向かっている様子もうかがえる。

Keywords:スポーツ、体育の授業、習い事、日本との違い

ザンビアは10月が最も暑い月です。日本では紅葉を楽しめる季節ですが、ザンビアでは、ジャカランダという紫の花が満開になる季節です。ジャカランダは、丁度、日本での桜に似た感じもありますが、桜のように、同じ地域に生えていても一斉に咲くのではなく、木によって少しずつ満開になる時期がずれています。それでも、満開になった紫の花はとてもきれいで、歩いていると思わず足を止めて見入ってしまうことがあります。ザンビアの運動会については第5回でご紹介しましたが、10月は、日本ではスポーツの行事も多く開催される時期ですので、それに合わせて、今回はザンビアの子ども達のスポーツ事情について、ご紹介したいと思います。

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満開の花をつけたジャカランダの木(近所を散歩している途中に撮影)

水泳

ザンビアは、6月から7月にかけての寒い時期を除けば、半そでで過ごせる気候なので、ほぼ1年を通じて、屋外のプールで泳ぐことができます。特に、暑さが厳しい10月は、プールで泳ぐことや、水遊びを楽しむ人達も多くなります。ただ、ザンビアは内陸国なので、川や湖の近くに住んでいる人達を除けば、水に接する機会が少ないか全くなく、泳いだ経験のない人達がかなりの割合でいます。外国人や富裕層の人達の中には、自宅にプールが設置されていて、いつでも好きなときにプールで泳ぐことができる、という恵まれた環境におかれている人も多くいます。私の家族はいくつかのフラットに住んできましたが、その中でプール付きのフラットだった事が、1回だけあります。でも、メンテナンスが良くできておらず、水が汚かったので、ほとんど使うことはありませんでした。娘の学校の体育の授業では、3学期(9月~12月)には水泳が組み込まれていて、私の娘は3人とも、水泳の授業を楽しみに欠かさず参加していましたが、バタ足で数メートル泳ぐ程度しか習得できませんでした。娘に聞いた事なので確かではありませんが、水泳の授業の間は、ほとんどが自由時間で、各自が思い思いに泳ぎ、先生に教えてもらう機会はほとんどなかったようです。

サッカー

第3回目でご紹介しましたが、サッカーは、大人から子どもまで最も人気のあるスポーツで、ザンビアの代表チームが2012年のアフリカネイションズ杯で優勝をして以来、サッカー熱が更に高まっています。貧困層の人達が居住するコンパウンド(非計画居住区)では、子ども達がサッカーを楽しむ姿を、あちらこちらで見かけます。学校のグラウンドでも、休み時間や放課後にサッカーを楽しむ子ども達の姿をよく見かけます。私の娘達の学校では、体育の先生が週末にサッカーの補習授業をやってくれることがあり、娘3人の中でも、特に長女はサッカーが大好きで、欠かさずに出席していました。

ネットボール

女の子の体育の授業では、ほとんどの学校がネットボールを取り入れています。ネットボールは、バスケットボールに似ていますが、ドリブルができなかったり、ボールを持つ人にディフェンス側のチームの人が近づける距離が決まっていたり、動きの制限が多くあります。ザンビアではポピュラーなスポーツですが、私の娘は、サッカーの方が 思いっきり動けるので面白い、と言っていました。

その他のスポーツ

ボクシング:ザンビア人のエスター・ピリ(Esther Phiri)は、2010年から2012年まで、女子国際ボクシング協会のライトウェルター級の世界チャンピオンになり、サッカーのナショナルチームの選手に並んで国民的英雄のような存在です。彼女に続こうと頑張っている若い女性も出てきて、時々、テレビのニュース等で紹介されることもありました。

スカッシュ:日本では、まだあまりポピュラーではありませんが、2020年の東京オリンピックで、追加競技の候補に挙げられるかどうか話題になっていたので、以前よりは知名度があがったかと思います。ザンビアでは、スカッシュは、旧宗主国の英国の影響を受けて、ポピュラーなスポーツの1つです。スカッシュのできるスポーツクラブは各地にあって、ホテルのジムにも、スカッシュのコートが併設されているところがあります。

テニス:テニスコートは、あちらこちらにあり、中には、個人の家にテニスコートが設置されている所もありますが、競技人口の大半は外国人で占められていて、ザンビア人は少ない印象です。天候に左右されないという点で、ザンビア人の間では、テニスよりもスカッシュの方が、ポピュラーなのかもしれません。ザンビア人でも、比較的裕福な家庭の子どもの中には、テニスを習っている子達もいます。

ゴルフ:ザンビアに駐在をしている日本人の間では、ゴルフはテニスと並んで人気のスポーツです。日本でやるよりもお金がかからないので、手軽にできるそうです。首都のルサカには、2つもゴルフコースがあります。ただ、ザンビア人の間では、やはり富裕層に限られたスポーツのようです。

空手:空手は、ザンビア人のみならず、ザンビアに居住する外国人にも人気のスポーツのようです。習い事でやっている子ども達もいて、空手の胴着を着た子どもの姿を見かけることがよくあります。

ザンビアでは珍しいスポーツ

日本でポピュラーな野球は、ザンビアでは、まず見ることがありません。テレビでの観戦も、クリケットを観ることはあっても、野球観戦をする人は滅多にいないようです。ネットボールと似ているバスケットボールについても、ザンビアでは、あまり行われていません。街で、バスケットボールを持っている人を見かけることも稀で、バスケットゴールが設置されている場所も非常に限られています。また日本では、中学校や高校で、スポーツが部活動の一環として行われていますが、ザンビアの学校では(インターナショナルスクール等、一部の学校を除き)、そのようなシステムはありません。



コンパウンド(非計画居住区)に住む子ども達は、比較的自由に家の近所を走り回ることができますが、住宅地に住んでいる子ども達は、日常的に運動ができる環境に置かれておらず、運動をする機会が少ない印象です。コンパウンドに住む子ども達も、環境が整っているわけではなく、スポーツができる機会は非常に限られているといえます。また、スポーツの種類についても、サッカーに非常に偏っていて、他のスポーツは、サッカーの影に隠れてしまっている感じがあります。スポーツの好き嫌いにかかわらず、子どもの成長の過程で、運動をする機会が十分に与えられる事は、とても重要だと思うのですが、ザンビアに住んでいる子ども達の大半が、それがなされていない状況にあるのは残念なことだと思います。親が積極的に介入して、スポーツの機会を与えることができれば良いのですが、親は仕事で忙しく、子ども達は、学校から帰ってきたら、家で、おやつを食べながらテレビを見て過ごしている、という場合が多いようです。うちの娘達も、近所の子ども達と遊ぶ機会には恵まれていましたが、家の中で絵を描いたり、庭でおままごとをする事が多く、体を動かすといっても、鬼ごっこで少し走る程度でした。私自身も、車での移動が中心で、歩く機会が少なかったので、週末にはジョギングをするなど、運動不足にならないように心掛けていました。参加者は外国人が中心ですが、最近ではマラソン大会も開催されるようになり、休日に親子で参加する機会がありました。少しずつですが、良い方向に向かっているのかもしれません。

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ルサカで開催されたマラソン大会で5kmレースに参加した娘達(左から次女、三女、長女)

筆者プロフィール
aya_kayebeta.jpgカエベタ 亜矢(写真右)

岡山県生まれ。1997年千葉大学医学部を卒業後、東京大学医学部小児科に入局(就職)、東京都青梅市立総合病院小児科勤務を経て、2000年にJICA技術協力プロジェクト(プライマリーヘルスケア)の専門家としてザンビアへ渡る。その後、ザンビア人と結婚し、3人の娘(現在、小4、小5、中1)を授かる。これまでザンビアで、小児科医として、HIV/AIDSに関する研究、結核予防会結核対策事業(コミュニティDOTS)、JICAプロジェクト(都市コミュニティ小児保健システム強化)等に携わってきた。一方、3人の子どもの母親として、日本から遠く離れたアフリカ大陸で、ギャップを感じつつも、新たな発見も多く、興味深い子育ての日々を送ってきた。
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