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【ザンビアの子育て・生活事情】 第5回 ザンビアの学校(2) -学校行事について-

要旨:

ザンビアの学校では、日本でもお馴染みになっている運動会、学芸会の他に、独立記念日の行事、他校との合同行事、親子で楽しむ日等、様々な行事が行われる。中でも学芸会は、毎年、工夫を凝らした演技で親や家族を楽しませてくれる。一方、“親子で楽しむ日”では、ゴミ捨ての習慣が定着していないザンビアの課題が浮き彫りになった。今後、学校での教育を通じて、子供のうちからゴミや環境に対する意識が高まることが望まれる。

Keywords:
運動会、学芸会、独立記念日の行事、他校との合同行事、親子で楽しむ日

前回に引き続き、ザンビアの学校についてご紹介します。運動会、学芸会は、日本の学校の行事としてもお馴染みですが、ザンビアでも多くの学校で実施されています。私の娘達の学校では、運動会、学芸会の他に、水泳大会、他の学校との合同行事(合同運動会、合同チェス大会、合同クロスカントリー大会、合同ダンス大会等)、ザンビア独立記念日の行事、"家族で楽しむ日"(Family Fun Day)等、様々な行事が催されています。

運動会

運動会は、複数のチームに分かれて点数を競います。チームは、赤組、青組、黄色組、緑組、と色で分けられ、生徒たちは各組の色のハチマキをつけます。色の他には、ザンベジチーム(北西部州のZambezi郡)、ルアングアチーム(ルサカ州のLuangwa郡)、セレンジェチーム(中央州のSerenje郡)等、地名がつけられることもあります。

種目は、運動会のために特別練習を重ねなくてもできるようなものが多く、短距離走、長距離走の他に、障害物競争、サックレース等があります。サックレースというのは、穀物を入れる大きな袋に腰の辺りまで入って、袋に入ったまま、ぴょんぴょんとジャンプをしながら進む競技です。ザンビアの主食である"シマ(Nshima)"の材料であるミルミル (Mielie-meal:白トウモロコシを乾燥させて挽いて粉状にしたもの)は、大きな麻袋(実際は、麻の代わりに化学繊維が使用されている場合が多いようですが)に入れて販売されていますが、サックレースには、使用済みのミルミルの袋が利用されます。そのため、袋の内側に少し残っていたミルミルが体につき、レースが終わって選手が袋から出てくると真っ白になっていて、それを見て楽しむのもこの競技の面白さです。

運動会や水泳大会は、親の参加できる競技もあります。ザンビアは車社会なので、運動不足でメタボ体型の人達がかなりの割合で見られます。「この人、走れるのかなあ。」と心配になるような見掛けの人もいますが、もともとの運動能力は高い人が多いので、実際に走ってみると、往年の勇姿を彷彿させるような堂々としたランニングを見せてくれて、驚かされます。

私立の学校は、きれいに整備されたグラウンドが設置されている所が多いのですが、公立の学校は、空いているスペースを利用して校庭にしている所が多く、地面の状態は、雑草が生えていたり、でこぼこで石が転がっていたり、環境が整っていない所も少なくないようです。私の娘達が小学校低学年まで通っていた学校は、もともと個人の家だったところを少し改築して校舎にしたので、校庭も、家の庭だったスペースを活用していました。写真にあるように、運動会の短距離走は、周囲は木が茂り、芝の上を走るワイルドなものでした。

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赤組の応援席の生徒達
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父親も参加(短距離走)


学芸会

ザンビアに移り住んでしばらくの間、私は「ザンビア人は、個人主義の人が多くて、集団で物事に取り組んで何かを作り上げることは不得意だろう。」という偏見をもっていたため、初めて学芸会を観に行った時には、あまり期待していませんでした。ところが、私の偏見は見事に打ち砕かれました。学芸会は、学校が特に熱心に取り組んでいる行事で、毎年素晴らしい力作が仕上げられます。3年生から6年生(7年生は全国一斉試験に備えるために参加しません)で1つの劇、8年生から12年生で1つの劇に取り組みます(それぞれ、発表する日や場所は別に設定されます)。劇は、数人のメインキャストを中心に進行しますが、各場面に様々な踊りが盛り込まれていて、生徒全員が参加します。低学年の踊りは可愛くてほほえましいですが、学年が上がるにつれて踊りも上手になり、大人顔負けのダンスが披露され、観客から歓声が上がることもしばしばあります。

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劇の場面の合間にダンスをする生徒達

衣装は、踊り役も含めて、それぞれの役に合わせて準備されます。これは、担当の先生方がデザインから縫製までのプロセスを担当し、毎年工夫を凝らして作られます。第2回の記事で、ザンビアの女性達に活用されているチテンゲをご紹介しましたが、彼女達は、チテンゲを使って自分の着る服をデザインして仕立てることが日常的になっているので(デザインは自分で考えますが、仕立てはテーラーに依頼することが多いようです)、学芸会の衣装作りの際には彼女達の経験が生かされるのだと思います。

学校の行事は平日の日中に行われる事が多く、仕事をしている親が参加できる機会が少ないのですが、学芸会は平日の夕方に実施されることもあって、生徒達の素晴らしい演技を楽しみに、毎年多くの親や家族が集まります。

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学芸会の劇のクライマックスで、全員が舞台に出た場面

独立記念日の行事

ザンビアの独立を記念して毎年行われる行事で、先生方・来賓のスピーチ、生徒による踊りや歌で構成されています。当該日の10月24日は祝日で、国が独立記念日の式典を行うので、学校ではその前後に実施するところも多いようです。

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独立記念日の行事で、ステージで踊る生徒達

他の学校との合同行事

運動会の他に、複数の学校が集まって、チェス大会、クロスカントリー大会、ダンス大会等が行われます。それぞれ代表の生徒が数人選ばれて参加します。私立の現地校に加えて、インターナショナルスクールも参加するので、色々な国籍の子ども達が参加して競技が行われます。

親子で楽しむ日(Family Fun Day)

親子で楽しむ日(Family Fun Day)は、バザーも出店する、日本でいう文化祭のような行事です。校庭の一角にステージが設置されて、生徒によるファッションショー、歌、踊り等が披露されます。ステージのプログラムには、ザンビア人の人気歌手を招いたミニコンサートも盛り込まれていて、生徒達は、毎年どのミュージシャンが来てくれるのか楽しみにしているそうです。バザーは食べ物が中心ですが、生徒の母親の中には、アクセサリーや小物を出店する人もいます。女の子は、幼い頃からおしゃれに関心のある子どもが多く、バザーで販売されているアクセサリーは、大人向けだけでなく、子ども向けの商品も揃えられています。

とても楽しい行事なのですが、私が残念に思ったことが1つあります。それは、バザーで買って食べた後の容器がポイ捨てされて、地面がゴミで埋め尽くされてしまったことです。日頃、メイドやワーカー(庭の整備などをしてくれるスタッフ)に、家の中や外回りの掃除・整備を任せている人達が多いので、ゴミの処理についても無頓着になってしまっているからかもしれません。恥ずかしい話なのですが、私の娘達も、お菓子を食べた後の包み紙をポイ捨てしてしまう習慣がなかなか抜けず、困っています。家では、私も夫も、「ゴミはゴミ箱へ」、と言い続けていますが、友達の行動や学校の環境に影響を受けて、ポイ捨ての習慣がしみついてしまったようです。

ポイ捨ての習慣について、何人かのザンビア人から次のような説明をされたことがあります。ザンビアでは、昔は自然に還るようなものしかゴミにならなかったが、社会が発展するにつれ、プラスチック容器や、スーパーの袋等、ゴミとして特別な処理をする必要があるものが入ってきた。しかし人々の考え方はなかなか追いついていかず、プラスチックも自然に返ると信じてポイ捨てを続けてしまう人達がいる、というものでした。一方、ザンビアで車を運転していると、時々、車の窓からゴミが投げ捨てられる光景を目にします。これには、前述の自然に還る、という論理は当てはまらず、ザンビア人でも「あれは、マナー違反だ!」と不快感を示します。最近ザンビアでは、公的なゴミ収集サービスに加えて、ゴミ収集ビジネス *1が開拓されて、ゴミ収集の習慣が広がりつつあります。今後は、学校での教育を通じて、子どものうちからゴミや環境に対する意識を高めるとともに、彼らを通じて親たちの意識改革も進むことを期待しています。


  • *1 毎月一定料金を徴収して、ゴミ収集をするビジネス。公的なゴミ収集サービスの提供は、費用や人材不足で、非常に限定されているため、ザンビアの多くの家庭は、ゴミ収集ビジネスに頼っています。
筆者プロフィール
aya_kayebeta.jpgカエベタ 亜矢(写真右)

岡山県生まれ。1997年千葉大学医学部を卒業後、東京大学医学部小児科に入局(就職)、東京都青梅市立総合病院小児科勤務を経て、2000年にJICA技術協力プロジェクト(プライマリーヘルスケア)の専門家としてザンビアへ渡る。その後、ザンビア人と結婚し、3人の娘(現在、小4、小5、中1)を授かる。これまでザンビアで、小児科医として、HIV/AIDSに関する研究、結核予防会結核対策事業(コミュニティDOTS)、JICAプロジェクト(都市コミュニティ小児保健システム強化)等に携わってきた。一方、3人の子どもの母親として、日本から遠く離れたアフリカ大陸で、ギャップを感じつつも、新たな発見も多く、興味深い子育ての日々を送ってきた。
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