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【ザンビアの子育て・生活事情】 第4回 ザンビアの学校

カエベタ 亜矢

2015年1月16日掲載

要旨:

ザンビアの学校は、初等教育7年、中等教育5年、高等教育(大学)4年で、高校までの12年間は、1年生から12年生まで継続的な学年を使う場合が多い。7年、9年、12年修了時に全校共通の試験が実施される。親が車で学校の送り迎えをすることが多いが、出勤に間に合わせるために、朝6時に家を出る人もいる。ザンビアの学校の特徴として、クラス内での順位が通知表に示される、午前と午後にスナックの時間が設けられている等がある。
Keywords:
学校、全国共通の試験、3学期制、送り迎え、スナック、お弁当

ザンビアの学校は、初等教育7年、中等教育5年、高等教育(大学)4年、となっています。初等教育の7年間を2つに分けて、小学校初級(Lower primary:1~3年生)、小学校上級(Upper primary: 4年生~7年生)、中等教育の最初の2年間を下級中等課程(Junior secondary)、後の3年間を上級中等課程(Senior secondary)と分けることもあります。どの学年に所属するかは、日本のように小学校、中学校、高校、で分けずに、12年間を通じて、1年生(Grade1)から12年生(Grade12)で示すことが多いようです。7年生、9年生、12年生修了時に全国共通の試験が実施され、一定の点数に達しないと次の学年に進級できません。また、進学の際に希望の学校に入学できるかどうかは、この全国共通のテストの結果にかかっているため、非常に重要な試験です。

ザンビアは、幼稚園も、学校(School)と呼ぶ人が多いのですが、これは、ザンビアでは幼稚園を英語でnursery schoolというのに加えて、幼稚園は子ども達が学習を始める重要な場所で、小学校に入るための準備をするところ、と考えている親が多いという見方もできると思います。幼稚園に通わせ始める年齢は2歳が一般的で、2歳に達するまでは、家で、親、その他の家族、親せき、ナニー(子どもの世話をするために雇われている人)に面倒を見てもらいながら過ごします。小学校に入学する年齢は、原則として7歳ですが、少し早め、或いは少し遅れて入学する子どももいるので、同じ学年でも年齢に幅があります *1

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元気いっぱいの小学生(ルサカ市内の公立小学校の校庭にて撮影)

学校の送り迎え

学校生活の1年間は、1月に始まり、12月で終了します。3学期制で、1月から3月が1学期で4月は休み、5月から7月が2学期で8月は休み、9月から11月が3学期で12月は休み、と、各学期の間には1か月間の休みがあります。学校によっては、休み期間中に、補習やスポーツ活動を実施してくれるところもありますが、それでも1週間に1日程度なので、1か月の長い休みをどのように家で過ごすか、というのが、子ども達の悩みです。一方、親にとっては、休み中は子どもの送り迎えをする必要がないので、ほっと一息つける期間です。

ザンビアでは経済的に少しでも余裕がある家庭は、将来のよりよい進路を目指して、子ども達を私立の学校に通わせることが多いため、徒歩圏内に学校がある場合が少なく、親が車で送り迎えをする必要があります *2。平均的に、学校の始業は7時半、職場の始業は8時となっているため、それぞれに間に合わせるために、親は朝早く家を出て、まず子どもを学校に送り届けて、そこから職場に向かわなければなりません。交通渋滞を避けるために、6時に家を出る人達もいるようです。無事に子ども達を送り届けて、職場に着いたときには、「さあ、これから仕事を頑張ろう!」ではなくて、「やれやれ、ひと仕事終わった・・・。」と気が抜けた感じになってしまう事もよくあります。最近は、スクールバスや、学校への送迎をする業者が出てきており、それらに任せる親もいますが、交通事故等、万が一のことを考えて、あるいは、仕事が忙しくて、家で子どもと過ごす時間が少ないなどの理由から、せめて学校の送迎だけは親がやりたい、というこだわりをもっている人も多いようです。

私の失敗談なのですが、夫も私も、仕事が忙しくて、すっかり子どもの学校のお迎えのことを忘れてしまい、暗くなるまで、学校で待ちぼうけにさせてしまった、ということがありました。慌てて迎えに行くと、まだ他にも居残りの友達がいて、その友達も一緒に家に送り届けました。学校によっては、子どものお迎え時間を厳しく管理して、迎えの時間が遅れた分だけ罰金が課されるというシステムをとっているところもありますが、多くの学校では、何時に迎えにくるかは親に任されていて学校側は管理しません。(日本の学童のようなものもなく、先生がついて見ているわけでもありません。子どもたちは親の迎えが来るまで学校で自由に過ごしています。このような場合でも、たいていの所では、セキュリティのために学校の門の横に警備員が待機しているので、最低限の安全は保たれています。)

学校のカリキュラム

カリキュラムは、7年生、9年生、12年生修了時の全国共通の試験に必要な数学、英語、科学、社会等に重点が置かれていますが、音楽、体育、美術、家庭科、技術等の実技科目や、コンピューター、クラブ活動もあり、幅広く学ぶ機会が与えられます。また、学習の遅れが見られる子どもは、担任の先生から指名され、補習授業(remedial class)を受けます。7年生、9年生、12年生は、学校の授業も、試験をかなり意識しており、担任の教師の配置も試験準備に精通した先生が選ばれる傾向があります。日本のように、教科書が全ての児童に万遍なく配布されるシステムではないので、生徒たちは、授業中先生が話したり、黒板に書いたりして教えてくれるのを頼りに学習します。そのためノートの果たす役割が大きく、生徒たちは、先生が教えてくれるポイントをノートに書きとめ、数学や英語の練習問題は、ノートに書き写して、それを解きます。試験前には、教科書の代わりに、ノートに沿って準備をします。宿題は、先生が黒板に書いた課題をノートに書き写して、家に持ち帰ります。

通知表

通知表は、各学期の終わりに親が受け取ることになっているのですが、「通知表を受け取る日」というのが設けられていて、その日は親たちが学校に出向いて、通知表を受け取り、担任の先生と面談をします。ザンビアでは幼稚園から、クラス内での順位が通知表に記載されます。幼稚園では、塗り絵の色の塗り方、歌の歌い方等を先生達が評価して順位がつけられます。長女が幼稚園に通い始めて、順位が記されている通知表を受け取った時は戸惑いましたが、そのうちに、周りの子どもとの比較ではなくて、前の学期よりも順位が上がった、或いは下がった、というように個々の学習の進捗を評価するための指標として見れば、わかりやすくて便利な面もあるなあ、と思えるようになりました。国立の総合大学が国に2つだけしかなく、進学のための競争はあまり意識しないでも良い環境なので、ゆったりと構えることができるのかもしれません。

ランチ

給食がある学校はほとんどなく、お弁当を持って行くのが一般的です。学校内の売店(canteen)や、学校の近所の店で買うこともあります。また、午前(10時半ごろ)と午後(3時半ごろ)に、スナックの時間というのがあり *3、午前授業の日でもスナックを準備します。ザンビアのシマを主食とした食事は、お弁当には適さないため(シマは、冷めると、固くなって、ぼろぼろになって、まずくなってしまいます)、ポテト、パスタ、パン等を主食として、それにおかずを合わせます。ザンビアで、"ジギース"といえば、小袋に入ったスナック菓子のことを指します。(小袋に入ったスナック菓子は、何種類かありますが、"ジギース"が、代名詞として使われています。)値段も10円程度と安く、手軽に食べられるので、根強い人気があります。学校のスナックにも、"ジギース"を持参する子ども達は多く、その他には、市販のビスケット、果物等を持ってきます。

制服

ザンビアの学校では、制服と黒い革靴の着用が定められているのが一般的です。体育の授業がある日は、体操服と運動靴を着用して登校し、そのままの服装で一日過ごします。鞄は、リュックサックが一般的ですが、学年が上がるにつれて、学ぶ教科や内容も増え、持っていく物が増えるので、キャスターがついたキャリーバックを使っている子どもも見かけます。

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学校から帰宅したところ(左から、長女、三女、次女)

次回も、引き続き、ザンビアの学校でのお話(学校行事等)をご紹介できればと思います。


  • *1 だいたいは1~2歳の違いですが、たまに、経済的理由などでそれ以上遅れて入学する子どももいます。
  • *2 学年が上がるにつれて、ミニバスや徒歩など、自力で通う生徒も増えていきます。
  • *3 上の学年になってもスナックの時間はあります。仕事上の会議などでも、午前と午後にtea breakというのがあり、お菓子とお茶で歓談する時間が設けられているのが習慣です。
筆者プロフィール
aya_kayebeta.jpgカエベタ 亜矢(写真右)

岡山県生まれ。1997年千葉大学医学部を卒業後、東京大学医学部小児科に入局(就職)、東京都青梅市立総合病院小児科勤務を経て、2000年にJICA技術協力プロジェクト(プライマリーヘルスケア)の専門家としてザンビアへ渡る。その後、ザンビア人と結婚し、3人の娘(現在、小4、小5、中1)を授かる。これまでザンビアで、小児科医として、HIV/AIDSに関する研究、結核予防会結核対策事業(コミュニティDOTS)、JICAプロジェクト(都市コミュニティ小児保健システム強化)等に携わってきた。一方、3人の子どもの母親として、日本から遠く離れたアフリカ大陸で、ギャップを感じつつも、新たな発見も多く、興味深い子育ての日々を送ってきた。
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