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【ドイツの子育て・保育事情~ベルリンの場合】 第26回 子どもサッカー教室

要旨:

サッカー大国ドイツにて、息子は5歳を迎えてから地元のサッカー教室に通い始めた。様々な民族背景を持つ子どもたちが参加する国際色豊かな子どもチームだが、本気度は高く、息子が属する最年少の5歳児クラスでも週2回、90分間みっちりの本格的なレッスンを行っている。サッカー大好きで父親と毎日のように練習している彼だが、親の期待とは裏腹に、実際のレッスンは「長くてつまらない」という。チームプレイを経験したことがなかったので、慣れるまでに時間がかかるかもしれないが、焦らず見守っていきたいと思う。

ドイツは言わずと知れたサッカー大国です。2013年12月時点でのFIFA(国際サッカー連盟)ランキングではスペインに次いで第2位(ちなみに日本は同47位)。ワールドカップ大会でも優勝3回、準優勝4回と抜群の成績で、2014年にブラジルで開催予定の同大会にも16回連続出場を決めています。このようにサッカーはドイツの国民的スポーツとあって、観戦は勿論、プロアマ問わず、サッカーをプレイすることが非常に盛んです。

ですから、まだ私たちが日本に住んでいた頃、サッカーが大好きな父親の陰謀(?)により、息子は歩き始める前からサッカーボールを玩具として与えられ、ハイハイで追いかけていました。そんな彼は、父親の思惑通りサッカーが大好きになり、渡独後も、週末は勿論、平日も、保育園にお迎えに行く父親と、降園後毎日のように練習しています。

そして、昨年夏に5歳の誕生日を迎えて以来、息子は自宅近くのサッカー教室に通い始めました。「3歳でスカウトされる子どももいる」というこの国で、もっと早い時期から教室に参加させることも考えてはいたのですが、以前、私が通っていたドイツ語学校にガーナのサッカー代表選手がおり、「スクールに通うのは5歳からで十分だよ。」というアドバイスをもらったので、息子が5歳になるまで待っていたのです。

息子が誕生日を迎える数か月前から、父親は近所のサッカークラブについてリサーチを始めました。その結果、自宅から歩いて10分ほどの大きな公園内にて練習を行っているクラブに決めました。申込みを終えると、「これで僕たちの息子は第二のメッシ(アルゼンチン代表のスーパースター)として10年後に活躍するだろう。そうすれば僕たちも左団扇だな!」と冗談とも本気ともつかない、典型的なドイツの父親のコメントを残していましたが、当の本人は最初の練習後「レッスンが長いからつまらない・・・」と意外なコメント。

ここでドイツのサッカーリーグについて少し説明しておきましょう。FCバイエルン・ミュンヘンなど強豪チームが属するブンデスリーガは第1リーグで、その下の第2、第3リーグまでがプロと認められています。さらにリーグは続きますが、第4リーグ以下は地域のアマチュアリーグとして無数に存在している模様。そんな状況で、息子が属しているのは、ドイツ第9リーグ傘下の子どもチームです。「第9リーグ」といっても、ここはサッカー大国ですから本気度は高いようで、最年少の5歳児クラスでも週2回、16時半から18時まで90分間みっちりの本格的なレッスンが催されます。但し、雪が多く、時にマイナス20度まで気温が下がる冬季は、週1回の室内トレーニングのみが行われます。

月謝に関しては、物価の低いベルリンならではの破格値、12ユーロ(約1600円/2014年2月現在)!このクラスにはコーチが二人ついてくれていますが、ほとんどボランティア状態だと思います。そんな彼らの熱意には感謝しかありません。

練習場については、大人用のサッカーフィールドを6つに分けて、5歳児クラスから10歳児クラスまでの計6つのチームが練習しています。10歳児チームなのか、少し大きい子どもたちのプレイは既に目を見張るものがあり、「うちの息子も数年後にはこんなに上手になれるかも!」と親の期待が現実を無視して高まり、親バカ度が急上昇した瞬間でした。

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練習場の様子

5歳児クラスについては、参加している子どもは大体20人程ですが、息子より早い月に生まれ、数か月前からチームに属してきた子どもたちは、既にサッカーという「ゲーム」に慣れているようで、ドリブル捌きもかなり上手です。毎回必ず行う試合形式の練習では、そのような子どもたちがどんどんボールを取って、ゴールに持って行ってしまうので、そもそも大勢のチームメイトと試合をすることに慣れていない息子は戸惑ってしまった模様。

さらに「僕たちのゴールはちっちゃすぎるから嫌だ!(大人用のゴールを指して)あのゴールがいい!」と、一丁前な言い訳を口にする始末です。「君たちは一番年下のチームだし、まずはこのゴールでシュートができるようになったら、大きいゴールも使わせてもらえると思うよ。」と諭してみましたが、チームプレイに慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。

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5歳児用ゴール
「こんなに小さなゴールではやる気が起きない」とのこと

ここで、ある日の練習メニューを簡単にご紹介しておきましょう。開始10分ほどは各自ボールを持って自由に遊びます。ただし、練習場に入ってきたときには、必ずコーチと握手して挨拶をします。「ここでは暴力は絶対に許さない!」というスローガンがあちこちに貼られているこのサッカークラブでは、スポーツマンシップや礼儀も重んじられているようで、素晴らしいことだと思いました。

大体メンバーが揃うと、コーチを囲んで準備運動やストレッチが始まります。その後、チームが半分に分かれ、鬼ごっこで走る力をつけます。子どもたちはゲーム感覚で全力で走り回っています。20分ほど経過し、皆、汗びっしょりになったところで水分補給。

10分ほど休んだ後は、コーチからパスを受けて、シュート、という流れの練習です。コーチ2人がお手本をまず見せ、その後、子どもたちが順々にパスを受けシュートへとつないでいきます。この日はこれがメインメニューだったようで、片側ずつ計30分みっちり練習をしていました。

その後、休憩も兼ねてコーチからの話があり、今度はドリブル練習、チームを二つに分けて実戦練習と続き、ようやくレッスンが終わりました。ちなみに子どもクラスは男女混合です。

この間、保護者たちはフィールド外のベンチで待機しているのですが、耳をそばだててみると、ドイツ語以外の言語を話しているパパたちの多いこと!息子たちの一挙一動に喜んだり、肩を落としたり、さながら本物の試合を見ているような光景です。我が家と同様、皆さん左団扇の生活を夢見て子どもたちをスクールに入れたのかもしれませんが、多民族都市ベルリン、そしてサッカーが盛んな欧州ならではの光景だと思いました。

さて、我が息子ですが、90分間の練習中、皆と一緒にボールを追いかける時もあれば、気が散ってしまうのか、コーチがお話をしていても全く違う方向を向いていることもあり、ムラがみられます。最初の頃は「まだ始めたばかりだから、大丈夫ですよ!この年齢では楽しむことが一番ですから!」と言ってくれていたコーチも、1か月ほど経ってもあまり変化のない息子を目にして「もう少し集中力が欲しいですねえ。」とおっしゃる始末。

夫と共に「自転車でもひらがなでも練習すれば、楽しくできるようになったでしょ?サッカーも同じなんだよ!」と説得を続けるも、本人はスクールが休みだと大喜び・・・。左団扇の生活どころか、レッスン継続も危ぶまれるような、親の期待とは全く裏腹な状況ではありますが、コーチとのドリブルやシュート練習は父親とよく行っているからか得意な模様。何よりボールと戯れるのは今でも大好きと言っているので、気長につきあっていこうと思っています。

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こんな風にいつもボールを追いかけていればいいのだけど

筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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