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【ベルギー子育て奮闘記】 第10回 夏休みの過ごし方~ベルギーのサマースクール~

奥村 沙織

2014年7月25日掲載

私たちの住むベルギーでは、7月初旬から8月末までの2ヶ月間、子どもにとっても親にとっても長い夏休みがあります。この長い夏休みを乗り切る方法はいくつかあると思います。それは、せっかくの長いお休み、日本へ一時帰国をする、旅行に出かける、そして子どもたちをサマースクールに参加させる、などでしょうか。我が家では、主人の仕事の都合もありますので、毎年子どもたちはサマースクールに参加しています。今回のレポートでは、ベルギーに来て最初の年に子どもたちが参加した2つのサマースクールについて書いてみたいと思います。

詳細に入る前に、サマースクールを簡単に説明しますと、夏休みの間、通常通う幼稚園や小学校に代わって開校する臨時の学校です(注1)。ただし、席について勉強すると言った訳ではなく、大学生のボランティアの方が、一日中何らかのテーマに沿って子どもたちと遊んでくれるというものです。

そして、サマースクールは、各家庭の夏休み事情に合わせ、希望する日数や、時間帯などを自由に設定出来ることが一つの特徴です。そのため、毎年4月にあるサマースクールの申し込み日には、親は計画通りの日程で予約を確保するために、午前9時からの受付にも関わらず、早朝6時にはすでに長蛇の列を作ります。普段、時間にとてもルーズなベルギーの人たちがこの日ばかりは早くから行列を作る様には、初めの年はビックリしましたが、ここにも共働き家庭の大変さ、切実さが見えてきます。共働きが多いベルギーの人たちにとって、このサマースクールが大変貴重な存在であることは言うまでもありません。

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サマースクールの校庭


初めてのサマースクール

まず、最初に子どもたちが参加したサマースクールは、普段通っている学校とは別の学校の校舎で行われました。開始時間は普段の学校より遅い朝9時半から、終わる時間は16時半でした。

サマースクールも学年によってクラス分けされます。娘たちは当初、サマースクールが嫌でよく泣いていました。いつも幼稚園で遊んでいるお友達がいないために、不安になっていたのだと思います。そういう時は、学生のお姉さんが下の娘の手をつなぎ、声掛けをしてくれるのを見届けてから帰宅することが私の日課になっていました。

サマースクールの朝はダンスから始まります。そのダンスは以前のレポートでも触れましたが(第7回:ダンスパーティー参照)、ポップな音楽に本格的な振り付けで踊り、お遊戯感はまったくありません。我が家の子どもたちはそのダンスがとても気に入った様子で、音楽が鳴り始めると楽しそうに踊っていました。あまりにも楽しそうなので、曲を調べ自宅でも踊ることが出来るようにしてあげたくらいです。今では自宅にお客さんが来る度に、少し恥ずかしそうではありますが、そのダンスを披露しています。

ダンスが終わると、学年ごとに分かれ一日のテーマに沿って過ごします。フェイスペインティングをしたり、工作をしたり、写真のように、学生さんたちが作ってくれたお菓子などを食べたりもしたようです。

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サマースクールで綿菓子を作る学生さん

数日通ううちに、学校以外のお友達もでき、遠足でバスに乗って公園に出かけたり、動物園に行ったり一日を通してのイベントも楽しく過ごせました。また親ともお友達とも年代の違う若い学生さんならではの遊び、接し方に触れたりして、娘たちは楽しい夏休みの期間を過ごすことが出来ました。

オランダ語を母国語としない子どものためのサマースクール

もう一つのサマースクールには初年度のみ参加したのですが、私や子どもにとって、とてもありがたいものでした。このサマースクールに通ったおかげで、上の娘(以下お姉ちゃん)は幼稚園に留年することなく小学校に進級できたのではと今では感謝しています。(第5回:進学テスト参照)

そのサマースクールとは、オランダ語を母国語としない子どもたちのためのサマースクールでした。多国籍の子どもたちが多いからこそのサマースクールです。2ヶ月という長い夏休みの間にせっかく理解し始めたオランダ語を忘れてしまうのではないかと懸念していたころ、このサマースクールをお友達に教えてもらいました。このサマースクールには学校枠があり、各学校から参加できる人数が決まっていて、学校から推薦された子どもたちが通うものだと聞きました。学年も日本で言う、年中、年長、小学一年生の子どもたちだけが対象になります。

オランダ語を忘れないためには、こちらのサマースクールに参加しない手はないと思い、早速学校に問い合わせてみました。すると、「そんな話は聞いたことがない。そんなものがあるの?」という担任の先生の返事。これでは埒が明かないということで、校長先生に聞いてみたところ「あぁ、なんかそういうの聞いたことがあるね。市に問い合わせてみるよ」という何とも頼りない返事・・・。ここで初めて、子どもたちが通っている学校、幼稚園では今までこのサマースクールに参加した子がいないのだと知りました。オランダ語をまったく話せない外国の子を受け入れたこともなかったのではないかと思います。

そして子どもたちの通う学校から、初めてお姉ちゃんがこのサマースクールに参加することになりました。次女の方はまだ年齢が達していなかったためお姉ちゃんだけの参加になりました。

このサマースクールは市の文化センターのようなところで8月中旬から約3週間実施されます。こちらも机に向かってオランダ語を勉強するわけではなく、ボランティアの学生さんが遊びを通じてオランダ語に触れさせ、長い夏休みの間にオランダ語を忘れないことに重点をおいて考えられたプログラムです。オランダ語の歌を覚えたり、果物の読み方を繰り返し遊びで覚えたり、とても充実した毎日を送ったようです。週に一度は遠足で公園に行ったり、プールに行ったりもしました。

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最終日の発表会

前述のサマースクールより、子ども一人に対する学生さんの人数が多いため、手厚く、密にオランダ語に触れることが出来たようです。そして、同じような境遇のお友達もたくさんできました。みんなオランダ語が堪能ではないので、一生懸命話そうとすることでぐんぐんオランダ語が身についたように思います。実際、お姉ちゃんはこのサマースクールの直後に、小学校への進学をかけたオランダ語のテストを受け、クリアできたのですから。オランダ語を子どもに教えることができない私たち夫婦にとって、このサマースクールは、大変ありがたいプログラムでした。

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スクール内に飾ってあった思い出の写真たち

今では自宅で姉妹二人、オランダ語で話すことがとても増えました。特に喧嘩をするときや、親に聞かれたくない内緒話をする時が多いのですが・・・。それでも、ベルギーでの生活が始まった直後の私たち夫婦、そして子どもたちの不安やストレスを考えると、オランダ語を"それなりに"、扱えるようになった我が子を見ることはとても嬉しく思います。もちろん今に至るまでには、学校の先生やお友達など、多くのみなさんのサポートがあったことは言うまでもありませんが、このサマースクールもまた有意義な夏休みの過ごし方となりました。


  • (注1)こういったサマースクールの他に、学校を開放して遊び場にしているところ、スポーツ施設が夏休みの特別プログラムを実施しているところなどがあります。

筆者プロフィール

奥村 沙織: 2011年より、夫の転勤に伴い二人の娘とともにベルギーのルーヴェンに在住。
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