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【ベルギー子育て奮闘記】 第11回 ベルギーの方たちとの交流

今までの記事の中でも、たくさんのこちらの方たちとの交流について触れさせていただきました。いろんな行事がある度に、友人たちに声をかけてもらったり助けてもらったりしています。今回は、そんな現地の方たちとの交流の中で、特に印象に残ったものについて書いてみたいと思います。

娘のお誕生日会

ベルギーに来て2カ月経ったある日、上の娘(以下、お姉ちゃん)がお友達のお誕生日会に招待してもらったことは、第3回の記事の中に書かせていただきました。それからも、ちょこちょことお友達のお誕生日会に招待してもらったお姉ちゃん。そうなるとやはり、お姉ちゃんも自分のお誕生日会をしたくなるものです。ベルギーに来て最初の年に、母は"意を決して"ベルギーでできたお友達を招いたお誕生日会を行いました。その頃は、ベルギーに来て4カ月が経った頃で、まだまだやることなすこと、すべてに勇気が必要でした。もちろんホスト役として初めてのベルギーでのお誕生日会、そしてなんと言っても私もお姉ちゃんもまだオランダ語が分かりませんでしたし、こちらの子どもたちがどんなもので遊ぶのか、どんなものを好むのか、まだ見当もつかない時期でした。そんな状態で、子どもたちを預かっていいものか・・・。一人で子どもたちを楽しませることが出来るのか。いろいろシュミレーションしてみましたが、やはり難しいと思い、当時娘たちのオランダ語の家庭教師をしてくれていたベルギー人の大学生にヘルプをお願いすることにしました。彼女と一緒に招待状を作り、その中に当日も彼女に手伝ってもらえる旨も書いてもらいました。

そして当日、4人の男の子がうちに遊びに来てくれました。唯一、来てくれる予定だった女の子が、当日になってキャンセルになってしまい、まさかのお友達は男の子のみのお誕生日会になりました。

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集まってくれたお友達

お誕生日会には必須アイテムのケーキですが、ここベルギーのケーキは一般に日本のスポンジより固く、とても甘いものが多いです。子どもたちはそういうケーキに慣れているだろうからケーキ屋さんで購入した方がいいのかなとも思ったのですが、せっかくの機会、日本のケーキを食べてもらおうと思い、日本のデコレーションケーキを焼きました。これが意外や意外、子どもたちは「Lekker, lekker (おいしい、おいしい)」と言ってパクパク食べてくれました。そして、家庭教師の大学生に通訳をしてもらいながらたくさんのゲームもしました。

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箱の中身は?ゲーム

帰る時間になると、ママさんたちがお迎えにやってきました。そのとき、こちらのお誕生日会では「ちょっとお茶でも」とお招きするのが決まりごとのようです。すでにその情報を入手していたので、ママさん用にも日本のケーキを、と思い、抹茶のパウンドケーキを用意しておきました。熱い日本茶を入れケーキを出すと、みなさん大変興味を持って、喜んで食べてくれました。

その中のお二人は日本茶がとても好きなようで「いつも飲む日本茶とは違う。どうしたらこんなに濃いお茶が飲めるの?」と聞かれました。ベルギーで購入できる日本茶はティーバッグで香りも味も薄いのです。「これは日本から持ってきたものだから」と言って、少し小袋に入れてプレゼントしました。とても喜んでもらえて、日本から持ってきて良かったぁと思った一瞬でした。子どもたちも大人も喜んでくれたようでとても嬉しく、そして、当時の私にとって大きなイベントが終わったことに、ホッとしました。お姉ちゃんが現地の子どもたちに交じって最高の笑顔を見せてくれたことが親にとっては何よりうれしいものでした。

そして一年の間にお姉ちゃんのお友達の輪は広がり、次の年のお誕生日会には15名のお友達に来てもらうことになりました。大人数で自宅では収拾がつかないということで、近所の公園の中にある集会場を借りてお誕生日会をしました。幸いお天気にも恵まれ、子どもたちはケーキやお菓子を食べては公園で遊びました。また、子どもを送ってきた、パパさん、ママさんたちが、そのまま残っておしゃべりをしたり、ケーキを食べたり、ビールを飲んだりと、子どもたちだけでなく、私たちにとっても現地の方との交流を深めることのできたイベントとなりました。

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公園での誕生日会

このお誕生日会では、お姉ちゃんがお友達の中でどんな顔を見せるのか、ちゃんとオランダ語での会話ができているのか、お友達と仲良く遊んでいるのか、など普段はあまり見ることのできない場面を見ることができ、少し新鮮でもありました。

また、転んで泣いた子をオランダ語で慰めてあげたり、時にはお姉ちゃんがお友達と喧嘩をしたりすることもあり、異国の地でたくましく育っている我が子を少し頼もしく感じた一日でした。

畑プロジェクト

ある日、現地のお友達から「うちの近くに畑を作るんだけど、一緒にやってみないか」とお誘いを受けました。話を聞くと、そのお友達の住んでいる通りの一角の土地を市から借り受け、そこに近所のみんなで共同で野菜を育てるための畑を作るというものでした。

その畑は誰が何を植えてもよし、収穫も好きにしてよし、子どもたちの食育にも使えるという、とても素晴らしい試みでした。

私たち夫婦の実家はとても田舎で、周りは田んぼ、畑だらけです。小さいころから慣れ親しんだ土いじり、手伝いに行かないわけがありません。

そして迎えた当日、その土地の土は、日本の畑に比べると、固くぱさぱさした感じだったので、主人と「ほんとに野菜育つのかなぁ」なんて言いながらお手伝いをしました。畑を耕したり木で柵を作ったり、久しぶりの重労働を主人も楽しんでいました。

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畑を作る作業

完成間近になったある日、そのお友達から「完成にあたってレセプションがあるんだけど、その時にアペタイザーとしてお寿司を作ってくれないか」と頼まれました。

そのレセプションには50人ほどが参加すること、市の職員の方も何人か参加することを聞き、尻込みをしてしまいましたが、引き受けた以上、やるだけのことはやろうと準備に励みました。

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レセプション会場

当日1.5升の寿司飯を作り、こちらの方も食べ慣れているサーモン巻、ツナサラダ巻をたくさん作り、ちょっと変わり種として、たくあんのお新香巻きも作りました。

お友達や市の職員の方の挨拶があり、乾杯の時には、「お寿司を作ってくれたのはこの人よ」と紹介もしていただきました。お寿司を食べながら「おいしいわ」、「今日はありがとう」といろんな人に声をかけていただき、とても照れくさかったですが、ベルギーの人たちがシャンパンを飲みながらお寿司をつまんでいる姿は、嬉しくもなんだか不思議な光景で、少し笑ってしまいました。

そして現地の子どもたちも、すごい勢いでお寿司を食べてくれました。我が家の子どもたちは、私が作ったお寿司をお友達がおいしそうに食べている姿を見て、とても喜んでいました。自宅に帰ると、「ママ、今日はお疲れ様。みんながすごいお寿司がおいしかったって言ってくれたから、私も嬉しかった。」と言ってくれました。

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お寿司をつまむ子どもたち

この話をもらった時、性格上断ることが苦手な私は、実は半分仕方なく受けたところがあったのですが、幸いみなさんも、そして我が家の子どもたちも喜んでくれました。ここはいいチャンスと、子どもたちに、「何事も挑戦することが大事なんだよ!大変だけど、みんなの喜んでくれる顔を見るのはとても嬉しいね!ママもこれからもたくさんのことを頑張るから、あなたたちも頑張って行こうね!」と、力強く伝える母でした。

筆者プロフィール
奥村 沙織: 2011年より、夫の転勤に伴い二人の娘とともにベルギーのルーヴェンに在住。
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