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【ニュージーランド子育て便り】 第17回 子どものバースデーパーティ

要旨:

ニュージーランドのバースデーパーティは家族ぐるみのとても大きなイベントである。特に5歳までの小さな子どもたちは、クラスメイトと一斉に進級したり小学校に入学したりするのではなく、各々の誕生日を目安に進級や入学をするため、 誕生日は大きな節目でもある。様々なアクティビティで盛り上がる楽しいバースデーパーティの様子をお伝えしたい。

娘が先日4歳になりました。最近ではすっかり保育園のお友達と仲良くなり、「4歳のバースデーパーティは、保育園でしたい!」という娘の希望もあり、保育園のアフタヌーンティの時間にあわせて私がケーキを持っていき、クラスメイトにお祝いをしてもらいました。園によってはこういった対応をしていないこともあるようですが、娘の保育園ではよくこのようなお祝いをしているようです。先生方も慣れた様子で蝋燭に火をつけたり、ケーキを取り分けたりしてくださいました。 保育園でのお祝いも楽しい思い出になりましたが、ニュージーランド(以下、NZ)では、家族ぐるみの子どものバースデーパーティもとても大きなイベントです。娘もNZに来てから何度もバースデーパーティに誘って頂き、とても楽しい思いをさせて頂きました。また、昨年の3歳のお誕生日には動物園でバースデーパーティを開き、多くのお友達に来てもらいました。今回は、NZのバースデーパーティの様子をご紹介したいと思います。

NZのバースデーパーティは、土日に子どもの友達とその両親が揃って参加することがほとんどです。ですから必然的に大人数になります。広いお家のお庭でNZ定番のバーベキューをして、たくさんのアクティビティをして、お祝いができたら楽しいのでしょうが(実際、そんなパーティにも招待して頂きました)、広々としたスペースの確保できる公園やコミュニティセンターなどで開催することも多いようです。また、水族館、動物園、レストラン、子ども向け料理クラスや体操教室など、多くの施設が子どものバースデーパーティのパッケージを提供しています。これらの施設は、食事だけのパーティというものではなく、何らかの体験を含む形にしているところが面白いなと思います。例えば、水族館では魚に餌やりができたり、動物園では飼育係による動物の説明が受けられたり、レストランでは調理の体験ができたりといった具合です。他にもイベントなどで定番の、子どもの顔に絵を描くというフェイスペインティングができる人を雇うこともあります。私も必死にこういった情報を探し、5歳の誕生日にはこれもいいな、あれもいいなと、娘を差し置いて勝手に想像を膨らませています。

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体操教室で行われたお友達のパーティにて

NZのパーティで何度も見る光景があります。1つ目は、参加している子どもたちが輪になって座り、ラッピングされた1つのプレゼントを音楽が鳴っている間、順々に隣の子どもに渡していくというものです。このプレゼントは包装紙で何重にも(参加する子どもたちの数だけ)ラッピングをされており、一重ごとにロリーポップやチョコレートなどちょっとしたお菓子が包んであります。親が音楽を流すタイミングをコントロールしており、音楽が止まった時にプレゼントを手にしている子が包装紙を一枚だけ開きます。すると、お菓子が出てくるという仕組みです。こうして、全員にプレゼントが行きわたるまで音楽が流れては止まり...を繰り返します。最終的にはお誕生日の主役の子どものところで音楽が止まり、本やおもちゃなど少しきちんとしたプレゼントが中から現れるといった感じです。

2つ目は、チョコレートやキャンディなどのお菓子の入った専用の箱(piñata)を吊るし、子どもたちが順々にその箱を棒で叩いていくものです。そして、最終的には箱が壊れると、中から出てくるお菓子類に子どもたちが群がります。これもそう簡単には壊れない箱なので、集まった子どもたちが全員1~2回は叩くことができます。

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キャンディやチョコレートの入った箱を棒で叩く

3つ目は、プリンセスパーティ、フェアリーパーティなど、テーマを決めてパーティを行うことです。こういったパーティにはテーマにあった洋服にドレスアップして参加します。年齢が上がるほど、女の子はドレスアップのパーティが増えるような気がします。

これらは今までよく目にしましたが、他にも、卵をスプーンに乗せて運ぶ競争をしたり、ビーチで遊んだり、公園の遊具で遊んだり。日本のお誕生会はもう少し座っている時間が長くて、落ち着いていたような気もするのですが...。あるパーティに参加したときに動き回る子どもたちを感心して見ていたら、NZ人のおばあちゃんに「子どもたちが常に飽きないようにいろいろタスクを課して忙しくさせないといけないものね」と言われて、それでこんなにパーティがアクティビティだらけなのね、と納得したものです。これだけ子どもの楽しいことを盛り込んでいたら楽しくないはずがありません。参加している子どもたちは活き活きして本当に楽しそうです。娘もパーティに誘われると大喜び、終わってからも「楽しかった~」と数週間は繰り返し思い出しては余韻に浸っています。

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友人が作った芸術的なバースデーケーキ

主役の子どもも参加者も楽しいパーティですが、準備をする親は大忙しです。会場のセッティング、アクティビティの準備に、お料理やケーキの準備などなど。食べ物は、手作りケーキはもちろん、クッキー、フルーツ、ロリーポップ、カップケーキなどが定番です。「ハッピーバースデー♪」の歌を歌い、蝋燭の火を吹き消すのはNZも同じです。そのケーキですが、NZのバースデーケーキはカラフルな色のアイシングで固めた、凝った形のものにお目にかかることが多くあります。まるで芸術作品のような力作ケーキは切るのも勿体ないくらいです*1。娘にこんなケーキをリクエストされたらどうしよう...と思っていたところ、日本の絵本で学んだショートケーキに憧れ「保育園にストロベリーショートケーキを持っていきたい」という娘。ショートケーキは、そんなにNZの子どもたちに馴染がないので口に合うのかしら...と心配しつつ持っていきましたが、味わう余裕もないほどの勢いでペロリと平らげてくれて一安心でした 。

NZに来てから娘の誕生日の季節が変わり、日本では春爛漫の季節にうまれてきたはずの娘が、NZでは秋の雨が多い季節にお誕生日をお祝いしていることは、未だに不思議な感じがします。来年は5歳。5歳のお誕生日はNZでは特別な意味を持ちます。それは多くの子が5歳の誕生日を過ぎると小学校に行きはじめるからです *2。そんなこともあり、5歳のお誕生日は特に盛大にお祝いするようです。そんな節目の年まであと1年です。貴重な時間を大事に過ごしたいなと思います。


  • *1 NZの砂糖メーカーが子どものお誕生日レシピを載せています。http://www.chelsea.co.nz/recipe-categories/42/kids-birthday-recipes.aspx
  • *2 NZの学校は、5歳の誕生日の翌日から6歳の誕生日までに小学校に通い始めることになっています。多くの子どもたちが5歳の誕生日を迎えると小学校に通い始めますが、成長の度合いなど、親が様々な事情を考慮して6歳までに入学すればよいという期間があるのは柔軟で良いなと思います。詳しくはhttps://www.blog.crn.or.jp/report/09/107.html「義務教育期間」に記載。
筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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