先日、息子は4回目の誕生日を迎えました。ドイツに来て2回目のお誕生日を無事に祝うことができ、親としては感無量、と言いたいところですが、当日は感慨にふける間はほとんどない位、忙しいものでした。 というのは、ドイツではお誕生日の人がゲストを招待してパーティを開く習慣があり、子どもが小さいうちは、当然、その準備は親の仕事。去年は公園でピクニックパーティを行いましたが、この日は夏なのに案外肌寒く、ご年配のゲスト達に負担が大きかった模様でしたので、今年はホームパーティにすることにしたのです。そのため、夫と私は誕生日の3日前から年末並みの自宅の大掃除や買い出し、総勢12人分の料理の下ごしらえなどに追われていました。今日はドイツ式お誕生日の祝い方について、ご紹介したいと思います。
ドイツ人にとって誕生日は非常に大切な日。何歳になっても毎年パーティを開きます。特に5歳、10歳と節目の年は重要視されていて、その年にはさらに盛大なお祝いが催されます。当日はパーティに参加できない家族や友人からの電話が朝から鳴り響き、お祝いのメッセージが届きます。
また日本との大きな違いは、誕生日を迎える人がパーティを企画・準備・運営し、費用も全てまかなうということです。誕生日ケーキも誕生日の人が自分で準備し、職場や学校に持参して同僚やクラスメートにふるまいます。ちなみにドイツでは男性でも料理をする方が多く、今年は夫がレモンケーキとバナナケーキを、息子と私で一緒にクッキーを焼きました。

真剣な表情でお料理

息子お手製チョコチップ&レーズンクッキー
日頃から料理好きな息子ですが、このように一緒に誕生日パーティの準備をすることにより「自分が1つお兄ちゃんになる」という自覚が強まったようでした。クッキーを作成中にも「ぼく明日4歳になるからパーティするの」と言っていました。そして、誕生日当日にはお手製スイーツを保育園に持参、園での誕生日パーティでクラスメート一人一人に誇らしげに配ったそうです。
保育園の先生によるとこれは自尊心を高める上でも大切な行事。確かに、息子もこの日を境に意識が変わったのか「もう僕はお兄ちゃんだから、おねしょもしないし、(水泳教室の)プールでも深いところに行けるのよ」と様々なシーンで頑張りをみせるようになりました。
また、保育園ではこの日、ボードゲームのプレゼントを頂いてきました。暗くて長い冬の間、ドイツでは自宅で過ごす時間が長いので、ボードゲームは非常に人気が高く、様々な種類のものが入手できます。今年の冬はこのドイツ版すごろくゲームで遊ぶのを今から楽しみにしています。

ドイツのボードゲーム
プレゼントに関していえば、合理性が重んじられるドイツでは現金をプレゼントするのは珍しいことではありません。封筒に入れてあげることもありますが、花のように折ってブーケに挟んでプレゼントすることも多いようです。ちなみに、結婚式などでもこのようなブーケを贈ったりするそうです。

お金のブーケ(青い部分が紙幣)
さて、誕生日当日、息子が保育園に出かけてからは、午後3時からのパーティのセッティングです。ティータイムのためのスイーツは既に焼きあがっていたので、ディナーの準備にかかります。メインメニューは息子のリクエストにより、手羽先と味玉の味噌煮込みとちらしずしです。4歳にしてはなかなか渋い好みですが、この日のゲストは全員ドイツ人の家族でしたので、夫がこの他にタコサラダや各種チーズとにんにく、ハーブなどを混ぜ合わせて作るチーズボールなど洋風なテイストも取り入れてくれました。
そうこうしているうちに、あっという間に午後3時。続々とゲストが到着し、この日は保育園を早退してきた息子は大喜び!さらに、プレゼントを次々と開け、おもちゃや絵本を見つけては大興奮です。みんなが揃うとお待ちかねのティータイム。美味しいスイーツを次から次へと平らげていきました。

ティータイム
ティータイムが終わると、ゲスト達が歓談したり、プレゼントの玩具で子どもたちが遊んだりしている間、夫と私は交互にリビングとキッチンを行き来しながら、みなさんへのもてなしをしつつ、ディナーの最終仕上げにかかります。下ごしらえのお蔭でこちらもまずまずの味となり、夕食後には準備したほとんどの食べ物が皆さんの胃袋に収まることとなりました。
結局この日、夜10時半ごろまで続いたパーティでしたが、バースデーボーイの息子には勿論、ゲストの方々にも満足して頂けたようで安堵しました。
ただ、このようなホームパーティは準備が大変ですので、カフェやレストランでパーティをする方も多いようです。先日、クラスメートの誕生日会に招待されましたが、それは以前ここでもご紹介しました広いプレイエリア付のカフェで行われました。ここでは子どもたちが遊んでいる間、大人はゆっくりコーヒーを飲みながらくつろぐことができます。来年はこちらで祝おうかしら?!

カフェでお友達の誕生日を祝う
ちなみに、多民族都市のベルリンでは、以前スペイン系のお友達から誕生日パーティの招待を受けたことがあります。あるレストランでのパーティでしたが、ラテン系のゲストたちは皆その日、きちんとシエスタ(昼寝)をして、夜通し朝まで続くパーティに臨んでいました。私たちは日が変わる前に早々と切り上げましたが、様々な文化が入り交ざるベルリンならではの体験だったと思います。
以上、ベルリンでの誕生日エピソードを述べてきましたが、渡独という大きな環境変化にも関わらず、今年も息子が元気に誕生日を迎えられたことに感謝し、今後の健やかな成長を願う今日この頃です。