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論文・レポート

【ドイツの子育て・教育事情~ベルリンの場合】 第34回 ギムナジウム生活の始まり

シュリットディトリッヒ 桃子

2019年2月 1日掲載

要旨:

今秋からギムナジウムに進学した息子。非常にカジュアルな入学式や、入学3日目からのお泊まり合宿に驚いたが、時間割が週ごとに入れ替わったり、先生の休講が続いた上に、学習進度も速く、しばらくの間は、生活のリズムを整えるのに一苦労だった。一方で、放課後は数あるクラブから歴史クラブを選択。週一度の活動を楽しみにしつつ、今は元気に通学している。

Keywords:
ドイツ、ベルリン、ギムナジウム、入学式、教科書、時間割、休講、クラブ活動、シュリットディトリッヒ桃子
入学式:最後に残っていた保護者は5人だけ?!

ギムナジウムに合格した息子は、7月に小学校を4年生で卒業し、夏休み明けから晴れて新しい学校に進学することになりました。「第1回 小学校の入学式」「第2回 入学式の準備とパーティ」でお伝えしたように、ドイツでは小学校の入学式は「一生に一度の大イベント」として大々的に行います。「ギムナジウムではどうなのかしら?」と思っていると「新学年が始まる日に5年生と7年生の合同入学式を行うので、保護者の皆さんを招待します」というメール連絡を受けたので、参加してきました。

当日、会場となったのは小学校の入学式でも使用されたギムナジウムの講堂です。「4年前に比べると、息子もだいぶ背が伸びたなあ」などと感慨にふけり周囲を見回すと、祖父母を含めた保護者の方が児童数よりも多かったために、入場制限まで設けられた小学校の入学式とは異なり、今回は圧倒的に生徒の方が多く目につきました。保護者も夫婦で来ている人は少ないようで、どちらかが来ていればよい方、という印象を受けました。服装もかなりカジュアルで、完全に普段着の方も多く、子どもたちもジーンズやショートパンツにTシャツ姿が目立ちました。息子もTシャツにジーンズ、私はカジュアルなサマーワンピース(夫は仕事のため欠席)という出で立ちで臨みました。 5年生と7年生で入学を受け入れているこのギムナジウムでは、今回、新入生となるのは、5年生1クラス(5年1組:30名)と7年生3クラス(7年2組、3組、4組:計90名)の計4クラス。2年前に5年生から入学していた7年1組の歌と演奏で始まった式ですが、歌が終わると、今しがた歌い終わった生徒たちが異なる言語で「ようこそ○○ギムナジウムへ!」と挨拶。7言語にも及ぶ歓迎の言葉に「いかにも国際色豊かなベルリンの学校だなあ」と感慨深く思いました。ちなみに、このギムナジウムの外国人比率(親のどちらかが非ドイツ人比率)は約25%だそうです。

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入学式の様子:上級生の歓迎演奏

その後、校長先生の挨拶があり、5年1組の新入生たちは名前を呼ばれた順に檀上に上がります。息子も名前を呼ばれると、少し照れ臭そうに、いそいそとステージへ向かっていきました。クラス全員の名前が読み上げられ、檀上に揃ったところで、さらに9年生の「お世話係(この後、学校を案内してくれたそうです)」3人と担任・副担任の先生2人が紹介され、その後、5年1組の子どもたちは、先生たちに連れられて、教室へ向かって行きました。

続いて7年2組の生徒の紹介、と式は続いていったのですが、5年生が檀上から退散すると、5年生の保護者と思われる人たちもさっさと退場していくではありませんか!「自分の子どもを見終わったら、もういいの?!」とそのストレートな行動に驚きましたが、その後も1クラス紹介されるごとに、会場に残っている人もどんどん少なくなっていきます。最後まで残っていた保護者は、私を含めて5人ほど。結局、式は40分ほどで閉会しました。

いきなりお泊まり合宿!

月曜日に入学式が行われましたが、その2日後の水曜から金曜まで、バスで90分ほど離れたところにあるお隣ブランデンブルグ州の湖畔にて「親睦を深める合宿」が実施されました。参加者は上述の新入生4クラスと5年生から入学していた7年1組の合計5クラス。

入学してすぐに泊まりがけの合宿があることにまず驚きましたが、夫は「自然の中で新しいクラスメートたちと親睦を深められるなんて、最高の機会じゃないか!」と大賛成の様子。生徒たちは勿論、先生方も生徒たちの顔と名前が一致しないままの出発で、さぞかし大変だったのではと、察します。息子本人といえば、出発前は若干緊張していたものの、同じ小学校からの同級生がいることが心強く、また自然の中での様々な活動を楽しんできた様子で、進学先での最初の1週間は瞬く間に過ぎていきました。

教科書は全て貸与、筆記用具は万年筆

第2週目からは本格的に授業が始まりましたが、小学校の時との違いは、まず教科書が全て貸与品だったこと。年ごとに使用者の名前が記された教科書はなんだか重みがありますが、意外にも綺麗に使用されています。息子にも「来年は新入生が再びこの教科書を使うのだから、大切に使用するように」と諭しました。ちなみに、書き込み問題の多いワークブックは各自購入しました。

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算数の教科書の裏表紙に記された名前と使用年度を書く欄
(この教科書は2013年7月から使用されているようです)

ちなみに、筆記用具に関しては、当地では小学校3年生から万年筆で、原則的に普段の授業やテストでは鉛筆や消しゴムの使用は禁止です。間違って記載した部分は二重線で消し、修正する決まりになっているとのこと。どこをどのようにして間違えたのかを明確にしていくことが重要なのだそうです。

週ごとに入れ替わる時間割

時間割に関しては、進学先の学校では、2種類の時間割(A週とB週と呼ばれている)があり、1週ごとに入れ替わります。例えば、今週が時間割Aだと次週は時間割Bになります。当校は理数系重視校なので、算数や理科の授業が多く設定されているようですが、B週の方が授業が終わる時間が遅い日が増えるので、そのまま習い事に直行しなければならず非常に忙しい週になります。

また、授業時間については、基本的にブロック制で行われ、1ブロックは2時限分の90分と小学校時代の倍です。幸いにも日本語補習校で2時間授業に慣れている息子には、これは大したハードルではなかったようです。

A週の時間割
  月曜 火曜 水曜 木曜 金曜
1時限目
8:00-8:45
理科(生物)英語社会理科(化学・物理)道徳(任意参加)
2時限目
8:45-9:30
学活
3時限目
9:50-10:35
算数算数*理科(化学・物理)/理科(生物)*英語/算数英語
4時限目
10:35-11:20
昼休み
5時限目
11:50-12:35
社会 ドイツ語 図工 ドイツ語 音楽
6時限目
12:35-13:20
7時限目
13:45-14:30
体育  
8時限目
14:30-15:15


B週の時間割
  月曜 火曜 水曜 木曜 金曜
1時限目
8:00-8:45
ドイツ語英語 音楽 *理科(化学・物理)/理科(生物) 道徳(任意参加)
2時限目
8:45-9:30
3時限目
9:50-10:35
算数 体育 社会 ドイツ語 理科(化学・物理)
4時限目
10:35-11:20
昼休み
5時限目
11:50-12:35
音楽 ドイツ語 図工 算数 *英語/算数
6時限目
12:35-13:20
7時限目
13:45-14:30
体育 理科(化学・物理) 学活
8時限目
14:30-15:15


*のついた時限では、クラスを半分に分けて授業を行うそうです。例えば、A週の木曜日3時限目はクラスの半分は英語を行い、4時限目には算数の授業を受けます。残りの半分の生徒は最初に算数、4時限目に英語の授業を受ける、ということです。金曜1-2時限目の道徳は強制ではないので、息子は参加していません。

休講・変更は当たり前?!

何よりも驚いたのは、新学期早々、社会の先生が体調を崩し、結局4週間連続でお休みしたこと。水曜朝1-2時限の授業が休講となったため10時登校が続き子どもは大喜びでしたが、これに対して代講もなく、親としてはせっかく進学したのに大丈夫なのか?と気をもんでいました。ベルリンでは教師不足から休講が多いことが問題になっており、授業の変更やキャンセルは頻繁におこるようです。それを見越して(?)か、この学校では、専用のウェブサイトで教室や授業変更がチェックできるようになっているので、毎晩、確認してから、翌日の支度をするのが日課になりました。

放課後生活

学童保育はもはや存在しませんが、放課後にはAG(Arbeitsgemeinschaften)と呼ばれる各種クラブ活動があり、各クラブとも週1回のペースで活動しています。息子が通う学校では文科系クラブが多いようで、5-6年生が参加できるのは、チェス、バンド、化学、自然科学、学校新聞、歴史クラブ。7年生以上になると、これらにコーラスや宗教、ディベートなどが加わるようです。サッカークラブや日本語補習校で放課後は忙しい息子ですが、「せっかく入学したのだから学校のクラブにも参加したい!」とちょうどスケジュールが合う歴史クラブに参加することにしました。実は顧問の先生は日本の歴史にも造詣が深く、訪日されたこともあるということで「このクラブでは、騎士が活躍したヨーロッパの中世の他に、同時代の日本や侍にもフォーカスするよ」と勧誘されたことも大きな動機になった模様。クラスの枠を超えたメンバーと毎週楽しく歴史を学んでいるようです。

以上、今秋から新しく始まった学校生活について記してきましたが、学習進度は小学校の時とは比べ物にならないくらい早く、内容も急に難しくなり、当初は息子はかなり戸惑っていました。3か月たってだいぶ慣れ、今は元気に通学していますが、また機会があれば、それらについてもお伝えできればと思います。

筆者プロフィール

シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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