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【ドイツの子育て・教育事情~ベルリンの場合】 第2回 入学式の準備とパーティ

シュリットディトリッヒ 桃子

2015年1月 9日掲載

要旨:

「一生に一度の大イベント」である小学校の入学式に向けての準備は、保護者にとっては「一大長期プロジェクト」である。小学校への登録後は「ランツェン」「シュールテューテ」「入学式後のパーティのアレンジ」など準備しなければならないことが山積み!特にパーティに関しては、入学式のスケジュール上、入学式後から夜遅くまでゲストをもてなすことになり、企画の時点から難航していた。が、当日はなんとか滞りなく「入学式プロジェクト」を遂行することができ、息子にとっても楽しく忘れられない一日になったと思う。

Keywords:
ドイツ、ベルリン、小学校、入学式、パーティ、ランツェン、シュールテューテ、シュリットディトリッヒ桃子

前回お伝えしたように、ドイツでは小学校の入学式は、文字通り「一生に一度の大イベント」!この日に向けた準備は、保護者にとっては「一大長期プロジェクト」です。今回は入学式までの準備および入学式後の様子をお伝えします。

入学式までの準備

昨年秋に小学校への登録を済ませると、今度は「ランツェン(ドイツのランドセル)はいつどこで買うか?」「シュールテューテ(新一年生への贈り物が入っている円錐状の入れ物)や、その中に入れるプレゼントはどうするか?」「入学式後のパーティはどこでどのように行うか?」などなど、準備しなければならないことが山積みでした。

まず、「ランツェン」と呼ばれる日本のランドセルにあたる鞄ですが、ランドセルより大きめで、キャンプの時に持って行く大きなリュックサックのようなバッグと言えば、一番イメージしやすいでしょうか。体の小さな新入生が背負っていると、ランツェンが歩いているような感じです。ですから、近頃は重さが「1キロ以下」をうたっているものが多く、保護者たちも軽量のものを選ぶ傾向にあるとのこと。素材も日本のランドセルのように革製やクラリーノ(人口皮革)製ではなく、ナイロン、ポリエステルおよび綿などを使用したものが多いようです。また、長く続く秋冬場には登下校時でも暗いことが多いので、暗闇でも安全性を確保できるよう、反射板がついています。また、学校で必要な、体育着を入れる巾着、色鉛筆セット、文房具セット、水筒などもセットになっていることが多い模様です。

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息子のランツェン(写真上)と付属の体育着用巾着(右下)、筆記用具セット(左中下)

毎年冬から春にかけて、デパートでバーゲンが催されたり、ランツェン専用の販売イベントが行われたりするので、そこでみなさん購入されるようです。ちなみに、我が家ではデパートのバーゲン時期に90ユーロ位(約12,600円) のものを購入しました。日本のランドセルに比べると割安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、平均収入や物価から考えると、ベルリンでは決して安い買い物ではありません。さらに、人気のスターウォーズやスパイダーマンなどのキャラクターものになると、もう少し値段が張るようで、中には300ユーロ(約42,000円)近くするものも!ちなみに、男の子用は青、女の子用はピンクが主流のようでした。

次にランツェンと並んで入学式に欠かせないのが、「シュールテューテ」とよばれる円錐状の筒。この中にはプレゼントが入っており、入学式当日にお祝いとして様々な方から頂きます。新入生はランツェンと両親から贈られた大きなシュールテューテを入学式に持って行くのが習わしなので、私たちも巨大なシュールテューテとその中につめるプレゼントを事前に購入しておきました。

そして、入学式後のパーティですが、レストランで催されることが多い模様。しかし、当日はベルリンで一斉に入学式が行われるので、予約に関してはすぐにいっぱいになってしまう、とのことでした。ベルリンは周知のとおりドイツの首都ですが、レストラン総数は東京の約30分の1にすぎません1) 2)。我が家では10名程のゲストを予定しておりましたし、とにかく早めに予約を入れないと、希望の場所でお祝いできないということなので、夫は昨年秋の小学校登録直後からリサーチを始めました。そして、数か月に渡るリサーチおよび問い合わせの末、自宅から2駅ほど離れたステーキハウスにようやく落ち着いたのは、年も明けてだいぶ経った頃、入学式の半年前くらいだったでしょうか。

さらに、息子の入学式は二部編成の後半、ということが6月の小学校説明会にて発覚!そのスケジュールでは、ランチパーティには間に合いません。従って、ランチに予定していたレストランパーティは夕食時にシフトせざるを得ませんでした。そして、夕食までの時間は近所のSpree川にてクルージングを用意して、ゲストをもてなすことに決めました。

といっても、クルーズ船の出航時間は限られている上、夕食時にはレストランに向かわなければなりません。情報がインターネット上ですぐに更新される日本と異なり、こちらでは現地に出向いて直接聞いてみないと、正確な情報を入手できないことが未だに多々あります。さらに、窓口が開いているのは不定期ですから、何度も船乗り場へ実際に足を運び、船のスケジュールを調べたり、船の大きさや雰囲気を確認しました。自宅から船着き場までの所要時間や、個々に到着するゲストの到着時間を考慮に入れ、これまた限られた船内の席を予約するのは、なかなか骨の折れる作業でした。

いよいよ準備が整ったところで、当日の流れをご紹介しましょう。

11時 入学式(ランツェン、両親からのシュールテューテを持っていく)
13時頃 帰宅、ゲストが来て乾杯、軽食。
15時頃 Spree川にてクルージング
18時頃 ステーキハウスにてパーティ

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(左)大小様々なシュールテューテ:一番左のものが私たちからのプレゼント
(右)次々とシュールテューテを開けていく息子

入学式後のパーティ

入学式の様子は前回の記事をご覧いただくとして、当日、入学式から帰宅すると、同じマンション内の方々が続々とシュールテューテを手に息子のお祝いに駆けつけて下さいました。何度も何度も鳴るチャイムに、喜んで玄関まで駆けつける息子は、とにかく沢山のプレゼントを頂きました。その後、パーティに招待したゲストも到着。まずスパークリングワインで乾杯し、ちょっとした軽食をふるまいます。その間、息子は頂いたシュールテューテを次々に開けて大興奮でした。

そのシュールテューテの中身ですが、合理的なドイツ人らしく、事前に保護者に何が欲しいか聞いてからつめるので無駄がありません。ちなみに、息子が頂いたのは、水中でも使用可能なデジタルカメラ、絵本、文房具、サッカークラブのジャージ、サッカーシューズ、トレーニングウエア、おもちゃなどなど。これだけでも結構な量のプレゼントですが、それでもスカスカしている場合は、お菓子をつめるのが習慣のようで、集まったお菓子がとんでもない量に!

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シュールテューテに入っていたお菓子の山

当然、息子は大喜び!しかし、暇さえあればお菓子に手が伸びていたので、彼が学校に行っている間に、お菓子の大部分は戸棚の奥へ隠してしまわなければなりませんでした。

ひととおりゲストが揃い、乾杯がすむと、今度はSpree川のクルージングへ。朝からバタバタと慌ただしく過ごしてきましたが、丁度ティータイムの頃に、美味しいお茶を頂きながら、ゆったりと船にゆられ、美しいベルリンの名所を眺めての入学祝いは格別なものでした。

クルージングの後は、無事にレストランに到着、皆でステーキに舌鼓を打ち、ビールやワイン、息子はりんごジュースで何度も乾杯!お祝いのクライマックスを迎えました。

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船から見たベルリン中心部

このように約一年かけて取り組んできた「入学式プロジェクト」ですが、何とか滞りなく終わり、当日のパーティではゲストの方々にも満足して頂けたようでした。息子も入学式ではガチガチに緊張していましたが、入学式後は打ち解けた様子で、パーティに向かう道中に同じような新一年生を見かけると「僕も今日から一年生だよ!」とちょっと誇らしげに(?)話しかけるなど、この日を境に大きく成長した様子でした。小学生の親としても一年生である私たちの「初任務」はまずまずだったのではないか、と夫と話しながら長く充実した一日を終えました。


筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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