TOP > 論文・レポート > 子育て応援団 > 【双子のいる生活】 第21回 双子の保護者が知りたいこと:出産準備編 ~3年間、200人の双子ママと会って~

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文・レポート

【双子のいる生活】 第21回 双子の保護者が知りたいこと:出産準備編 ~3年間、200人の双子ママと会って~

持田 聖子(ベネッセ教育総合研究所次世代育成研究室 主任研究員)

2018年5月18日掲載

しばらくぶりの更新となりました。

2018年3月、我が家の双子の娘の小学校で「二分の一成人式」が行われ、保護者が招待されました。健やかに成長した娘たちやクラスメイトたちを見ながら、10年前の3月、出産した日のことを思い出しました。あの日から、あっという間に10年が経ちました。でも、子どもたちを迎えた幸福感と、無事に出産までたどりつけた安堵感、多胎児をちゃんと育てていけるのだろうかという不安感がないまぜになった気持ちは、昨日のことのように思い出されます。

私は、2015年度から3か年に渡って、ある自治体から、多胎児の保護者向け交流会のコーディネーターを拝命し、3年間、先輩ママとして、また育児に関する研究に携わる立場として、交流会に参加しました。隔月で実施している交流会には、平均して12名の参加者があり、多胎児を妊娠中の妊婦さん、母親、時には父親や祖母も参加し、毎回、なごやかな雰囲気の中で、活発な情報交換が行われました。参加者の皆さんは、互いの話に熱心に耳を傾け、自分の経験や情報は惜しみなくシェアし、多胎児の育児情報が少ない中で、最高のピア・サポートを提供し合っていました。「10年ひと昔」と言いますが、育児用品の進化はめざましく、より充実してきており、私の経験や情報も、少し古くなってきたことを感じ、3か年務めたコーディネーターを卒業させて頂きました。他に10年前と肌感覚で感じる変化としては、多胎児を育てながら働く母親が増えたこと、ネットショッピングが充実し、より便利になったことなどです。

私は、コーディネーターとして、3か年で16回、交流会に参加し、約200人(のべ)の参加者の方々と会うことができました。主に、0歳~1歳児の双子を育てている母親と、双子を妊娠中の方でした。毎回、自己紹介と近況、悩み事、質問したいことなどを順番に話し、挙がったトピックについて、情報交換をし合う、という流れで交流会を行いました。盛りだくさんのトピックについて情報交換をしてきましたが、毎回、必ず挙がるトピックがありました。それを、本連載で伝えていきたいと思います。第一回は、出産準備編です。ただし、ここに書くことは、唯一の正解ではありません。環境が違えば、対処の方法も異なりますし、時代と共に、育児ノウハウや育児用品は変化するものです。ですので、読者の皆様は、この情報を参考にされて、ご自分に合った情報、ご自分がよいと思われる情報をみつけてくだされば幸いです。


妊婦さんから必ず寄せられた質問:出産準備編


1.管理入院と管理入院にまでに準備しておくことは?

多胎児の妊婦さんにとって、「管理入院」については、とても気になることで、交流会では、毎回、質問が出ました。「管理入院」とは、妊娠中のトラブルを防ぎ、万一に備えて予防的に入院することです 1。管理入院の基準や入院する時期は、双子の卵性(一卵性、二卵性)や妊娠の経過、母体の状況、産院の方針によって異なりますが、交流会に参加された母親の多くは管理入院を経験されていました。

多胎妊娠は、おなかも大きくなりますし、一卵性の場合は胎盤にかかる負担も大きくなります。管理入院によって、必要なチェックを受けながら、安静にすることで、早産を予防することができます。

私の場合は、32週の時に、お腹の張りを感じ、張りを押さえる薬を飲んでも治まらず、夜遅くになって診察を受けたところ、切迫早産の診断で、そのまま入院になってしまいました。それまで、医師からは、「自宅で入院している気持ちで安静にしてください、いつ入院になってもよいように準備はしておいてください」と言われていたにもかかわらず、私は、入院の用意は何もしておらず、着の身着のまま入院し、37週まで入院し、予定帝王切開で出産しました。私のように、自分の入院のしたくについては、何もしていなくても何とかなりましたが、困ったのは、上の子どもの預け先でした。上の子どもは、当時、保育園の年長児で、夫は出張も多く、日々の帰宅時間も深夜になるような生活でした。私が入院後、上の子どもは、日中は保育園で過ごし、保育園の後は、ファミリーサポートのお宅やショートステイ(自治体の制度)に滞在したり、両家の母親が自宅に通って、夫が帰るまで面倒をみてくれたりしました。病院にいて歯がゆく、心配な毎日でした。いつから管理入院になるのかがわからないところが、難しいのですが、早めに、ファミリーサポートやショートステイの制度を調べ、事前に相談をしておくことをおすすめします。

交流会の参加者たちの意見は、早めに通っている産院に管理入院の方針を聞き、入院準備をすること、上の子どもがいる場合は、上の子どもの預け先を手配しておくことでした。交流会を実施している自治体から通える範囲にあり、多胎児の出産を扱える医療施設は限られていて、多くの参加者が、そのどこかに通っていたので、交流会では、各医療施設での方針や、入院中の話を共有していました。地域の子育て支援制度についても、情報交換ができていました。こういう個別の具体的な情報を交換できることが、地域密着型のソーシャル・サポートのメリットだと思いました。

【参考】
https://www.blog.crn.or.jp/report/09/04.html
第3回 切迫早産で管理入院


●出産前に準備をしておくことはなに?

先輩ママさんの回答は、育児用品に関しては、ネットショッピングでいつでも揃えられるので、全ての育児用品を出産前に買い揃える必要はない、という意見でした。妊婦さんからよく出た質問と、出産前にやっておくべきこと、出産後に揃えても間に合うことについて、まとめてみます。


2.出産後のサポート体制を整えておこう:

出産後は、産婦は家族や周りの人の助けを借りて、家事はできるだけ避け、新生児の育児を無理せず行い、自分自身の体調の回復に努めることが大切です。配偶者や親のサポートを十分に受けられない方は、行政・民間のサポート・サービスを利用することも考えてみてください。ベネッセ教育総合研究所で実施した、出産後のサポートについて調べた調査(2015年)では、妊娠中から出産後のサポートについて準備をしていた人ほど、出産後、受けたサポートに満足する比率が高いことが分かりました。出産後の準備というと、育児用品のことばかり考えがちですが、特に多胎児のママは、十分な育児・家事のサポートを受けられるように、地域のサービスの情報を集め、できれば妊娠中から、お試し利用をして、関係づくりをしておくことをお勧めします。自治体の多くは、出産前後の家事・育児ヘルパー派遣サービスを行っており、申請すれば、通常より抑えた料金で、ヘルパーさんを派遣してもらえます。

【参考】
https://www.blog.crn.or.jp/report/09/07.html
第6回 産褥期を乗り切る-"産褥入院"と"産褥シッター"


3.ベビーベッドは買った方がいい?子どもの数だけ買うの?子どもたちをどこに寝かせているの?

交流会で、妊婦さんから必ず出た質問です。特に多胎児の場合は、ベビーベッドを子どもの数だけ揃えたら、スペースも取るので、重要な問題です。

母親たちのアドバイスは以下のような内容でした。

  1. 自宅の環境から、赤ちゃんたちを寝かせる場所をどこにするかを考える。(母子で一室に寝て、配偶者は別室で一人、または、上のお子様と一緒に寝るというケースが多いようです。)
  2. 上のお子様、またはペットがいる場合は、安全のためにベビーベッドを用意するとよい。
  3. ベビーベッドは、レンタルでよい。ハイタイプとロータイプがあるので、背の高い方や、腰痛がある方には、ハイタイプがおすすめ。
  4. 布団で寝かせる場合も、ベビー用布団ではなく、大人用の布団でよい。布団に対して横向きに双子を寝かせる形でもよい。
  5. 大人用のベッドに寝かせる場合は、落下防止の柵を取り付ける。

布団のメリットは、夜間の授乳を横になったまま行えるので楽であること、子どもが寝返りを打つようになっても、ベッドから落ちないので安心ということです。私の場合は、大人用の布団を2枚敷き、1枚に私が寝て、もう1枚に横に双子を寝かせて「に」の字のようにして寝ていました。上の子は父親と別室で寝ていました。双子が低月齢のうちは、二人が重なったり、接触したりしないように、間を離して寝かせていました。双子が高月齢になってきて、自分で寝がえりが打てるようになってからは、布団3枚を敷いて、私、長男(6歳違い)、双子の4人で寝ていました。双子が10歳になる現在も、和室に布団3枚を敷き詰め、私と双子の3人で寝ています。


4.双子を連れての移動はどうしたらよい?

ベビーカーとベビーベッドは育児用品の象徴なのでしょうか、ベビーカーの選び方も必ず寄せられた質問でした。双子用ベビーカーも、型や種類が充実してきました。型は、大きく分けて「縦型(子どもを前後に座らせる)」と「横型(子どもを左右に座らせる)」があります。「斜め上下型」という形も出て来ました。参加した先輩ママは、圧倒的に「横型」を使っている方が多かったです。ベビーカーも、出産前に買わなくてもよいという意見が多数でした。

母親たちのアドバイスは以下のような内容でした。

【選ぶポイント】

  1. 赤ちゃんたちの移動方法を考える。マイカーで移動するならば、ベビーカーは車のトランクに収まるかを考える。外出の際、双子の数以上に大人がいるならば、ベビーカーがなくても、抱っこ紐等で済ませることもできる。
  2. 家の玄関、よく行く場所のエレベーター、よく使う駅の構造(エレベーターの有無)、スーパー等のレジの幅、かかりつけの病院の玄関の幅を調べ、通る幅のベビーカーを選ぶ。双子用の横型ベビーカーは、横幅が商品によって異なります。ベビーカーのたたみ方や、たたんだ時のサイズも、商品によって異なります。自分の生活環境に合ったサイズのベビーカーを選ぶことは必須のポイントです。
  3. 操作性の良さ。サイズは大きめになりますが、車輪が大きいベビーカーは、走行がスムーズで段差も楽に超えられ、安定しています。(その分、たたんだ時に大きいので、コンパクトカーだとトランクに収まらない場合もあるそうです。)ベビーカーの持ち手の形も、片手でも押したり、操作しやすいことをポイントに挙げる方もいました。

  4. 【選び方】横型のベビーカーの場合
    report_09_298_01.jpgイラスト:娘(A子)

  5. 双子用ベビーカーと一人用ベビーカーの使い分け。双子用ベビーカーに加えて、一人用のベビーカーも用意している方もいました。その場合は、一人用ベビーカーに一人を乗せ、もう一人を抱っこ紐・おんぶ紐に入れます。雨の日や、電車に乗る時など、より機動的に動けるというのがメリットです。家族で外出する時は、一人用のベビーカーを2台用意し、大人が1台ずつ押すという方もいました。双子が成長して歩けるようになってからは、よりコンパクトなタイプの双子用バギーに買い替えている方もいました。
  6. /report/m/gif/report_09_46_1.jpg
    一人用のベビーカーと抱っこ紐で移動するパターン

  7. 買う前に試してみること:交流会参加者の多くは、ベビーカーを買う前に、ショールームで実物を見て選ばれていました。双子用ベビーカーは、想像よりもかなり大きく、双子を乗せている状態も想像しにくいものです。交流会では、妊婦さんは、交流会後に、先輩ママさんたちと共に保育室に行き、様々な月齢の双子の赤ちゃんがベビーカーに乗っている様子を見たり、押させてもらったりしていました。このように、出産前から、実際の双子の赤ちゃんに触れ、育児用品も見ることができることは、交流会のよい点の一つです。

【参考】
https://www.blog.crn.or.jp/report/09/12.html
第10回 双子と暮らす(1)


5.哺乳瓶はどんなものを用意したらよい?消毒方法は?

哺乳瓶をどの程度、どんな種類のものを用意したらよいのかも必ず聞かれることでした。出産前に揃える必要はないというのが、参加した先輩ママのアドバイスでした。どの程度、母乳が出るか、わからないからです。また、哺乳瓶の乳首の形はさまざまで、赤ちゃんとの相性もあります。産院によっては、様々な形状・商品を試せるので、試したうえで使えそうなタイプのものをネットで注文すればよいのではないでしょうか。

私の場合は、数本、哺乳瓶を用意し、疲れが出る夕方の授乳と、就寝前の授乳の際に、母乳をあげた後、ミルクを足していました。こうしておくと、子どもたちは、哺乳瓶でもミルクを飲んでくれるようになります。哺乳瓶でも飲めるようにしておくことで、外出先で母乳をあげにくい時や、母親以外の人がミルクをあげられるようになり、便利でした。

【参考】
https://www.blog.crn.or.jp/report/09/08.html
第7回 双子の新生児を家に迎える
https://www.blog.crn.or.jp/report/09/10.html
第9回 双子への授乳

消毒方法は、煮沸、電子レンジ、液体の消毒液につける方法など、様々な方法があります。まとめて消毒するか、誰が消毒するか、消毒の用具を置くスペースなどを考えて、自分にあった形をみつけてください。私の場合は、哺乳瓶はガラスにして、「哺乳瓶掴み」(数百円で買えます)とブラシを準備し、使った後は軽く水とブラシで洗っておき、一日一回、大きな鍋で哺乳瓶と乳首を煮沸していました。

以上が、妊娠中の方から寄せられた質問ベスト5でした。これから、多胎児の赤ちゃんを迎える方々のお役に立てましたら幸いです。


1.ベネッセコーポレーション(2006)双子&三つ子ママの妊娠・出産・育児

筆者プロフィール

Seiko_Mochida.jpg持田 聖子(ベネッセ教育総合研究所次世代育成研究室 主任研究員)

妊娠・出産期から乳幼児をもつ家族を対象とした調査・研究を担当。主な調査は、「妊娠出産子育て基本調査」「未妊レポート─子どもを持つことについて」など。
生活者としての視点で、人が家族を持ち、役割が増えていくなかでの意識・生活の変容と環境による影響について調査・研究を行っている。
2016年より、「幼児期の家庭教育国際調査」に携わり、日本・中国・インドネシア・フィンランドの幼児の「学びに向かう力」と家庭教育の関連について研究を行っている。
このエントリーをはてなブックマークに追加
サイトマップはこちら
サイトの全体像が分かります。

Twitter  Facebook

CRNアジア子ども学交流プログラム

名誉所長ブログ

論文・レポートカテゴリ

イベント

ご意見・ご質問

メルマガ登録

世界の幼児教育レポート

CRN刊行物