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【ドイツの子育て・教育事情~ベルリンの場合】 第15回 我が家のクリスマスシーズンの過ごし方

シュリットディトリッヒ 桃子

2016年1月22日掲載

要旨:

当地では11月から3月頃まで長くて暗いシーズンが続く。日本のようにお正月を祝う習慣はないが、11月から12月にかけてはクリスマス関連の様々な行事が催される。アドベント(待降節)、アドベントカレンダー、聖ニコラウスの日など、クリスマス前の風習や楽しい一か月間の家族の過ごし方をご紹介する。

Keywords:
ドイツ、ベルリン、アドベント、クリスマス、聖ニコラウスの日、プレゼント、シュリットディトリッヒ桃子

Frohes neues Jahr! 新年おめでとうございます。ベルリンでは年末年始にラッキーチャーム(ブタ、テントウムシ、煙突を掃除する人など)を付けた鉢植えが多く売られています。今年も皆様にとって幸多き年になりますように!

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ドイツのラッキーチャーム


さて、皆様もご存じかもしれませんが、当地では11月からぐんと日が短くなり、3月頃まで毎日どんよりとした天気が続きます。長くて暗い秋冬は、お日様が恋しくなるシーズンです。ドイツでは日本ほどお正月を祝う習慣はありませんが、その代わり、11月から12月にかけては、一年の一大行事クリスマスに向けて、街中は様々なイベントで盛り上がります。今回はそのようなベルリンの冬の習慣から、いくつかご紹介したいと思います。

アドベント(待降節)

クリスマスから4週間さかのぼった日曜日(第一待降節)からクリスマス・イブまでの期間を「アドベント(待降節)」といいます。キリストの誕生を待ち望む期間として、キリスト教では非常に重要な意味をもっているそうですが、今年の第一待降節は11月27日でした。この日から、正式にクリスマスシーズンが始まり、4本のろうそく を立てた、アドベントクランツというリースを飾ります。クリスマスまで4回ある日曜日毎に、一本ずつろうそくに火を灯すのが伝統で、クリスマス直前の日曜日には4本全てのろうそくに火がつきます。

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11月27日、一本目のろうそくに火を灯したアドベントクランツ


今年はこのアドベントクランツの手作り講習会に参加してきましたが、講師によると、これには意味があるそうです。まず、リースは「永遠の命の象徴」。というのは、リースに使用されている常緑樹の緑は「希望」を表し、「冬に打ちかつ勝利者」という意味があるとのこと。次に、リースについている赤い実はその色から「愛、力、生命の力」を表し、「人間を邪悪な力から守る」という意味があります。最後に、ろうそくの黄色い光は「暖かさ」を表し、長くて寒い冬に明るさをもたらす意味合いがある、とのこと。単に「素敵な飾り」というわけではなく、寒くて暗い冬が続く当地では重要な意味をもつ、アドベントクランツです。

アドベントカレンダー

アドベントで忘れてはならないのが、アドベントカレンダー。アドベントクランツが第一待降節からクリスマスまで飾られることは上述のとおりですが、アドベントカレンダーは12月1日からクリスマスまでをカウントダウンするカレンダーです。12月1日から24日までの日付(数字)がランダムに示されており、各日付は小さな「窓」になっていて、それを毎日1つめくると小さなチョコレートやおもちゃなどが入っているのが特徴。我が家でも、毎年12月1日の朝、食卓にアドベントカレンダーが飾られます。 息子は、アドベントクランツよりもアドベントカレンダーのお菓子を毎日心待ちにしており、「花より団子」の様子です。

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ショッピングセンターでもらったアドベントカレンダー


上の写真のようなタイプでは、カレンダーの日付の窓の中に、1つ1つ形の異なるチョコが入っていて、クリスマスまで毎朝のお楽しみとなります。毎年この時期になると、真っ暗な中、起床しなければならないので、息子の寝起きは悪くなるのですが、このカレンダーのお蔭で、クリスマスまでご機嫌で早起きしてくれる、というメリットもあります。ただし、一気に全部開けたい気持ちを押さえて、1日1つずつ開けていくのは、子どもにとっては難しいことのようですが...。

聖ニコラウスの日

12月6日は、聖ニコラウスの日です。これは3-4世紀に今のトルコのあたりに住んでいたキリスト教の司教、Nikolaos of Myraの記念日で、このニコラウスさんは、こっそり貧しい人の靴の中にコインを忍ばせたり、他人に知られないよう弱者を助けたりしたそうです。そして彼こそが今のサンタクロースのモデルとなり、クリスマスに靴下にプレゼントを入れるのも、彼の逸話に基づいてのこと。

ドイツでは12月5日の夜から6日の朝にかけ、聖ニコラウスが靴の中にチョコレートやお菓子を入れてくれる、という習慣があって、子どもたちにとっては、クリスマスの前の一大行事!ただし、汚い靴にはお菓子は入れてもらえない、と言われているので、この日ばかりは子どもたちも靴を綺麗にするのに一生懸命になります。

ちなみに、我が家では毎年5日の夜、息子が寝静まってから、彼のスリッパもしくは靴の中にお菓子を入れるのが習慣になっています。

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2年前、息子のスリッパに入れられたチョコレート


この日は、街のあちこちでお菓子を配る日のようで、ガソリンスタンドでも小さなグミのお菓子やキャンディが無料配布されたり、保育園や小学校でも小さなチョコレートやお菓子が配られていました。

我が家の聖ニコラウスの日

小学校では「聖ニコラウスの日」について学ぶようで、ある日息子は「ママ、ニコラウスって本当にいた人なんだよ。」とドヤ顔で教えてくれました。しかし「どんな人だったの?何をした人なの?」と聞き返すと「...」。

「あれ、学校で習ったんじゃないの?」と聞いてみると「知らねーよー!」と逆切れ...。

でもやっぱりチョコレートは欲しいみたいで、「金曜日と土曜日の間に、ニコラウスが来るから、靴をちゃんときれいにしておかないとね!」とこの日を心待ちにしている様子。

「あ、あとね、サンタクロースには欲しいものをお願いできるけど、ニコラウスは小さいおもちゃしか持ってきてくれないから、プレゼントは選べないんだよ」などと言いながら、6日までの日数をカウントダウンしていました。

ちょうど5日夕方にサッカーの練習があり、その後、外食して帰宅してきたため、息子はかなり疲れていました。さらに、次の日の朝もサッカーの試合だったので、帰宅してシャワー後、ベッドへ直行してしまいました。

密かにチョコレートとちょっとしたおもちゃを入手していた父親に「靴をきれいにしておけよー。さもないと、ニコラウスからチョコレートもらえないぞー!」と言われていたにもかかわらず...。

息子が寝静まった後、靴が磨かれていないことに気付いた夫は「規則は規則だからな。これがいい教訓になるだろう」と、いつものとおりドイツ人らしい(?)、容赦ないコメント。

私としてはちょっと可哀そうな気がして、「でも、彼は彼なりにサッカーも頑張って、疲れていた上に、明日は朝から試合だから、早く寝なきゃいけなかったわけだし。小学校で習ってきたから、毎日ニコラウスのことを話してくれて、ずっとこの日を楽しみにしていたんだよ」と言ってみましたが、夫がすぐに折れる相手でないことは私が誰よりも承知しています。

そして、聖ニコラウス日の朝、起床してすぐに玄関に向かった息子ですが、お菓子が入っていない靴を見ると「ああ、ぼく、昨日、靴磨かないで寝ちゃったから、しょうがないな」と、意外とあっさり、あきらめた様子...。

「やっぱり、あげなかったんだなあ」と内心思いつつ、朝食の片づけをしていると、「ママ!朝ごはん食べている時に、ニコラウスが来たみたい!!!」と興奮気味の息子が、小さなチョコレートと、以前から欲しがっていた「スターウォーズ・カード」を握りしめて、キッチンに駆け込んできました。

「ああ、よかったね!これで、今日の試合は頑張れるね!」とハグしてあげると同時に、「ちゃんとアメとムチの"アメ"の部分の使い方も覚えたんだなあ」と、子どもができてちょっと丸くなった夫に気づき、少し嬉しい気分になった聖ニコラウスの日の朝でした 。

クリスマス

4番目のアドベントクランツに灯りがともり、アドベントカレンダーの窓が24日に全て開くと、いよいよクリスマスです。ドイツでは25日が「第一クリスマスの日」、26日が「第二クリスマスの日」と二日間、国民の祝日となっています。この間、店はほとんど全て閉まり、街中は静まりかえっています。さらに、今年は27日が日曜日だったので、3日間商業施設は閉まることとなり、クリスマス前の市民は食料の買い出しに大忙しでした。賑やかな日本のクリスマスとは対照的ですが、この雰囲気は日本のお正月に似ていると思います。クリスマスの間は、家族でご馳走を食べ、ゆっくり過ごします。

我が家でも、夫の兄宅に親戚が集まり、ウサギや七面鳥の丸焼きといったご馳走を頂きました。子どもたちは、プレゼントをもらっていましたが、その前に必ず歌を歌ったり、何か芸を披露したりするのが、義理の家族でのルールである模様。息子も彼の従兄たちも、クリスマスの歌を私たちの前で歌ってから、沢山のプレゼントをもらっていました。

こうして、一か月間にわたりクリスマスシーズンを楽しんできたわけですが、正式には1月6日の「三賢者の日(東方の3人の博士が、誕生したイエスのもとに到着する日)」をもって、クリスマスは終了となるそうです。日本では、クリスマスが終わるとすぐにツリーは片づけられ、お正月モードに速攻で切り替わりますが、当地では翌年6日までクリスマスツリーを飾っておく家庭が多いようです。


参考文献
筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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