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【ベルギー子育て奮闘記】 第4回 ベルギーでのクリスマス

クリスマスの時期がやってきました。この時期、街のあちらこちらでクリスマスデコレーションやイルミネーションが見られて、大人も子どもも気分が高まりますね。今回はちょっと変わったベルギーでのクリスマスのイベントについてご紹介しようと思います。

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旧市庁舎のクリスマスイルミネーション

シンタクラース

日本でクリスマスと言えば、もちろん「サンタクロース」ですよね。12月24日のイブの夜には子どもたちがサンタさんに何をもらえるか楽しみにしている、一大イベントだと思います。

ですが、ここベルギーでは12月5日の夜に、サンタさんよりも先にシンタクラースさんが子どもたちにプレゼントを持ってやってきます。

シンタクラースとは、3世紀後半のトルコの聖人、聖ニコラスと言われています(聖ニコラスをオランダ語にすると「シンタクラース」となるそうです)。ベルギーやオランダでは14世紀頃から聖ニコラスの命日の12月6日を「シンタクラース祭」として祝う習慣が始まったそうで、今ではベルギーの子どもたちにとってはクリスマス以上に楽しみなイベントなのです。

さて、我が街ルーヴェンでは、11月中旬にシンタクラースのパレードが行われます。シンタクラースはプレゼントを配るお手伝いをしてくれるズワルトピート*をお供にやってきます。

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シンタクラースとお供のピート


パレードの最中、びっくりしたのは、先導する白バイの人もズワルトピートに扮していること。日本では、警察の方が扮装してパレードに参加するなんてことはないのではと思います。

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ピートに扮した白バイの警察官


鼓笛隊やダンスをするピートを見送ると、大きな馬車に乗ってシンタクラースの登場です。ピートやシンタクラースが、街道に集まった子どもたちに飴やガムなどのお菓子を配ってくれます。子どもたちは大はしゃぎです。私も初めてのシンタクラースに興奮してしまいました。

そして、実際のシンタクラース祭の前夜にあたる12月5日の夜には、クリスマスと同じように子どもたちの寝ている枕元にプレゼントが置かれます。では、クリスマスはどうするのでしょう?現地のお友達に聞くと、クリスマスもサンタクロースさんが来てくれる家庭と「うちはシンタクラースさんだけよ」という家庭に分かれるそうです。ちなみに、そのお友達の家にはどちらも来てくれるそうで、シンタクラースさんからは子どもたちがお願いしたもの、サンタクロースさんからは親が願う知育・教育的なものに区別して、プレゼントをあげているそうです。

さて、シンタクラースと、サンタクロース、名前がよく似ていると思いませんか?実は同一人物なんだそうです。その昔、シンタクラース(聖ニコラス)の言い伝えがアメリカに伝わり、「サンタクロース」と呼ばれるようになりました。そしていつからかキリストの誕生日を祝うクリスマスのシンボルとなりました。

元は一人の聖人のお話だったはずが、サンタクロースが世界中でクローズアップされる現代、2回もプレゼントをもらえるベルギーの子どもたちはとてもハッピーですね。ちなみに我が家にはシンタクラースさんしか来ません。

クリスマスマーケット

クリスマスマーケットといえば、ドイツが有名ですが、私たちの住むベルギーでも各地でクリスマスマーケットが開かれます。

12月頭からクリスマスまでの数週間。これは子どもたちというより大人が楽しめるイベントです。

広場にクリスマス雑貨、防寒グッズ、食べ物などのお店が多数出展されます。そして子どもたちも楽しめるように観覧車、メリーゴーランド、アイススケートリンクなどが設置される街もあります。

我が街ルーヴェンにはサンタクロースのお家が登場します。これは他の街ではあまり見かけません。

中には、サンタさんの寝室、世界中の子どもたちから届いたたくさんの手紙を読む書斎などすごくリアルでかわいらしい家です。そして暖炉のある部屋で本物のサンタさんが子どもたちを出迎えてくれます。握手をして一緒に記念撮影もしてくれます。子どもたちは本物のサンタクロースに会えて大興奮です。

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サンタさんと記念撮影

そして、クリスマスマーケットの醍醐味と言えば、食べ物屋台!体の芯から温まるグリューワイン(いろいろなフルーツやシナモンが入った温かい赤ワイン)や、エスカルゴのピリ辛スープ、シャンピニオン(マッシュルームと玉ねぎを煮込んだものにガーリック味のクリーミーなソースがかかったもの)、クレープ、揚げドーナツなどたくさんの屋台があります。もちろんほとんどの食べ物を制覇する我が家ですが、やはり温まることのできるグリューワインは外せません。子どもたちは、ベルギーの醍醐味、ホットチョコレートで温まります。

ところで、このルーヴェンのクリスマスマーケット、"ヨーロッパのクリスマスマーケットTop10" で4位に選ばれたそうです。街もクリスマスイルミネーション一色になるこの時期。気温は低く寒いですが、心も体も温まるクリスマスマーケットのご紹介でした。

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クリスマスマーケット


クリスマスが終わると日本ではお正月がやってきます。

しかし、ベルギーではお正月はあまり重視されません。大晦日の日に家族そろって食事をするくらいのことらしいです。会社も2日から始まります。こちらでお正月気分を味わうことはできませんが、二つの冬のイベントを満喫し一年を締めくくります。

皆様にとってこの一年、いかがでしたか?どうぞよいクリスマス、そしてよいお正月をお迎えください。



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*オランダやベルギーであるシンタクラースのお祭りで登場するシンタクラースの黒人の従者。子どもたちにはとても人気がありますし、長年親しまれてきたのですが、オランダの過去の植民地政策や奴隷貿易という伝統を引きずるもので人種差別であるという意見もあり、今年は国連の人権委員会がオランダ政府に対して抗議をしたということです。ただし、ベルギー人の友人によると、黒人とははっきりと決められてはいないそうで、煙突から入ったから煤で黒くなった説や黒人ではなくスペイン人の肌の色だなど、諸説あるようです。
筆者プロフィール
奥村 沙織: 2011年より、夫の転勤に伴い二人の娘とともにベルギーのルーヴェンに在住。
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