ニュージーランド(以下、NZ)には、トイライブラリーというものがあり、おもちゃの貸し出しを行っています。トイライブラリーは、そもそも1935年米国ロサンゼルスで発祥したものだそうです。それが今は世界各国に広がっており、NZで現在のような組織された形で運営され始めたのは1981年からと書かれています。トイライブラリーは非営利で運営されています。NZ全土に220以上も存在し、子どものいる家族にとって非常に身近な存在です。私がNZに来たばかりの頃、現地のお母さんから教えてもらったのですが、車がなかったので諦めていました。が、前々回の記事で書きましたように、夫が運転免許を取得し、車を購入、生活にいろいろな変化が起きています。そして、最近ようやく近隣のいくつかのトイライブラリーのウェブサイトを確認し、一番品揃えが良さそうなトイライブラリーの会員になりました。ここでは毎週2回(水曜日と土曜日)、各2時間ほどの間に、会員がおもちゃを借りたり返却したりすることができます。このおもちゃの貸し出しや返却時のお手伝い当番を年に4回ほどすれば、年会費はNZ$90、お手伝い当番をしない場合は年会費NZ$150かかります。その他に、おもちゃを壊したときや失くした時の預け金としてNZ$20を支払います。私たち家族は、当番の仕事にも興味もあったので、年に4回の当番あり会員になりました。このシステムは、各トイライブラリーによって異なるようですが、オークランド中心部の周辺で調べたトイライブラリーは、概ね同じような感じでした。
住宅街の一角にあるトイライブラリー
トイライブラリーの中には、おもちゃがたくさん並んでいます。非常にきちんと整理されており、1セットのおもちゃがしっかりとしたビニールの袋に入れられています。おもちゃの種類は幅広く、パズル、ゲーム、乗り物のおもちゃ、おままごとのセット、子どもの衣装、知育おもちゃ、ブロック、DVDと実に様々です。並んでいるおもちゃの対象年齢は0-5歳程度のものが中心といった印象です。(トイライブラリーの公式ウェブサイトには、0-8歳ぐらいまでの子どもを対象にしたおもちゃをそろえていると書いてありますが、品揃えは各トイライブラリーで異なります。)また、1年に1回、新しいおもちゃを買い足すそうで、買って欲しいおもちゃをリクエストできるボードもあります。
娘は最初こそ緊張していましたが、どれでも好きなおもちゃを選んで家に持って帰って良いということを理解した途端、次々と真剣に選び始めました。30分弱かけて選んだ末に今回借りたものは、テントウムシの乗り物、パズル、木でできた食器のおもちゃ、DVD、大きなドールハウスの5点です。娘は、借りる手続きにも全部立ち会い、持ち忘れているものがないか自ら確認しました。おもちゃを借りると、図書館と同じようにレシートが発行されます。このレシートに小さな備品に至るまでリストアップされているため、家で数が合っているかを確認することができます。
ゲームやパズル
DVD
乗り物などの大型おもちゃ
衣装/ブロック
さて、家に帰ってきた娘は、一日中機嫌も良く、大喜びでした。お誕生会などでプレゼントを頂くことはありましたが、親と一緒に出かけて、1日でこんなにたくさんのおもちゃを持って帰ってきたのは初めてです。また、私が「みんなのおもちゃだから大切にすること。絶対になくさないように。」と再三言っているせいか、自分のおもちゃは散らかしっぱなしにすることが多い娘が、借りたおもちゃは大事にして、きちんと片付けている様子には驚きました。
借りてきたおもちゃで遊ぶ娘
週に2回しか開いていないこと、郊外まで行く手間、安いとも言えない会員費を考えると、会員になるかどうかは少し迷ったのも事実です。最終的には、本当に良いかどうかはさておき、NZの人たちがたくさん会員になっているのだから、NZらしい生活を体験するために会員になってみよう、という好奇心で会員になったという方が正しいかもしれません。しかし、実際に利用してみると、夫も私も思っていた以上に会員になってよかったと感じています。大きなおもちゃを買う際は出費も気になりますが、それ以上に子どもが気に入らなかったらどうしよう、すぐに飽きたらどうしよう、どこに置こうか、いずれどう処分しようか、などと考えるものです。その点、3週間で返却するシステムは有難いと思います。トイライブラリーで借りた物のうち、本当に気に入ったおもちゃがあれば買うというのも良いかもしれません。また、できるだけ多くのものに触れさせたいと思っても、買えるおもちゃの数には限界があるので、どうしても吟味して親の嗜好にあうものを買いがちです。一方でトイライブラリーでは、それほど吟味せずに借りたおもちゃが意外と良いということも多いようです。娘の意見も聞きやすいので、親子共々ストレスがない状態でおもちゃを選べます。また、娘を見ていると、図書館に行くときと同じように、「借りる」という行為そのものを楽しんでいるようにも感じます。他の子どもたちと共有している物を大事にするということを経験できることも、一人っ子の娘には良い経験かもしれません。
NZの物価は、食料品を除けば日本と比べて相対的に高く感じます。生産国が近くになく、人口も少ないNZでは、物の価格はどうしても高くなるようです。おもちゃの値段も日本と比べると高額です。そのため、トイライブラリーを利用することでおもちゃ代の節約になる家庭も多いと思います。特に年の近い兄弟がいる場合には、家計の面でも利用価値は高そうです。わが家のおもちゃ代が節約できるかどうかは分かりませんが、この先1年間、できるだけたくさんのおもちゃを借りたいと思っています。
参考ウェブサイト
Toy Library Federation of New Zealand のホームページ