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【ドイツの子育て・保育事情~ベルリンの場合】 第18回 保育園のお泊まり会

シュリットディトリッヒ 桃子

2013年6月14日掲載

要旨:

保育園でお泊まり会が実施されたが、それまでどこかに一人でお泊まりをしたことがなかった4歳の息子はかなり及び腰になっていた。そこで自宅で寝袋で寝る練習をしたり、しまじろうの本を繰り返し読み聞かせてみると、精神的に準備ができたのか、思った以上にスムーズに参加できた模様。子どもの初めての外泊に母親も複雑な心境だったが、メリットも大きく、時にはお泊まり会もいいものだと実感した。一回り大きくなった息子の今後の成長が楽しみである。

ベルリンでは半年間も続いた長い冬がようやく終わり、待ちに待った太陽が降り注ぐ気持ちの良い季節になりました。そんな先週、息子にとって初めての保育園のお泊まり会が実施されました。私も幼稚園の年長時代に1夜だけ園に泊まった記憶がありますが、息子が通っている園ではこのお泊まり会には4歳以上の園児は毎年参加している模様。というのも、この時期になると、4歳児以上の子どもたちはベルリンから90分ほど離れた森の中へ毎年恒例の4泊5日のフィールドトリップに出かけており、この園でのお泊まり会はそのための「練習」として実施されるものだそうです。日本で私が通っていた学校では、高校の修学旅行ですら国内で2泊3日だったのに比べると、こちらでは随分早い時期から、長期間、家族から離れて課外授業を行うようです。

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春到来を告げる水仙

というわけで、当日は寝袋とパジャマ、そして着替えの服を持って出かけた息子でしたが、どこかに一人でお泊まりするのは初めてということもあり、先々週から不安いっぱいの様子で「お泊まり会、行きたくない。ママとパパと一緒がいいの」としばしば口にしていました。

「これではまずい!」と、お泊まり会の1週間前から、まずは寝袋で寝る練習を自宅で始めました。ベッドの上に寝袋をセットアップしていると、息子は興味津々の様子。「しまちゃんも一緒に保育園で寝ていいですよ、って先生が言っていたよ」と告げると、赤ちゃんの時から毎日一緒に寝ている「しまじろう」のぬいぐるみと一緒に、嬉しそうに寝袋に収まりました。

ほっとして「おやすみ」の挨拶をし合い、寝室を後にしましたが、30分程して再び寝室をチェックしてみると、さすがに初日は違和感があったのか、寝袋は床の上に落ちている状態で、息子は何もかけずに眠っていました。それでも諦めずに2日目「今日も寝袋で寝てみる?」と聞いてみると、意外にも「うん、寝袋で寝たーい!」という返答が!

再び寝袋をセットアップして、中に息子が入ったのを確認し消灯。初日はしばらくもぞもぞしていたようですが、2日目からは慣れたのか静かにそのまま眠ってしまったらしく、それからお泊まり会前日まで毎晩、寝袋の中で寝ていました。

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寝袋の中で寝る練習

大きな不安材料の一つはこれで解消されましたが、それでも、時折ふと思い出したように「僕、保育園にお泊まりしたくない」と言っていました。「お泊まり会の朝に、園で大泣きされるのも辛いし、どうしよう・・・。」と思い、送迎時に他のママさんに聞いてみると、このお泊まり会を楽しみにしている子どもたちが多い模様。

というのも、他の子どもたちは園の近くに住んでいることもあり、しばしば友達同士でお泊まり会を実施しているそうです。何より「子どもの自立」と「夫婦の時間」を重んじるこちらの親たちは、早い段階から積極的にお泊まり会を催しているのです。結果、子どもたちも親から離れて、家以外の場所にお泊まりするのに慣れている、ということでした。

ところが、我が家は園から離れているし、未だに義母宅に仮住まいということもあって、お泊まり会どころか、昼間にクラスメートを招待したことすらありません。こんな状況ですから、息子が初めてのお泊まり会に戸惑いを感じるのも無理はないのかもしれません。

こうなったら、何とか「お泊まり会=楽しい」という図式をたたきこむしかない!と思い、「しまじろうの初めてのお泊まり会」というお話を、数日間、就寝前に読み聞かせました。「しまちゃんもお泊まりして、楽しそうだね」というと「僕もしまちゃんみたいに探検するのかな?」と少し前向きになってきました。

「この調子だ!」と当日朝、通園時の電車内でも、この本を読み聞かせ「今日はおうちに帰らなくていいから、好きなだけ遊んでいいんだよ!そして、明日になったらすぐママがお迎えにいくからね!」とポジティブムードで盛り上げると、思った以上の効果があったようで、なんと、別れ際、笑顔で手を振ってくれました。しまじろうに感謝しつつ、先生にも「お泊まり会は初めてなので、ちょっと不安になっているみたいで・・・。」と伝えると「何かあったらすぐ電話しますから、大丈夫ですよ!」と言ってくれました。ほっとするとともに、園を後にする足取りも軽く、解放感いっぱいの私でした。

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 © Benesse Corporation/しまじろう
いつも一緒 しまじろう

といっても、前日は私も複雑な心境でなかなか寝付けなかったのも事実です。「初めてのお泊まり会大丈夫かな?」と心配になったり、息子が順調に成長していくのは喜ばしい半面、いずれ親元を離れていくことはわかっているにもかかわらず、やっぱりちょっと寂しいような・・・

仕事場へ移動中の電車の中でふと「今頃、何してるのかな?」と息子に思いを馳せたり「こうして自分の親も私の成長を見守ってくれてたのかしら?」と親心について考えたり、子育てしながら自分も育てられているんだ、ということを再認識した一日でした。

仕事の後は、夫と待ち合わせて、実に久しぶりに落ち着いて外食をしました。我が家では毎日必ず家族全員で晩御飯を頂くのですが、子どもがいると夫婦の会話がよく中断されてしまい「あれ、何話してたんだっけ?」ということもしばしば。子どもが寝付いた後は、こちらも疲れ果てており、じっくり話ができる機会があまりないのが現状です。しかし、その夜は今後のことなど、重要な話をゆっくりとワイン片手にすることができ、時には夫婦だけの時間も大切だと実感しました。

何より、夜中に「ママー、怖い夢見ちゃったの・・・。」とか、早朝に「ママー、おなかすいたー。」と起こされることなく、ぐっすり朝まで眠ることができました。こんなによく眠れたのは出産後初めてのことかもしれません。「お泊まり会、大歓迎!」と、母親はすっかり充電できた翌朝でしたが、果たして本人はどうだったでしょうか?

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ベルリンの桜

翌日、ドキドキしてお迎えに行ってみると、いつものとおり笑顔で「ママー!」と抱きついてきました。私も嬉しくて、ギュッと強く抱きしめます。「どうだった?」と聞いてみると「楽しかった!」と即答の息子でした。

安堵して、先生にも話を聞いてみると「昨日はお迎え時間くらいになると、ソワソワしていましたが、『今日はみんなで保育園に泊まるんだよ』と伝えると、その状況を受け入れたようで、いつもどおり元気な息子さんに戻りましたよ。晩御飯はみんなでピザを作って、よく食べました。夜も7時半から寝る準備をして、本の読み聞かせをしたら、8時半にはみんな眠っていました。今朝は7時半までぐっすりでしたよ」とのこと。

確かにその場を観察してみると、他の子どもたちは夜眠れなかったのか眠そうでしたが、息子は元気いっぱいでした。園での就寝時間が自宅での就寝時間とほぼ同じだったのも、体内時計が作用してよかったのかもしれません。その日は、お迎え指定時間が午後2時と早かったので、帰りに公園で思い切り遊ばせてきましたが、その間も終始ご機嫌でした。

今週に入って、お泊まり会の写真が園に貼り出されました。お料理が大好きな息子はピザ作りに積極的に参加していたようで、得意げな顔で写っており、ピザが焼きあがった後でしょうか、クラスメートと一緒に楽しそうに食卓を囲んでいる様子がうかがえました。初めてのお泊まり会、頑張ったね、と改めて褒めながら抱きしめてあげました。一回り大きくなった息子が今後、どんな成長を見せてくれるのか益々楽しみです。

筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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