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【双子のいる生活】第18回~双子の子育てって面白い~(復職後編)

我が家の双子の生活について書き始めたこのブログ、しばらくご無沙汰しておりました。ご無沙汰のあいだに、双子の娘たちは3歳8ヶ月となり、彼女たちが1歳の時に復職した私のワーキング双子マザー生活も2年8ヶ月経ちました。

このブログでは、1人目の長男の子育てと比べて、「双子ならでは」と思ったことを書いてきましたが、娘たちの成長と共に、「双子」だからと特別に感じることは少なくなりました。そこで、今回はざっくばらんに「双子の子育てって面白い」と感じたことを振り返ってみたいと思います。


明けない夜はない---有休も看護休暇も使いきった復職1年目から---

前回は、復職1年目の双子の病気と仕事の両立との闘いについて書きました。「復職1年目の働く親は、子どもの急な発熱や病気のオンパレードに悩まされる。けれど、子どもの成長とともに、子どもの病気で仕事を休むことは少なくなる」これは体験談としてよく言われることですが、当時の私は「我が家の双子に限っては、もしくは多胎児の親に限っては、この定説は違うのではないか」とピンチに陥るたびに思いました。「いったいいつ明日の出社を心配しないで寝られる日が来るのだろうか」「なぜ自分ばかりが苦しまなければならないのか」そのうちに、それを考える余裕もないほど、心が麻痺していきました。

でも、復職3年目。ようやく、私にも、夜明けが訪れました。復職2年目の秋(双子は2歳後半)で、ピンチだらけの時代は終わりました。復職2年目の冬、双子は揃って保育園に皆勤で通いました。復職3年目の春以降、保育園を病気でお休みしたのは2人合わせて2日間だけ。熱を出しても高熱にはならず、長引くこともなくなってきました。

幸せです! 心配ごとが減ったから。安心して仕事の予定を入れられるから。そして何より、病気で苦しむ子どもを前に、明日の自分の仕事の都合を考えてしまう罪悪感から解放されたから。病児保育所と保育園をはしごして回らなくて済むようになったから。

多胎児をもって働こうとしている保護者様へ。そして今、仕事の両立を悩まれている保護者様へ。諦めず、今をとにかく乗り切ってみてください。そして、助けてもらえる制度や人には甘えてください。職場の理解を求めてください。いつかその恩を返せる日が来ると信じてください。

復職1年目、私の携帯電話の発信回数リストのトップは病児保育所でした。病児保育所に電話をかけると「もしもし」だけで、名乗る必要もありませんでした。病児保育所の先生方には、娘たちをかわいがっていただき、双子たちも病児保育所に行くのを喜んでいました。今では、病児保育所を予約することもなくなり、嬉しい気持ちとともに、復職1年目の私を応援してくださった先生方のことは、一生忘れないだろうと思います。

はじけるように元気な双子の娘たちを見ながら、その元気さが心からありがたい母です。


保育園の送迎は羊飼いのように

毎朝、毎夕、保育園に双子をどうやって連れて行ったか、書いてみたいと思います。

1歳児の時は、ツインベビーカーに乗せて連れて行きました。乗せてしまえばこっちのもの。ぐずって抱っこしないですむように、大きな声で歌を歌ったり、話しかけたりしながらベビーカーを押しました。困ったのは、雨の日。ツインベビーカーは重くて、傘をさせなかったので、一人をシングルベビーカーに乗せ、一人はおぶって傘をさし、片手でベビーカーを押しました。強い雨の時は、タクシーを呼びました。朝の早い時間は、タクシーも予約でいっぱいで、ハラハラしました。

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背中に保育園のお布団、前に1人を抱っこ、
ベビーカーにもう一人と保育園の荷物と仕事のバッグ、雨が降るとこれに傘をさす


1歳8ヶ月ごろ、幼児2人乗せ自転車(3人乗り自転車)を購入。道路交通法が改正され、子どもを2人一緒に乗せる自転車の規格が変わった時です。2人を乗せて、保育園と会社の荷物も載せて通うので、思い切って電動タイプにしましたが、大正解。自転車が約30kg、双子合わせて30kg、荷物を載せると、それだけで約70kg、自分の体重も入れると、余裕で100kg超!もし電動タイプでなければ、それで坂道など、上れたものではありません。

細かい話ですが、子どもを乗せる自転車には、前籠がなく子どもを乗せる椅子がついているタイプと、前籠があり、ハンドルの前に子どもを乗せる椅子を取り付けるタイプがあります。前者は子どもを乗せるスペースにゆとりがありますが、荷物を置けないのがデメリット。後者は前籠に荷物を載せられますが、取り付けタイプの前側の椅子は狭そうで、子どもが座れなくなる日が早く来そう。迷った末、私は、前籠があるタイプにしました。2人分の保育園の荷物と、自分の会社の荷物(パソコン入り)を載せられて、私は正解だったと思います。

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前籠に荷物、取り付けた前椅子に1人、後部の椅子に1人を乗せて

自転車を買ってから、保育園へは自転車で通うようになりました。楽になったと思いきや・・・、3歳になったある日のこと。風がとても強い日に、子どもを乗せて走っていた時のこと。突風が私たちを吹き飛ばし、自転車ごと倒れてしまいました。怪我はありませんでしたが、この事件以降、双子は自転車に怖がって乗らなくなってしまいました。それ以降、保育園へは徒歩で通うことに。3歳を越え、足もしっかり、傘も自分でさせるようになったので、徒歩で通って、子ども達の成長を改めて感じました。

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雨の日・風の日の登園
傘が飛ばされそう!


ところが、双子は興味・関心の赴くままに、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。途中で進路を変更するし、公園で遊んでしまうし、花を見つけると摘み始めるし。2人が違う道に進んでしまい、1人が迷子になったことも。自転車にぶつかりそうになったことも。子どもが1人であれば、駆け出して追いつけるのに、1人の手を引いていては、臨機応変に対応できず、よって大声を出すしかありません。特に急いでいる朝の登園時は、私にとっては「羊飼いタイム」。気まぐれな羊を追う羊飼いのようです。通園路沿いの家には、きっと私の大声が響きわたっているでしょう。


お互いの物がうらやましい

双子がお揃いの服装をしていると、「きっと親が趣味でお揃いを着せているんだろうな」と思っていませんか?私もそう思っていました。ところが、今、私はお揃い(色違いではなく、色も柄も同じ)を着せています。それは私の趣味なのではなく、朝の平和のためなのです。

2歳半ごろを過ぎ、他者の存在を意識したり、自我が出てきたりした頃から、朝、相棒の服、相棒の持ち物が欲しくなるようになりました。1枚しかない服を奪い合って、負けた方が泣いて。はたまた、思いやりが芽生えたのか、奪って途中まで着たのに、脱いで相棒に差し出したり。でも、その時、既に相棒は別のデザインの服が気に入っていて受け取ってくれず、そこでまた悶着が起こったり。

朝は1分でも惜しいワーキングマザーとしては、手っ取り早い解決策に出ました、お揃いを着せるのです。お店には同じデザインで同じサイズが2枚あることが案外少ないので、先輩双子ママからのお下がりは、本当にありがたいと思います。

一卵性双生児の2人も、成長とともに、好みが分かれてくるのかしら。それを楽しみに思う今日この頃です。

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2人は仲良し、暗闇の中で

2人が特に仲良しなのは、いたずらをしている時と、消灯してから。2人ゆえにガマンすることも多い双子ですが、仲の良い友だちがいつもいるって楽しいだろうな、双子で幸せだろうな、と思います。

一日仕事をして疲れてしまい、気がついたら眠ってしまったある夜のこと、息子に起こされ、目の前の光景を見て、心臓が止まりそうになりました。なんと、市販の風邪薬の瓶を双子が開けて、仲良く丸薬を鼻の穴に詰めあっていたのです。糖衣錠だったので、なめた跡もありました。すぐに取り上げ、中毒110番に電話をかけ、成分を調べていただき、指示どおり、4時間、夜なべで双子を監視しました。2人の自己申告では「食べていない」ようで、大事にいたりませんでしたが、ある程度大きくなっても、危ない物は子ども達の手の届かないところに保管することは鉄則だと自分を戒めました。

体力がついた2人は、消灯した後、寝入るまでに1時間以上かかることがよくあります。薄暗がりの中で、布団の下に潜るもぐらごっこ、保育園でやった体操を実践・・・なぜか暗がりの中では、絶対喧嘩をしない2人。共犯意識がそうさせるのかしら。同じ声、同じ話し方で、抜群のパートナーシップで遊んでいる様子が、疲れた母の耳にさえずりのように聴こえます。そのさえずりを子守唄に、先に眠ってしまう私です。

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お手伝いも仲良く。

同じ発達段階の子どもが複数いることは、お互いの行動がより増長されるようで、保護者の負担は重いのかもしれません。保護者としても、より注意力は必要だと思います。でも、双子の親になったことでの経験や楽しさも、気づいていないけれどたくさんもらっているに違いありません。私にとっては子育ては2度目ですが、これからどうやって2人が成長していくのかという新しい楽しみがあります。

現実を肯定し、前向きに、たくましく、2人を見守って行きたいと思います。

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ではまた、お会いする日まで!
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